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Author:ベスト
ここは、自分のこだわりを書き綴った場にしたいと思ってます。小説はすべて私の頭の中の妄想・空想を書き綴っています。


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中断

いつもご覧の皆様へ
私は、九州在住です。
今回の大地震の影響は全く受けていませんが、
あまりの出来事で、ショックを受けてます。
とても、DIDなんてブログを掲載する気にもなりません。
全身から力が抜けていきます。
テレビの映像を直視出来ません。

しばらくの間、小説を中断します。

このブログにこれまでコメントや拍手頂いた皆様はご無事なのでしょうか?
ご家族やご親戚の方も大丈夫ですか?
皆様の安否が気になります。

とにかく被害が少ないことを祈るしかありません。
無力なものですが、少しでも役に立てることやっていきます。
こんな時に、こんな文章しかかけません。
すみません。

幸せな結末・エピローグ

エピローグ

地中海に浮かぶヨーロッパ屈指の避寒地。
スペイン領マジョルカ島。
州都パルマの空港に1台の小型ジェットチャーター機が、今降り立ったばかりであった。
タラップから2人の男女が腕を組んで降りてきた。
ジェット機のそばまで、黒塗りのリムジンが横付けされている。
男性はタキシード姿で、女性は純白のウエディングドレスを身に纏っている。
2時間前にバルセロナのカンプ・ノウ教会で結婚式を挙げたばかりなのだ。
2人は、これから「パルマ・デ・マヨルカ」にある新婦の別荘に向かうのである。
地中海を見下ろす丘の上に立つ白亜の別荘で、新婦の父が所有していた高級別荘なのである。
新婦の左のクスリ指にはブルガリのダイヤモンドの最高級のエンゲージリングが光っていた。
新婦の父からのプレゼントなのである。
リムジンのロイヤルスィートチェアに座った新婦に新郎が話し出した。
「僕の母は、僕が小学校の頃、父と死別してから九十九相談役の自宅で住み込みの女中をしてたんだ。屋敷の中に住み込み女中さんたちが住む小さな家があって、そこで僕は大きくなった。子供がいなかった九十九相談役は僕のことを自分の子供のように可愛がってくれたんだ。僕も、本当の父親みたいに思っている。極真空手に没頭できたのも、大学まで進学出来たのもみんな相談役のお陰なんだよ。それで、就職って時になって、初めて任務が与えられた。九十九商事に入ったら一人の女性をお守りしろ、ってね。内心は、「なんでそんな事をしなければいけないのか」って凄く腹が立った。でも、初めて入社式の時、千里さんを見た時、そんな考えを一変したんだ。何て素敵な任務だろうって。こんな綺麗な女性をずっと守れるなんて何て幸せだろうってね。」
「もう、いつもお上手ね、准くんは。」
そう言うと、新婦は新郎にしっかりと寄り添った。
リムジンは真っ赤な夕日が地中海に沈むのを見ながら、丘の上の白亜の別荘への坂道を登っていったのである。


半年前、会社から箱根の別荘に千里が連れ去られた時も、遠くから准一はそっと尾行していた。
九十九相談役からは、「きっと千里に災難が降りかかる、一時も目を離すな」
と言われていたのである。
別荘の外で中の様子を窺っていた准一はまず、ベッドに入って休もうとしていた由紀恵を襲撃した。続いて入ってきた子分の辰を締め落とすと、縛り上げてからクローゼットに放り込むと、由紀恵に再度クロロフォルムを嗅がせ、手足を縛り猿轡を噛ませてから車のトランクに放り込んでいたのである。
その後で、千里を救いだしたのだ。
助け出された千里は、車の中で、3日前銀座のマキシムで五代社長から聞かされた話を准一に話したのである。
実は千里の父こそ、九十九田吾作だったのだ。
千里の母は、若いとき九十九商事に就職した。
そして、千里と同じように社長秘書に配属されたのである。
そして、当時50歳だった九十九田吾作の目に留まったのである。
それは、不倫というより真剣な交際だった。
そして、ついにある日、千里の母は身籠ってしまう。
子の居なかった田吾作は当然認知しようとした。
しかし、恐妻家だった田吾作は、その事を知った正妻の激昂に遭い、莫大な慰謝料を支払って認知せず別れたのである。
しかし、その後も田吾作は、秘かに探偵を雇い、常に千里の日常を見守ってきた。
千里が母子家庭であっても、何不自由なく育ち、一流大学に進学できたのも田吾作の支援があったからである。
千里を九十九商事に就職させたのも、社長秘書にしたのも田吾作であった。
田吾作は九十九家の莫大な財産を千里に譲ることをずっと以前から決めていた。
そして、花婿にも自分の本当の子供のように可愛がりお気に入りの滝沢准一だったらどんなにいいだろうと願い、准一を九十九商事に入社させ、ボディガードを命じていたのである。

そんな時、副社長一派が幻の九十九財宝を狙って暗躍しだしたのである。
しかし、准一の機転によって千里は助け出された。
横浜の倉庫の床に全裸で転がされていたのは、車のトランクに押し込められていた由紀恵だったのである。
千里と背格好が似ていて、目隠し猿轡、全裸で歪に縛り上げられいた為に、津川や村上たちは替え玉であることに気付かなかったのである。
津川と村上が倉庫から立ち去ったあと、入れ替わるように警察がやってきた。
津川と村上はスイスのチューリッヒ銀行の地下金庫の前で、暗所番号を打ち込んだ時にスイス警察に逮捕された。

もう実は金庫の中に金塊など眠っていなかったのである。
田吾作がすでに、アフリカやアジアの難民救済の為、国際機関を通じて全額寄付していたのである。
田吾作には、九十九商事が大日本帝国が戦争する度に、「死の商人」として肥え太ってきて繁栄し続けたことへの呵責の念があった。
その贖罪ともいえる想いが、恵まれない人たちへの寄付という行為に駆り立てたのであった。
田吾作は、五代社長にその最後の寄付をやらせる為、またあるものを代わりに金庫に入れる為、単身スイスに出張に行かせたのである。

千里を救出した准一は由紀恵を警察に引き渡したその足で、九十九田吾作の屋敷に出向いた。
そこで、田吾作と千里は晴れて親子の対面を果たしたのである。
田吾作は余命いくばくもない末期がんに侵されていたのだ。
そして、2ヶ月前に田吾作は永眠した。
すべての九十九家の財産は千里のものになったのである。
田吾作は死ぬ直前、枕元に千里と准一を呼び、最後にあらためて千里たちにスイス・チューリッヒ銀行の地下金庫の鍵を渡したのである。
そこには、この日の為に田吾作が用意した想いが詰まっていたのである。
新婚旅行の為にヨーロッパにやってきた2人は、バルセロナの教会に行く前にスイスに立ち寄ったのである。
地下金庫には、1枚の手紙と、小さな指輪を入れた古い宝石箱が入っていた。

――――――最愛なる千里へ――――――――――

最愛なる千里へ。
君がここに来るとき、君は人生最大の幸せを味わっていることであろう。
君には詫びても謝りきれないほどの苦労をかけて済まなかった。
しかし、信じて欲しい。君のお母さんへの想いは真剣だった。決して不純な気持ちでなかった。本当だ。大財閥の跡継ぎ社長など放り出して、親子3人つつましく暮らせたらどんなに幸せだろう、と思い続けた32年だった。

今はただ、君が准一と永遠に幸せであり続けることを願うのみである。
必ず幸せになってくれ。
この指輪は、私の祖母が近衛家から嫁いできた時に持ってきた我が家の家宝だ。
大変高価なものだと聞いている。
出来ればこの指輪でウエディングに望んでもらえないだろうか。

                          ――――田吾作――――――

地中海に真っ赤な夕日が沈み、地平線の彼方にほんのりと赤く夕焼けが残っている頃、夜の帳が降りた白亜の別荘に2人が乗ったリムジンが着いた。
別荘は綺麗にライトアップされている。
純白のウエディングドレスのまま、リムジンから降りようとする千里に、准一が素早く廻り込むと、千里を軽々とお嬢様だっこして、玄関の階段を登り始めたのある。
「ウエディングドレスの千里さん、本当に特別に綺麗だよ。」とお決まりの言葉を准一が囁いた。
「ありがとう、准くん。」
千里は目を瞑り、准一の胸に顔を埋めるように身を委ねたあと、ちょっと准一の顔を見上げて、処女のように可愛く微笑んだのである。
千里は人生最大の幸せな一瞬だと思って眼を伏せた。
千里の顔を覗き込むように優しく微笑み返す准一。
(まったく三十路過ぎのいい年しやがって。コノー。なに可愛い子ぶってるんだ、この年増!!!。今日の夜は俺のブリーフをビンビンに噛ませて、特別強烈な猿轡を御見舞してやるからな。覚悟しておけ。)
そう思いながら准一は、
「ホント千里さんは、いつも可憐な少女みたい。とっても可愛いよ」
とまた囁いた。
「ねえ、准くん!。ワタシが“おばさん”になってもサイパンに連れてってくれる?。」
「う、うん・・」
「派手な水着はとても無理よ!。若い子には負けるわ!♪♪」と口ずさんだのである。
地中海は、完全な闇が降り、数え切れない星が瞬いていた。
                          ――完――




幸せな結末・10章

第10章

それから8時間後、ここは横浜港の貨物船が連なるように接岸している岸壁の側に立つ倉庫群の中にある古びた小さな倉庫の前である。
人気のない倉庫の前に、黒光りした高級セダンが横付けしたのである。
倉庫の前で車は2回クラクションを鳴らすと、そのあと2人のスーツ姿の男が車から出て来たのである。
男は、九十九商事の副社長の津川と同じく社長室長の村上である。
2人とも、一流商社の幹部らしく髪に整髪クリームをしっかりと付け、オーダーメイドの紺のスーツをビチッと着込んでいる。

すると、一人の若い男が倉庫の事務所の入り口のドアを開けて、中に入るように促した。
若い男の名前は、滝沢准一である。
中に入って向き合った3人は、互いの心の中を読みあうかのように顔色を窺いあうように顔を見合わせている。
「君が我が社の滝沢君かね?」と村上が口火を切った。
「はい。はじめまして、今年、総務課に配属された滝沢准一です。ご存知ないでしょ?」
そう滝沢は言うとニヒルに唇をかすかに動かした。
「電話で渡したいものがあるとか言っていたが、何のことかわからんのだがねぇ」
「もうそんな、駆け引きはやめましょうよ。わからないのなら、わざわざ、ここにはこられないでしょ?。・・・・僕、秘書課の真中由紀恵と付き合ってるんですよ。・・・・それならおわかりでしょう?。・・・それで、由紀恵が(どうしても口を割らないスケが一人いるんで、力を貸してくれって、)言われましてね。それで昨晩、一芝居打って、それで見付け出したものがあるんですよ。」
見付け出したものがある、と言われ津川と村上の顔色が変わった。
「人目につくんじゃマズいと思いましてね。ここまでご足労願ったんですよ。」
「そうか、・・・・由紀恵さんと交際してるのか、それを聞いて安心したよ。それで見つけたものとは、何かね。」と津川が始めて口を開いた。
「これでしょ?」と言って滝沢がポケットから50円玉くらいの厚さ、大きさのものを取り出した。
急いで駆け寄る津川と村上は、准一から奪い取るようにひったくると、その「もの」を覗き込んだ。
真ん中にスイス・チューリッヒ銀行の金色の刻印が刻まれたマイクロチップである。
2人の男の顔色が途端に喜色ばんできた。
「おおぉ、将にこれだ。・・・これをどこで?」
「もちろん、あの高森って女が持ってましたよ。」
「それじゃ、あの高森千里が白状したのかね。どこにあったんだね。」
「女はいろんなところに物を隠す穴を持ってますからねぇ。ふふふ。一芝居打って、耳元でちょっと甘い言葉を囁いたら、直ぐにトロ~ンとした目になりましてね。お股を開かせるなんて訳ありませんよ。ふふふ。裸にひん剥いたら簡単に見つけられるもんですよ。・・・・全くウチの女子社員も甘っちょろいもんですね。」
そう言うと准一は冷酷な笑みを頬に浮かべたのだ。
「これは、我々が頂いていいんだね。必ず礼はする。君の将来も我々が保障するよ。」
「それはありがとうございます。もう直ぐしたら、僕、由紀恵と結婚するんですよ、つまり大江戸組の人間になるってことですよ。分け前は約束通り5分と5分ということで。今後も色々仲良くやっていきたいんでね。いいんですね。」
頷く津川と村上。安堵の表情が顔から滲み出ている。
「さあ、村上君、急いで今日のパリ行きの飛行機に飛び乗ろう、我々には時間がないんだ。」
と津川は心が急いている。
「ええ、わかってます。ところで、滝沢君、由紀恵さんはどうしたんだ?。見えないようだが。・・・・・それと高森君はどこにいる。彼女をこのまま生かして置く訳にもいかんのだよ。」
そう村上が聞いてきた。

「由紀恵は今、おなかが空いたとか言って、メシ食いに街の方にさっき出ていきましたよ。もう直ぐ帰ってきますよ・・・・それから、高森とかいう、甘ちゃんの女は、そこの奥で大人しくさせてますよ。ご覧になりますか?。今晩の香港行きの貨物船に載せる手筈は出来てます。貨物船の船長に話は付けてますよ。「生肉」ということでね。ふふふ。」
そう滝沢は言うと倉庫の中の方に、津川と村上を導いていった。
倉庫の奥のコンクリート床に、薄汚い毛布が掛けられたこんもりしたものがあった。
まるで大型犬が身体を丸めてうずくまっているような大きさである。
そして、本当に生き物がいるかのように毛布がかすかに動いているのである。
「あれかね?」と興味深そうに聞く津川。2人は興味津々に毛布の方を見ている。
毛布の側には、ピンクのブラジャーとショーツが脱ぎ捨てられている。
「ふふふ。まあご覧になって下さいよ。このまま箱詰めにして香港に輸出しようと思ってるんですがね。じゃどうぞ。ふふふふ。」
滝沢が薄汚い毛布を外した。
中には全裸にされた女が胡坐をかいた姿で後ろ手に縛られてうずくまっていたのである。

はっと息を呑む2人。
アイマスクで目隠しをされ、口には赤いボールの猿轡を噛まされているのだ。
それも尋常な大きさのボールではない。
まるで唇の端が微かに震えることしか出来ないと思わせる程、大きくて口一杯に噛まされている。
顎も頬も全く動かないと思えるほど精一杯に引き伸びており、微かな呻き声というより、呼吸する音程度しか声が出せないような強烈な猿轡なのである。
おそらく嵌められた千里は顎が外れると感じているくらい厳しく残酷な噛ませなのだ。
その上、頭のてっぺんから顎にかけてほっ被りのように革のストラップが巻かれ、頭もヘッドギアのように革が巻かれている。
視界も奪われ、呻き声させ奪われているのである。
涎は全く飲み込めないらしく、口から大量の涎が流れだし、コンクリート床が広範囲に濡れている。随分長時間噛まされたままなのが窺い知れるのである。
後ろ手に廻された腕は、背中で掌が上を向くように捻じり上げられてから掌を合掌させらて白いロープで縛られている。
背面合掌縛りなのである。
合わさった指までも解けないように黒い細革のヒモで結びつけられていて、腕や手の自由は完全に封じられていた。
余程肩や腕の関節が柔らかくないと出来ない厳しい緊縛である。
胸に廻された縄尻は、乳房の上下に厳しく食い込まされており、首から廻ってきたロープで乳房と乳房の間を分けるように通されており、小ぶりな乳房を締め付けている。
胡坐を掻いた状態にさせられて足首を交差させたから縛り上げ、縄尻を首に通されて締め上げられている。
後ろ手に緊縛され、胡坐を掻いた姿勢で、胸と足首が引っ付くくらいの前傾姿勢にさせられていたのである。
小ぶりな乳房は上下から無慈悲に締め付けられ、乳がん検査のマンモグラフィーのように押しつぶされて変形している。
まるで、白い母乳が滴り落ちるのではないか、と思わせるように歪み無残に突き出ていた。

そして下半身は、ショーツも剥ぎ取られた丸裸の状態で、胡坐を掻いた姿勢のまま、床に横倒しにされていたのである。
男達3人の前に股間が丸見えになっている。
「ムムム」とほんの僅かに呻き声を上げ、不自由な身体を必死にくねらせて悶えている。
しかし、緊縛は残酷なほど完璧であり、おそらく彼女の意思で動かせるのは、瞼と足の指先だけであろう。
生きている生肉が微かに動いた程度なのである。
「これは、これは。ほんとうに残酷な事を君もするもんだね。ははっはは。何もここまでしなくても。丸の内小町とまで言われた高森君がこんな姿にさせられるなんて。・・・・・それになんだいこれは?」と言いながら村上が千里の股間に顔を近づけてきた。
言葉と裏腹に全く同情などしてなくて、興味津々、「よくやってくれた」という表情なのである。
千里の股間には、少年野球のバットのグリップほどの黒い棒が突き刺さっていたのである。
先端が黒く丸くなった棒が下のお口に銜え込まされていたのだ。
「さっきまで、由紀恵がスイッチを入れながらグリグリして遊んでました。千里も満更じゃないらしく、腰を振って喜んでました。この女ときたら、こんな時でも大洪水を起こしましてね。スケベな女っているもんですね。へへへ。まあ面白い見物でした。」
と滝沢が笑って話す。
津川が今度は千里に近づきながら、股間に指を伸ばしてきた。
「ふふふ。それに綺麗な色のお尻をしてるんだね。高森君は!。ええ、どおだい。こんな美人のお尻の穴の毛や、尻の皺が真近で見れるなんて嬉しいねぇ。1本お尻の毛を拝借するよ。災難除けのまじないには、美人の尻の毛って昔っからよく言うからね。高森君ほどの美人の毛なら霊験新たかだろうよ。村上君!、君も1本どうかね?!。えぇ、(ニヤニヤ)君がカラオケでよく歌うフミヤの『下の毛以上 原の毛未満♪』って将にこの尻の穴の毛のことなんじゃないかい!ははっはは」
津川は、くだらないオヤジギャグを飛ばしながら、厭らしそうに丸見えになった千里のお尻の穴から毛を1本抜いて、喜色満面にハンカチに大事そうに包んだのである。
この時も千里は身体をピクリと動かすことしか抵抗することは出来なかったのである。

2人は名残惜しいそうに立ち上がった。
「もっと楽しみたいのだが、残念だ。我々はとにかく一刻も早くスイスに行きたいんでね。
これで失敬するよ。今からなら成田発で今日のパリ行きに間に合うからね。由紀恵さんにはくれぐれも宜しくとお伝え願いたい。滝沢君といったね。絶対に君にも謝礼をするよ。本当にありがとう。それじゃこの高森君の始末も宜しく頼むよ。」
2人は挨拶もそこそこに車に乗り込んだのである。
2人が乗った車が倉庫群の角を曲がり、見えなくなった。

2人と入れ替わるように、倉庫の更に奥の部屋から、一人の女が微笑を湛えながら入ってきた。
余程嬉しいのだろう。
昔の懐メロをハミングしながら、ご機嫌な表情でやってきたのだ。
転がされている女の前にしゃがみ込むと、股間の電気製品のSWを(強)にしてから滝沢に振り向いて話しかけた。
「ねえ、もう少しこの子と遊んでてもいいでしょ?」
それから縛られた塊に向かいながら、
「ねえ、あなた、どお?今の気持ちは?。クスクスクス。ほほほほ!。ねえ?(お前たちのやっている事は、全部すべてまるっとどこまでもお見通しだぁ、)って言ってもいいかしら?」とクスクス言いながら笑った。
傍に立っていた滝沢も堪えるようにクスクスと笑っていた。

女が口ずさんだ懐メロは1980年代に「松茸聖子」が歌った「朝起ちぬ」だった。
そのメロディラインが、縛られた女の感情を一層逆なでしていたのである






幸せな結末・9章

第9章

千里の上着を脱がすと、准一はブラウスの上からそっとバストに手を当ててきた。
千里は形式的に一応胸に手を当てて、准一の手を拒むポーズをとっている。
やがて、ブラウスの一番上のボタンに手が伸びてきた。
2つ目、3つ目と順にボタンが外されていった。
エメラルドブルーのブラジャーのハーフカップが顔を出してきた。
千里は、拒む真似をしながらも、されるがままである。
そして、ブラウスが脱がされた。
電気を暗くした部屋に、千里の真っ白な素肌がほのかに光っている。
光沢のあるエメラルドブルーのブラジャーの背中のオーソドックスなバックスタイルが浮き上がったように准一の眼に飛び込んできた。
准一の骨っぽい手が、ブラジャーのカップの上から、千里の乳房の柔らかさを確かめている。
千里の吐く熱い息の音が、大きな音になって、狭いアパートの部屋の中に響いてくる。
「ねえ、千里さん。お願い、軽く縛らせて、軽く優しく、そっと縛るから。」
「え!、イヤよ、そんなの。やめて、」
「僕、さっき千里さんが縛れている姿、窓の外からずっと見てました・・・・・・・・。
凄く綺麗だったんです。美しいと思ったんです。だから、もう一度いいでしょ?痛くないように優しくします。・・・・ねえ、お願い!。」
そう言いながら、すでにシルクのスカーフを千里の手首に巻きつけてきていた。
千里も、小さな声で、「イヤよ、」と言っただけで、手を腰の後ろに廻されても、拒もうとはしない。
軽く、しかし、簡単には解けないくらいに腰の後ろ辺りで、千里が後ろ手に縛られた。
手の自由を奪った准一が、千里の乳房を手のブラの上から揉みながら、背後から千里の襟足をそっと舐めだした。
「やめて。」と言いながら、千里が身を捩じらす。
准一は襟足から耳たぶをそっと舐め、肩からブラジャーのストラップに沿って、背中に舌を廻していく。
肩甲骨の出っ張りを堪能してから、ブラジャーのやや太めのバックベルト、ホックをそっと舐めていく。
准一には千里の身につけている2段ホックのオーソドックスなブラジャーの素材や形状、ゴツゴツ感までが舌先にしっかりと伝わってくる。
ひとつひとつ千里の身体のこと全てが、自分の細胞の中に染み込んでインプットされるように、千里の身体を優しく舐めるのである。
スカートもそっと脱がされて、ガードルが外されていく。
千里にはなす術もないスピードである。
全く贅肉のない引き締まったスレンダーな千里の真っ白な肢体の全容が明らかになった。
准一が背中のブラジャーのホックを外してきた。
千里の真っ白な背中から、腋の下にブラジャーの赤い窪み、痕がくっきりと残っている。
准一がその赤い窪みに舌を当ててきた。
背中から、腋の下、そして乳房へと舌が移ってきた。ブラジャーのカップが外されると、お椀形の可愛い小ぶりな乳房が准一の大きな掌にすっぽりと入ってしまった。
乳房の下にも、ブラの赤い跡が艶かしく見え、准一の舌がそっと舐めていく。
綺麗なピンク色の勃起した乳首を舌先で転がすように愛撫すると、千里は唇を噛み、喘ぎ声を出さないようにじっと耐えていた。
しかし、大きく洩れる鼻息が段々と大きくなってきた。
准一の手が太股から熱い股間に伸びてきている。
とうとう、堪えきれずに千里が声を出したのである。
「・・・・お願い、・・・口も縛って。」
「・・・・・・?」
「・・・・お願い、・・口を・・ふさ・・いで。・・お願い、もう、だめ。」
「ねえ、千里さん、口も縛ってじゃなくて、・・・・・猿轡を噛ませて下さい。お願いします。でしょ?。言ってごらん。」
「・・・・・・・・」
「ほら、千里さん、お願いしないと、いつまでも猿轡は貰えませんよ。」
「・・・・・・・」
「ほら、千里さん。」
「・・・・さる・・ぐつ・わ、をお願いします。」
准一は千里を背後から抱きかけている。
左手で千里の左の乳首を指先で愛撫しながら、右手はショーツの上から、クリクリと指に腹をそっと動かしていた。
舌で千里の,耳たぶをそっと舐めながら、また囁いた。
「猿轡を噛ませて下さい。お願いしますって言わないとダメです。」
「・・・・もう・・・タキくん、・・の・いじわ・る・・・・・猿・ぐつ・わを、噛ませて下さい。お願いします。」
絞りだすように、恥らいながら千里が囁くように声をだした。
准一はベッドの傍に用意していたかのように、豆絞りの手拭とハンカチを取り出して、千里の前に見せた。
「これを噛ませて欲しいんでしょ?」
「・・・・・」黙って可愛く頷く千里。
千里の口に小さく丸められたハンカチが詰め込まれた。
続いて、准一が豆絞りの手拭を千里の目の前でさらしながら、真ん中に輪を作ってから、左右に引き絞ると小さな胡桃のような結びコブが出来あがった。
千里が猿轡に結びコブが目の前で作られるのを、うっとりと見詰めている。
千里は口に詰め込まれたハンカチを吐き出そうともせず、准一から猿轡されるのを、おねだりするかのように口を開けて待っているのだ。
准一が豆絞りの手拭の結びコブを口に綺麗に嵌め込み、うなじに引き絞った。
千里は猿轡を噛ませてもらった途端に、水を得た魚のように呻き声を上げ出したのである。
「好きなだけ鳴いていいんだよ。」
という准一の声に頷くかのように、結びコブを口の奥までしっかりと銜えこみ、しっかりと噛み締めている。
准一の舌と両手の人差し指と中指が器用に、ねっとりと千里の身体の全身を這いまわっていく。
千里は眼を瞑り、眉間に大きな縦皺を刻みこんだ表情で、悶え、身体をくねらせている。
極真空手の有段者で、長身痩躯の准一。
すべての贅肉が削ぎ落とされ、肩から胸部、腹筋から下半身まで浅黒く硬く引き締まった肉体の准一の身体が、千里を包み込んでいく。深くそして優しくゆっくりと。
そして囀る事を許された小鳥が喜び勇んで歌うように、千里は猿轡の結びコブを力いっぱい銜え込み、くぐもった呻き声を歌いながら、愛される喜びを表現していったのである。

アパートの窓からは、東の空が明るくなっているのがわかるまでになっていたが、重なりあって愛を確かめ合う2人は気付かなかったのである。


幸せな結末・8章

第8章

入ってきた男は、20代前半の背が高く、綺麗な顔立ちをした優しげな男であった。
男は部屋に入ってくるなり、千里に近づき、背中で縛られている縛めを解き始めたのである。
千里は男の顔に見覚えがあった。
見覚えではなく、あきらかに知っていた。
九十九商事の今年の新入社員で、別のフロアにある総務部の「滝沢准一」だったのである。
将に今時の超イケメンなのである。
端正な顔だち、優しげな目許、引き締まって長身な体躯、そして、時折見せる最高の笑顔で、入社の時から、九十九商事中の女性社員の噂を1人締めしている男の子なのである。
最高にイイ男という意味で、女性たちは彼の事を「ベスト」という隠語を使って呼び合っていた。
准一が、千里の縛めを解ききると、やっと猿轡の結び目を解き始めてくれた。
「高森さん、大丈夫ですか?歩けますか?」と聞いて来た。
(『僕の心はバイオリン』、これからはタッキーの声で読んでネ。)
やっと猿轡を外された千里は、突然の展開に動転して、「ハイ。」と言うのが精一杯である。
滝沢が足のロープを解き終えると、千里を強い力でお嬢様だっこに抱きかかえてから、部屋のドアを足で蹴り開け、玄関に向った。
隣の部屋には、由紀恵と辰の姿は見えなかった。
千里は身を固くして、准一の腕の中で、包み込まれるように抱き上げられている。
玄関の戸も蹴り開けると、玄関の前に留めていた中古の4ドアセダンに千里を載せた。
とにかく一刻も早く、現場から離れたかった。
猛スピードで発進すると、木立の中を抜け、高速道路に飛び乗り、最初のPAの駐車場の端っこに車を止めてエンジンを止めた。
すでに深夜になっている。
近くには、他に車は停まっていない離れた場所だ。
やっとここまできて、一息ついたのである。
准一が、自動販売機から温かい缶コーヒーを買ってきてくれて、2人で飲むと、やっと千里も冷静さを平静を取り戻していた。
「大丈夫ですか?高森さん。お怪我はありませんでしたか?」
「え、ええ、本当にありがとう。おかげで助かったわ。でも、滝沢君、どうしてここが?」
「高森さんのことが凄く気になって、それに同じ秘書課の真中さんの様子が変なので、後ろをずっとつけていたんです。そしたら高森さんを車に乗せたんで、会社に黙ってあとをつけてたのです。何かイヤな胸騒ぎがして。・・・・・・・でも僕のことご存知なんですか?だって新入社員なんですよ。僕。お話するの初めてですよ。」
「もちろん知ってるわよ。・・・・・・・・あなたの事を知らない女性なんか、うちの会社には誰もいないわよ。入社の時から会社中の女性が・・・・・・・・・みんなあなたの事で話は持ちきりよ。すっごく可愛くて、あ、ごめんなさい、男性に可愛いだなんて。・・・・背が高くて、顔が綺麗な素敵な男性が入社したってみんなキャーキャー言ってるわ。でも、滝沢君こそ、どうして私のことを?」
「え!、僕だって、ずっと高森さんのことが気になって、毎日遠くからずっと見てました。」
「私のことを?・・・・・・」
「ハイ。入社式の日に社長の後ろに立ってる高森さんのことを見てから、ず~と高森さんだけを・・・・・・。見てました。」
「・・・・・・・・・」
「あの~、高森さん、その~。えっと、・・・・・」
「何?」
千里は冷静を装い、年上の女性を演出しながら、優しく返事をした。
「・・・・・あのぉ、僕、高森さんの事、これから千里さんって呼んでいいですか?。」
「えぇ。」ドキッとしながら千里も答える。
准一は恥らうように、そして、嬉しそうに笑った。
「僕、入社以来、千里さんだけを見てました。他の女の人なんて目に入らないんです。」
「・・・・・」
「本当です。初めて千里さんを見て、こんな綺麗な女性が東京には居るんだと思ってビックリしたんです。まるで天使みたいに美しいヒトってこの世にいるんだなって!。」
「お上手なのね。・・・・・無理しなくいいのよ。営業の黒木さんとか、経理の美咲ちゃんとか、綺麗な人なら、うちにはたくさんいるわよ。・・・・・」
「全然比べ物にもなりません。千里さんみたいな美しい女性は東京中を捜しても間違いなくいません。・・・・・・。僕、本当に千里さんしか見えないんです。例え1万人女性が居ても、千里さんならすぐに見つけられます。自信あります。・・・・・僕、どうしても、千里さんを守りたかったんです。だから何か今日は凄く気になって。僕に・・・・これからもずっと千里さんを守らせて下さい。」
この程度の口説かれ方など、何十回も千里はこれまでに経験している。
普段の千里なら、相手を傷つけないように、上手に断る術を完璧に身につけていた。
しかし、今日は違った。
助け出してもらった千里は、特別に気持ちが高揚していた。
目の前のイケ面の背の高い准一が白馬に跨った素敵な王子様に見えていた。
9歳年下のイケメンの男の子が、真剣に必死に、顔を少し赤らめながら千里を見詰めながら、話しているのだ。マジでドキドキしてしまっていた。
こんなに心が純粋にときめくなんて、千里も本当に久しぶりだ。
もう話す言葉がなかった。頬を染めるようにじっと黙り込んでしまった。
(いい歳しやがって、イケメンの年下の男の子の前で可愛い子ぶるんじゃねぇ、という背後霊の声はまたも千里の耳には入らなかったのである。)

俯きながら、可愛く下唇を噛んで、すでに千里は肩をすぼめる姿勢になっていた。
数秒後、千里は軽く目を閉じた。
狭い車の中で、准一の身体が自分に近づいてくる気配がわかった。
左の肩にそっと准一の手が廻ったのがわかる。
准一の熱い吐息が頬をなでる。
心臓の鼓動を准一に聞かれるのではないかと一層ドキドキしている。
パーキングの他の車のエンジン音も聞こえなくなった。
千里の小さな顎を、准一がそっと持ち上げる。
そして、囁くような小さな声が、千里の耳に届いた。
「僕に千里さんをずっと守らせて下さい。千里さん、・・・・・本当に綺麗です。」

30分後、深夜の東名高速を2人は飛ばしていた。
運転する准一の左肩を枕にするように、千里が寄り添っていた。
「千里さんの家は、やはり危険です。僕の家、横浜なんです。狭いアパートですけど、しばらくアパートに来て下さい。お願いします。」
「ありがとう。」
それから、千里はこの3日間に起こったおおよその事を准一に話したのである。
千里の手首には、ロープで縛られていた痕が痛々しく残っている。

横浜の外れの方にある小さなアパートに准一は千里を導いた。
2DKの小さなアパートが准一の部屋だった。
部屋に入ると、准一が暖かいレトルトのシチュウとコーヒーを準備してくれた。
ファンヒーターのスイッチを入れてから
「すぐ部屋が暖かくなりますから、でも、辛かったでしょう?」と言いながら、手首のロープの痕を優しく撫でてくれる。
「ありがとう、タキくん。」と千里が甘えた声をだす。
(めっちゃイイ雰囲気である。)

滝沢が千里の背後に廻り、そっと包み込むように優しく抱きしめた。
「ダメよ。」と小さな声で言いながら、拒もうとしない千里。
伏目がちに千里が、目を閉じようとした時、准一が千里の唇を塞ぐように覆い被さってきた。

長い長いキスが終わり、唇が離れた時、千里の眼はもうウットリ、となっている。
准一がそっと、千里のスーツのボタンを外し始めた。
麗子はまたも「ダメよ」と言いながら拒もうとはしなかった。





幸せな結末・7章

第7章

千里は別荘の一室のデッキチェアに、後ろ手に縛り上げられたままである。
着衣の乱れは、全くない。
濃紺のスーツの前のボタンを留めた姿の上から、白いロープでキリキリと縛り上げられていた。
後ろ手に背中の上部あたりまで両腕を捻り上げられてから、手首を重ねるように縛られている。
胸に廻ったロープがスーツの上からバストの上下に幾重に巻かれ、二の腕と乳房の間と両乳房の真ん中の谷間にも縦縄が噛まされており、上半身の自由を完全に奪っていた。
縄目と縄目の間から、千里の小ぶりなバストがスーツ越しにこんもりと盛り上がっている。
スーツの上からも、ウエストが引き締まり綺麗な縊れを作っているのがわかる。
タイトミニスカートから伸びる細くてスラリとした長い足は、淡いパールのストッキングに包まれており、モデルのような美脚である。
黒いパンプスのまま、足首を交差させるように組ませてから、くるぶしの辺りを縛り上げられていた。
足首を交差させることで、千里が立ちあがっても全く移動出来ないようにである。
膝上は縛られておらず足首を交差させられている為、自然と太股が開きがちになる。
千里が意識的に太股の絞まりに注意していないと、ミニスカートの中が正面から覗けそうになるのである。
3人の男たちは、隙あらば千里の股間の奥の三角形を覗きみようとニヤつきながら、腰を屈めているのである。
そして、ミス九十九商事と言われる整った端正な顔は、無粋な猿轡で歪められていた。
後輩秘書の由紀恵が今日一日履いていた黒いショーツを口一杯に詰めこまれ、真ん中に結びコブを作った日本手拭をその上から、吐き出せないようにしっかりと噛まされているのである。
小ぶりの結びコブが,口の奥までしっかりと噛み込まされていて、頬が歪み、唇が左右に伸び、鼻梁の両端に大きな溝のような皺がよっている。
綺麗に髪をアップにした細く透き通るように白くて長い襟足に残酷なほど厳しく締め上げられおり、2重の米結びの結び目が憐れさを漂わせていた。
口の中がからからになり、顎が痺れてきて辛い。
何とか猿轡だけでも外したくて首を振って手拭を緩めようとしても全く緩まない。
厳しく縛り上げらた腕も痺れてきて痛い。
これまで経験したこともないような苦痛に、千里は身を捩って必死に耐えていた。
その小さく震えるような身悶えが、男達にとっては堪らないのである。
村上がじっと千里の股間を見詰めながら近づいてきた。
「『猿轡の辛さに耐えかねるように身悶えする美女の姿ほど、この世で美しいものない』と言ったのは、19世紀のロシアの文豪、サルカマーセ・クツワノフの言葉だが、まさに名言だなぁ、云い得て妙とはまさにこの事だと、今の高森君をみていると実感するよ。本当にスーツのままで縛られ椅子に座った姿が本当に美しい。実に綺麗だ。それに、日本手拭というのが、また実にいい。結びコブを口にかっぽりと嵌め込まれて、口をモグモグさせてる高森君はまるで一枚の「絵」のようだね。本当にこれは芸術だよ。」
などと能書きを垂れながら、千里の前でしゃがみ込み、スカートの奥を見る姿勢から、太腿、ひざ、すねとねっとりと撫でながら、黒いパンプスまで手を下ろしてきたのだ。
「ウムムム」と小さく呻き声を上げる千里 。
村上は、千里の黒いパンプスを片方ずつ脱がすと汗を掻いた足をストッキングの上から舐め出したのである。
「まったく良い香りがするねぇ、美人だと足の香りまで芳しいものだねぇ。」
「ムムムムンンン」(この変態、ド助平、なめくじ野郎、)と今度は大きな呻き声を上げる千里。
汗ばんだ足を舐められるなど想像したこともなかった。この世の生き物ではない物を見るような眼で足元の村上を睨む千里。
村上は、千里の足の指先を口の中に含んで、味わうようにねっとりと舐めていく。
「厭きれた助平親爺だよ、まったく。私にもSMクラブの時、そうやってブーツの中の臭い足を舐めてたねぇ。」と由紀恵が笑い軽蔑するように見下した。
「てめえ、お嬢にそんな真似しやがったのか!」と辰がいきり立つ。
「まあ、いいじゃねえか、お嬢だって満更嫌いなプレイじゃなえ訳だし、ねえ、お嬢?」
と若頭の上田が笑いながら、辰をなだめている。
「ムグググググ」と千里の呻き声を一層大きくなった。
これまで味わったこともない気持ち悪さである。毛虫が足の指を這っているような気色悪さで、村上が蛇蝎のように見える。
「高森君の足が舐められるなんて夢のようだよ。」と言いながら舐め続けていた。

丁度、その時である。別荘の固定電話がなった。携帯は圏外の山奥である。
一応念の為、秘書課の由紀恵が受話器を取る。
副社長の津川からであった。
由紀恵が二言三言と話すと、「村上さん。津川さんからだよ。」と言って、村上と代わる。
村上が受話器を持って話し込んでいる。やっと受話器を置くと、
「これから東京に帰ることになった。明日以降の作戦の練り直しだ。2日後には社長が帰ってくるからね。もう失敗は許されない。綿密な作戦を立てないとな。」
そう言うと,若頭の上田に向って、
「上田さんも一緒に来て欲しい、との事だ。一緒に大変だが、東京に帰って欲しいんだが。」
「上田。一緒に帰ってやんな。ここは私と辰とでちゃんとこの女の見張りをするから大丈夫だ。」と由紀恵が上田に促す。
「そうですか?、お嬢。お嬢がそうおっしゃるんでしたら、そうしやす。」
と上田が言うと、辰に向って、
「しっかり、この女を見張っとくんだぞ。いいな。」と言いつける。
「由紀恵さん、いろいろ苛めて遊びたい気持ちはわかりますが、本当に大事な人質なんですから、この女に焼きを入れたり、顔に彫りを入れたり決してしないで下さいね。くれぐれもお願いしますよ。」と村上が念を押す。
「わかってるよ。私たちも今日はいろいろあって疲れちまったよ。辰に見張りをさせて、私も休むことにするよ。」
その言葉を聞きながら、村上と上田はワゴン車で東京に帰っていった。
辺り一帯は漆黒の闇である。
遠くに1つ2つ他の別荘の灯りが瞬いているのがわかる程度である。

あとに残った由紀恵は、辰に見張りを言いつけて、隣の部屋に入ろうとした。
「辰、私はちょっと横になるよ。お前も、絶対変な気を起こすんじゃないよ、わかったね。
居眠りなんかするんじゃないよ。」
「へい、お嬢、任せて下さい。お嬢こそゆっくりおやすみなさい。」
由紀恵が、千里の側に寄ってきてから、千里の顎を軽く指先で持ち上げて話かけた。
「私はね、自分より可愛いと言われる女を見ると、向かっ腹が立つのさ。特にあんたみたいな、あれだけ男から誘われても、態よく断りまくる清純派のお姫様気取りの女をみると虫唾が走るのさ。ふふふ、どおだい、2度と日本には帰れないように、香港辺りの暗黒街に売りさばいてやるから覚悟しとくんだね。夜が明けたら、ねっとりと苛めてやるよ。当分の間、縛られて猿轡されたままだからね。きっとそのうちに猿轡が快感になるよ。はははは。」
そう言い残してから、由紀恵は部屋を出ていった。

後に残った辰が、千里の背後から、襟足辺りをじっと見詰めている。
猿轡を絞められた襟足を眺めながら、鼻をくっつけてきた。
「まったく、いい臭いだぜ。」クンクン鼻を鳴らしながら、千里の襟足や髪の臭いを嗅いで、恍惚の表情を浮かべている。
とうとう、辰の顔が千里の襟足に近づき、猿轡の手拭の結び目辺りを舐められそうになった。
千里は、「ムンンググググ」と呻き声をあげながら、首を振った。
(逃れられない)そう思った時だった。
由紀恵が休んでいる方の部屋から、ガタンと大きな物音がしたのである。
辰が舐めるのを止め、隣の部屋の方に向かう。
「お嬢、失礼します。どうかされました?」そう言って、辰が声をかけるが返事がない。
辰が隣の部屋に入っていって、姿が見えなくなった。

どれくらいの時間がたったのだろう。
その間、千里は椅子に縛りつけられたまま、緩もうとしない猿轡の結びコブをじっと噛み締め、銜え込んだまま、伏目がちに3m前方の1点をじっと凝視していた。
下あごに力を入れたように、紫紺の手拭の結びコブを強く噛み締め、縛れた身体の痛みや、猿轡の顎の痺れにも耐え、身じろぎせずにじっと前を見詰める姿は、苛酷な運命に必死に耐え、決して犯人たちに屈服しないと覚悟を決めた清廉でしかも清楚な女性の意思の強さを表現していた。
ビジネススーツに綺麗な長い足をさらしたミニスカート姿で、関節のツボを抑えた見事な縛り。濃紺のスーツに白いロープが鮮やかに映えている。
口を割ったコブ噛ませ猿轡を絞め込まれたその姿は、まさに息を呑むような美しさなのである。
物音1つ聞こえない静寂のままの部屋である。
囚われの美女が千里でなければ表現できないような究極の芸術作品なのである。

辰が部屋を出ていって、15分くらいたっとのであろうか?
ふたたび、部屋のドアが静かに開いた。
千里がふたたび身を硬くして、ドアの方に顔を向けた。
ひとり背の高い男がゆっくりと部屋に入ってきたのである。





幸せな結末・6章

第6章

村上の説得に渋々由紀恵も納得した。
あとで、時間をかけてゆっくりと、いたぶればいいのである。
「ふ~ん、そうかい。それもそうだね。それじゃ仕方ないわね。」
と頷いた由紀恵の傍から元緊縛師の辰が話しかけてきた。
「お嬢!、当然猿轡も噛ませ直すんでしょ?。またさっきみたいな粘着テープじゃ色気も何もあったもんじゃない。やっぱり日本人には日本手拭ですぜ、お嬢。」
「そうさね。それじゃ日本手拭にするかね。せめて猿轡でも噛ませて色々楽しもうかね。舐めたり、揉んだりなら問題ないんだろう?。辰、手拭は用意しるのかい?」
「もちろんでさ。」
辰が持ってきた大きなバックを広げて見せた。
バッグの中には、色んな柄の日本手拭が多数綺麗に畳んで、揃えられている。
「ねえ、ちょっと千里さん、どの手拭で猿轡を噛まされてみたいんだい?。」
由紀恵がおどけて聞いてきた。
千里が由紀恵を睨みつけている。
そこに、辰が割り込んできた。
「お嬢、この手拭はいかがです。この紫の桔梗の花柄の手拭なんですがね。こんな風に結びコブを作った丸玉咥えなんか、こっちのお嬢様の口に良く似合うとおもうんですがねぇ。」
そう言いながら器用に手拭を廻すと、真ん中に小ぶりの結びコブが出来た。
紫というより、白地に紫紺の桔梗の大きな花柄の図柄のある手拭で、結びコブの部分に図柄が絶妙に重なりあっている。
「ほら、よく見なよ。」と辰が千里の目の前に結びコブの出来た手拭をぶら下げて見せている。
「ホントだね。中々いいじゃないか。じゃ、それにしようかね。」
と由紀恵が言う。
辰がポケットからハンカチを取り出して、丸めようとする。

「ちょっとお待ち!」
と由紀恵がいうと、自分のスカートの中からショーツを脱ごうとし始めたのである。
由紀恵も千里と同じように、黒っぽいビジネス用のスーツにタイトなミニスカート姿である。
細くて白い足が艶めかしく見え、黒いヒールの高いパンプスを履いている。
「お前たちは、向こうを向いてるんだよ。」
と言いながら、楽しそうにミニスカートの中から黒いショーツを脱いで見せたのである。
そのショーツが自分に噛まされる猿轡の詰め物だと千里にはわかった。
新入社員の時から、可愛い妹と目をかけてきた後輩から、騙され、裏切られた挙句、穿いていたショーツを猿轡の詰め物として噛まされる屈辱が堪らなく悔しい。
思いっきり睨みつけながら
「由紀恵さん、あなたこんなことして恥ずかしくないの?それでも人間なの?。・・・・・・恥を知りなさい!。この人でなし。」
とキツい口調で言い放ったのだ。
「恥を知りなさい?。ふふふふ。・・・・・これから、千里さん!あなたが恥を知るのよ。
ほほほほ。女としての生き恥をたっぷり知ることになるのよ。明日になったら、生まれたまんまの姿にしてあげるわ。座禅転がしって何かご存知?ふふふ。胡坐を掻いたまんま縛られるのよ。素っ裸でね。クスクス。股間が丸見えになって、たくさんの男たちからゲスな眼差しでジロジロ見られるのよ。・・・・ふふふ。そして、私が特大電動コケシで、たっぷりグリグリしてあげる!。ほほほ。どお?。女ですもの・・・・いくら意地を張っても直ぐにびしょ濡れになるわ。それを見られるのよ。どお?。想像しただけで恥ずかしいでしょ?。たくさんの男たちに凝視されて、どんなに恥ずかしくても、舌を噛んで自殺なんか出来ないようにしっかりと猿轡を噛ませてあげるわ。・・・・さあ、千里さん。私のパンティをご馳走するわ。まだ、温もりもあるし、ホカホカよ。いかがかしら?。ほほほほ。」
感情を逆撫でするように、丁寧な言葉遣いで話すと、今度は由紀恵が千里の前で、黒いショーツを見せつけた。
「こいつはいいや。羨ましい限りだ。」と辰が混ぜ返す。
「イヤッ」と千里が顔を背けた瞬間、由紀恵の手が千里の頤を鷲づかみにした。
「ほらほら、手間とらせるんじゃないわ。」
そう言って、由紀恵がショーツを捻じ込もうとする。
思いっきり顎に力を入れて拒絶しようとする千里。
「村上さんも見てないで、ちょっと手伝って。」
というより早く、村上が千里の鼻を摘み上げたのである。
必死に顔を揺すって抵抗したくても、全くの無駄であった。
鼻を摘み上げられ、顎を押さえられたら、何も出来ない。
由紀恵の黒いショーツが口の中に丹念に奥まで詰め込まれた。
「ウググウグ」と言いながら、由紀恵のショーツを受け入れざるを得なかったのである。
そして、口の上から由紀恵がショーツを押さえ込んでいるところに、辰が結びコブの手拭を丁寧に嵌め込んできた。
きっちり口にコブが嵌まってから、後ろに厳しく引き絞った。
黒いショーツの詰め物が外から見えないように、結びコブが千里の口にすっぽりと嵌り込んでいる。
口を大きく膨らませたように、結びコブを銜え込んだ千里の顔は、滑稽なくらい変形させられたのである。
「もっと強く締め上げな!。」と命じる由紀恵。
何度も引き絞ったあと、アップにした髪の綺麗な襟足で二重に結んで締めたのである。
「どお?私のショーツのお味は?。これまで会社で随分お世話になったお礼。ふふふ。ほら、口惜しいでしょ?。悔しかったら、悔しい!って言って御覧なさいな!。ほほほほ」
笑いながら嬉しそうに椅子に座った千里を上から覗き込む。
千里の端正な顔が洋梨のように頬の辺りでくびれる程、手拭が頬を割っている。
口は大きく上下に開かされ、奥歯まで手拭が噛み込まれているかのように、しっかりと結びコブが噛まされているのだ。
そして、本当に口惜しそうに屈辱に耐えるように正面の由紀恵を睨みつけている。

「ふふふ、素敵な顔よ。おばさん!。さあ、これでいいわね。大人しくするのよ。」
と由紀恵が千里の顎を指先で持ち上げながらほくそ笑んだ。
由紀恵の指先を振りほどくように、千里は顔を振り、顔を背け悔しそうに床を見詰めるしかなかったのである。
村上の表情がニンマリと崩れている。
「いや~、実に美しい姿だねえ~。私は以前から高森君がこんな姿で身悶えしているところを想像してたんだよ。ゆっくりと味合わさせていただくことにするよ。」
と普段のダンディな男からは想像もつかないスケベ中年そのもので、千里の揃えて縛られた太股の間から、ミニスカートの中身を覗き込もうとしている。
そこに、村上の動きを制するように、若頭の上田が由紀恵に話かけてきた。

「お嬢、そろそろワタシらにも、その探しておられる「宝物」の話をお聞かせ願えないもんですかねぇ、差し出がましいようですが、ワタシらもシノギをホッポリだしてるもんでしてねえ・・・・・金になるんですか?お嬢」
「ああ、そうだね。そろそろ,その話をしなくっちゃいけないね。ふふふ、上田!。このヤマはいくらのヤマだと思う?。・・・・驚くんじゃないよ、・・ふふ、なんと3000億円のヤマなのさ。3000億だよ。ふふふ。」
上田も辰も口をあんぐりして、目が点になって由紀恵の顔を見詰めている。
縛られている千里も猿轡された顔を由紀恵の方を凝視するように見詰めている。
「それじゃ、続きは私がすることにしよう。」
そう言うと村上がネクタイの歪みを直しながら、普段のダンディな姿勢になって、椅子に座った。

聞いて驚くなよ、と言わんばかりの顔で能書きから話し出したのである。
「我が九十九商事は、明治・大正・昭和と常に当時の明治政府に協力しながら、「政商」として、発展してきた事は知っているだろう。歴代・九十九一族は、当時の日本陸軍の関東軍と一緒に満州に進出して莫大な利益を稼ぎ出し、今日の隆盛の礎を築いた。将に、戦争あるところ九十九あり、で死の商人、戦争の犬だったのだ。ところが、第2次大戦の敗色が濃厚になった昭和18年、当時、中国にいた当時の日本陸軍中枢部の人間たちは、日本の敗北を予想して中国各地で略奪した金塊や貴金属を密かに私物化して隠匿しようとしたのだ。当時中国に居て、それを知った先代の4代目・九十九権兵衛は、ある時、自分が所有するトラックで金塊を盗み出し、ある場所に隠したのだ。私物化しようとする陸軍幹部が許せなかったらしい。4代目・権兵衛は、いつか日本の再建の為に役立てようと、九十九商船が所有する貨物船に乗せ、大連の港からヨーロッパに移送したのだ。そして、奇跡的に、そうまさにに奇跡的にアメリカの潜水艦に襲撃されることもなく、金塊を載せた貨物船はマラッカ海峡からインド洋、スエズ運河を通り、地中海に入り、当時同盟国だったイタリア経由でスイスにまで辿りついた。本当に奇跡的な幸運だったのだ。盗まれた陸軍の人間も、盗んだ犯人がまさか政商・九十九権兵衛だとは、夢にも思わなかったようだ。結局誰が盗んだかの詮索も出来ずじまいだったらしい。盗まれた軍人たちにも後ろめたさがあったのだろう。
金塊はスイス・チューリッヒ銀行の地下深くにある九十九権兵衛個人が借りた地下金庫に眠ったのだ。戦争に負け、権兵衛は進駐軍にも言わず、日本政府にも喋らず、黙って秘匿しつづけたのだ。本来の日本復興に役立てたいという意思とは裏腹に公表するタイミンググ逸したというべきだろう。あとを受けた息子の5代目・九十九田吾作も言い付けを守り、財宝をチューリッヒ銀行に秘匿し続けたのだ。秘匿されたお宝は、今の時価に換算すると3000億は下らないはずだ。この事を知っているのは、九十九一族と会社の上層部の数人だけだ。将に会社のトップシークレットなのだ。今もし、国税に知られたら大変なことになる。ましてや、外部に特に中国政府に漏れれば外交問題にまで発展するような大変な大問題さ。」
「それじゃ、もしかして「探し物」って、その金庫の鍵なんですね。この前盗みに入った九十九とかいうじいさんの家の金庫にあったカードと写した紙切れの番号も鍵の暗証番号なんですね?。」と若頭の上田が聞いて来た。
「うん。」と村上が頷いた。
「その通りだ。何せこの地上には,存在していないはずのお宝だ。鍵を開け、お宝を盗み出しても、会社としては訴えることが出来ないブラックマネーだ。関係者たちの口を塞げば、3000億が我々のものになるのさ。」
上田と辰がフリーズしたように身じろぎ出来ずに固まっている。
由紀恵があとを継ぐように話し出した。
「副社長の津川さんとこの村上さんは、先物取引で大きな穴を開けたもんだから、一刻も早くその金塊の一部でも現金に換えて、穴埋めしたいんだって。もちろん、大江戸組にもたっぷりとお礼が入るって仕組みなのよ。」
「しかし、今日社長室で言ったように、あと1つ何かチューリッヒ銀行の刻印が入ったマイクロチップかICカ-ドか、何かそんなものが必要なんだ。その何かの行方を知っているのは、おそらく五代社長と九十九のじいさんのみだろう。九十九の爺さんの家は隅々まで探した。あと残るは五代社長のみだ。自宅も昨日忍び込んで家捜しした。・・・・そこにも無かった。どこかに隠しているんだ。それを聞き出すまでは、この高森君は大切な囮ということになる。」
千里は怒りの炎を瞳に浮かべながら、村上の方をじっと凝視したままであった。

しかし、この時、別荘の窓の外から、気付かれないように中の様子をじっと見詰めている眼があったのである。
その眼は、椅子に縛りつけられた千里の緊縛・猿轡姿をじっと見詰めていたのである。




幸せな結末・5章

第5章

千里を乗せた車は、箱根の芦ノ湖からしばらく走った山間部の細い道を登っていく。
そして、山間部の奥まった生垣のある別荘の玄関の前にワゴン車が停まった。
西の空を夕日が真赤に染めて、山奥の別荘辺りは黄昏が迫っていた。
ドアが開き、男が後ろ手に手錠をかけられた千里を車から降ろす。
千里も一度だけ社長の御供で来たことのある箱根の別荘で、周りの山々の景色にも見覚えがあった。
ログハウス風の別荘の中のベットの上に千里がポンと放りだされた。黒いパンプスも履いたままだ。
「さあ、逃げ出せないように縛りあげるんだよ、いいかい、手抜きなんかするんじゃないよ。腕が折れるくらいにキリキリに縛り上げるんだ。さっき社長室での縛りはありゃなんだい!、全然なってなかったよ。もっと腕をねじ上げて、きつく締め上げるんだよ、いいね。」
男2人が白いロープを持って千里に近づいてきた。
この黒服の男たちは、「大江戸組」の連中であり、拳銃を持った男の方が若頭で名前を上田寛という背の高い細面の男だ。3人の中のリーダーなのである。
ベットの上の千里は起き上がり、嫌々している。
もう一人の男が縛りに慣れた元緊縛師で、通称「辰」と呼ばれている。
「そんなに暴れちゃ、スカートの中が丸見えだぜ、お嬢さん。」
と言いながら、辰が強い力で千里を捕まえた。
ベッドの端に座らさせて、足首から縛る。
揃えた足首を交差させてから白いロープを巻きつける。
「綺麗な足してんだな、ねえちゃん。これだけ足首が引き締まったスケは滅多にいないぜ。これからは、自慢しなよ。まったくしゃぶりつきたくなるぜ。」
と言いながら3重にロープを巻くと縦縄を足首の間に噛ます。
タイトミニスカートからは本当に綺麗で長い足がスラリと見え、ベッドの端に座る際も、股間のパンチラに気を使い、斜め下に足を引くように座ったため、一層色っぽく長く綺麗に見えたのである。
「綺麗な足だぜ」と言いながら、辰が麗子の太ももの奥に手を入れ、スルリと撫でる。
千里が辰をキッと睨みつける。
辰はにやりと笑いながら、「さあ、立ちな!」と命じ、千里がベッドの傍に立たされた。
これから腕を縛るのである。
若頭の上田が手錠を外す。逃げられないと悟った千里は抵抗しようとはしない。
「おい、握り拳を作るんだよ。そうすりゃ少しは痛みが和らぐぜ」と辰が耳元で囁いた。
白いロープは千里の左の手首に噛まされると、手馴れた手付きで、右手首も合わされ、高手小手に縛り上げらていく。
時折、千里が痛みを堪えて顔をしかめる中、手際よく縛られたロープがスーツの上から、少し盛り上がったバストの下に通される。
アンダーバストに引っ掛けるように下胸縄が2重に噛まされ、続いて上胸部にも同じくロープが噛まされていく。
二の腕と腋の間の胸縄にも縦縄が両サイド噛まされ、首から降ろしたロープがバストの間の谷間を通過してから、乳房を締め上げるように縛り上げられた。
ここで辰が、由紀恵の方を振り返って、
「お嬢!、このスケの下の口には何噛ませるんでぇ?。何ならロープにコブ作って股縄噛ませましょうか?」
「そうだねえ、電動バイブ噛ませるのが私は好きなんだがねえ。どうしようかね?」
笑いながら由紀恵が返す。
すると、これまで黙って緊縛を見ていた村上が口を挟んできた。
「ちょっとそれは待って下さい。由紀恵さん。やっぱり最初は、スーツ姿のまま、着衣も乱れずに綺麗に縛られた高森君の艶姿を堪能させて下さいよ。いつも仕事中のキビキビした彼女のスーツ姿見て、このままの姿で思いっきり縛りあげてみたいって思ってたんですよ。服を脱がすのは、明日以降ゆっくりいいじゃないですか?」
室長の村上が、小娘の由紀恵に敬語を使い出した。
「ふん、まったくスケベ親爺の変なフェチ丸出しだねえ、まあいいや。縛りはそんなもんでいいわ。そこのデッキチェアに座らせな」
由紀恵が命じると、村上も手伝って千里をベットの傍の椅子に座らせた。
村上が厭らしい手付きで、千里の腰を抱えた。
「しかし、本当に細いウエストだね。折れてしましそうな柳腰とはよく言ったもんだ。」
「さあぁ、ゆっくり話を聞こうとするかね。おい辰、その女の猿轡外してやるんだよ」
由紀恵が辰に命じた。
千里の口に付けられていた透明のビニールテープが外された。
由紀恵が口の中から唾液でビチョビチョになったゴムボールを取り出した。
千里が取り出される時、少しむせた。
ボールからは千里の唾液が糸を引いている。
ゴクンと唾を飲み込んだ千里が、大きく息を吸い込んでから毅然とした顔で言い放ったのだ。
「例え殺されても何も喋らないわ。村上さん、あなた五代社長には随分お世話になってるはずよ。その社長を裏切ってどういうつもり?。サイテーの男ね。・・・・・・・」
話し出すうちに怒りが込み上げて来て、言葉に詰まった。
そして、「もう口も効かない、」と宣言するかのように唇を噛んで横を向いたのだ。
「相変わらず気の強いアマだぜ、全く。ねえ、お嬢、この小娘、裸にひん剥いて、締め上げましょうや。へへへへ。女には色々締め上げ方ってもんがありますぜ。」と若頭が言う。
「そうだね~」と由紀恵が千里を見ながらにやりと笑った時だった。
「いや、それはまずいよ、由紀恵さん。玩具にして遊んでみたい気持ちは私にもわかるが、来週社長が帰国して、ここに連れ込むまでは大切な人質だし、とにかく副社長の判断を待つまでは、大人しくさせていなくては。間違っても、陵辱したりしては困るんだよ。・・
それよりも、万一舌なんか噛んだりはしないだろうねぇ、今頃の女性が会社や社長に義理立てして、まさかとは思うが、将来を悲観して思わずということもある。何せ一件落着の暁には、香港の苦界に身を沈めてもらって、2度と日本には帰ってこれないんだからね。
その代わり、随分高値で売れそうなんだよ。このクラスの上玉だと。」
別荘の周りはすでに夜の帳が降り、かなり暗くなっていた。


しかし、この時、後ろを尾行していた車が、別荘近くの空き地に停まり、一人の男が家の外から中の話を盗み聞きしているとは、誰も気付いていなかったのである。




















幸せな結末・4章

第4章

千里たち男女5人が乗ったワゴン車は、丸の内から、銀座の中心街をゆっくりと進んでいった。
平日のお昼だが、相変わらず買い物客たちや、ビジネスマンたちで凄い人通りである。
でも誰一人、車道に信号待ちで停まっているワゴン車の中に凄い美人が猿轡を噛まされて拉致されていこうとしているとは思わない。
千里は、懇願するような気持ちで窓の外を見やっていた。
誰か口にテープを貼られた自分に気付いてくれないかしら、というささやかな願望である。
信号待ちで再び車が止まった。
派出所のそばでは警邏中の警察官2人がブラックフィルムを張った自分たちのワゴン車の方をじっと見ている。
千里には自分と警察官との目が合ったように感じた。
「ムムムムムンンンン」と警察官に向かって思いっきり声を出してみた。
「静かにしなさい」と言って由紀恵がたしなめる。
しかし、無情にも警察官は気付かずに視線を逸らした。車が動き出した。
「はははは、残念だったな、お嬢さん!」と運転している男が笑うと、みんなが大笑いした。
千里だけが、口惜しさを噛み殺すように、口の中のゴムボールを噛み縛った。
車は銀座を抜け、首都高のランプに向かいだした。
由紀恵が綺麗に着こなしている千里のスーツの上から、バストを鷲づかみにして、
「こんな貧弱な胸に鍵を隠してたんですって!、フン。女の浅知恵ってよく言ったものね。しかし、あんたも大変なものを預かったもんだね。こんな目に遭うなんてとんだ災難ね、おばさん。どお?、今の気分は?」
さすがの千里もちょっと切れた。
(囚われている自分の立場を考えろ)、という背後霊の声が千里には聞こえないようだ。
「ウグググググ、ムググムググ・・」
(ちょっと、何回もおばさんって、どういう事!。その上ババアだって、ふざけんじゃないわよ。この貧乳女!。お前みたいなのからそんな事言われる筋合いじゃねえんだよ。この前だって、渋谷で女子大生に間違われたんだよ。てめえのほうがよっぽど老けてるじゃねえかよ。)
と怒りを込めてパンプスで由紀恵の足を踏みつけたのである。
更に、「ムムムンンン」
(ババアとか、おばさんって言われて黙ってられるほど私は柔じゃないのよ)
と声にならないとわかっていながら千里は喚いた。
「てめえ、ふざけんじゃねえぞ!」
と足を踏まれた由紀恵が怒って、千里の右の頬に激しい平手打ちが飛んだ。
「ちょっとお嬢!、大事な人質ですぜ、それに社長を誘き出して用が済んだら、シャブ漬けにして香港に売り飛ばす大事な玉ですぜ、丁寧に扱って下さいな。」
と拳銃を持っていた男が止めに入った。
千里を睨みつける由紀恵。頬を張られて涙目になりながらも物凄い顔で睨み返す千里。
凄い女の眼の火花が散った。

車は首都高を過ぎ、東名高速に入っていた。箱根にある九十九商事の別荘に向かっていた。
会社の保養所ということになっているが、利用できるのは数人の幹部のみである。
「まったく、この高森って女が私は気に入らないんだよ、ちょっとばかし美人だからって、会社中の男がみんな高森さん、高森さんって。何様だよ、いつかたっぷり痛い目にあわせようって考えてたんだ。」
千里には、あんなに可愛がっていた後輩の真中由紀恵の今の姿が信じられない。
完全に自分の前で猫を被っていたのである。
裏切り者をみるような目で由紀恵を凝視していた。
「ふふふ、信じられないって顔してんだね。それじゃ、私が誰か教えてやるよ。私は深川一帯を取り仕切ってる「大江戸組」の3代目の娘なんだよ、どお?驚いたかい?つまり極道の娘って訳さ、下町に行って「ごくせんの由紀ねえ」って言えばみんな避けて通るんだよ。」
千里が驚いたような顔で由紀恵を見詰めている。
他の男たちは皆ニヤついて聞いている。
「何でそんなのが、天下の九十九商事に入れたかって?、ふふふ、・・・・・そこに居る村上さんと副社長の津川さんが連れ立って、学生時代にバイトしてた店に遊びに来たのさ。ふふ。何の店かわかるかい?ふふ、SMクラブなんだよ。2人して私を店の外のマンションに連れ出して縛ったり猿轡したりして遊んだんだよね。そこをうちの若い連中が写真でパチリって訳さ。そおよね、村上さ~ん。」
村上室長はバツの悪そうな顔で、正面を向いたまま黙っている。
「それで、津川さんと村上さんにおねだりして、いっぱいお小遣い貰ったって訳さ。就職まで世話して貰っちゃってさ。その上、この2人とんでもない人達たちなんだよ。先物取引とかいう博打みてえなもんを会社に黙ってやったらしくて、会社の金、何十億も穴空けてるんだよね、そうよね、村上さん。会社にばれない様に、色々細工やったらしいだけどさ、とうとう隠し切れなくなって、今度の事を思いついたって訳さ。」

5人が由紀恵のおしゃべりに神妙に耳を傾けているとき、ワゴン車の後ろから1台の中古の4ドアセダンが尾行している事に誰も気付いていなかった。


幸せな結末・3章

第3章

猿轡を噛み縛ばり、息を呑んでドアの方を見詰める千里の視線の先に、後輩秘書の真中由紀恵の姿が入ってきた。
周りの視線を気にしながら、社長室の重厚な重いドアを物音をたてないようにそっと開けて、部屋に入ると、ゆっくりとドアを閉め、鍵をかけた。
「せんぱぁいィ~」と小さな声で由紀恵が部屋中をキョロキョロ見回しながら呼びかける。
入って来たのが、後輩の由紀恵とわかり、千里は安心して、声を出した。
「ムムンンンンン」と呻き声を千里が上げると、ソファの床に転がされた千里を由紀恵が目敏く見付け、あわてて駆け寄ってきた。
「先輩大丈夫ですか?。どうしたんです?、でも、よかった無事で。」
そう言いながら、まずネクタイの猿轡の結び目をうなじで解き、口の中から詰め物を取り出してくれた。
「フォ~!」と大きな息を出す千里。
由紀恵がロープの縛めを素早く解きながら話を続けた。
「先輩の顔色が急に悪くなって、何か思い詰めたような顔で秘書課を出て行かれたので、とても気になったんです。いやな予感っていうんですか?それで、社長室を窺っていたんです。そしたら、村上室長たちだけが出てきて、ゴロツキみたいな男たちがゾロゾロ出てくるんで、絶対変だと思ってました。先輩、何があったんですか?」
すでに、縛めは解ききっていて、千里は肌蹴たブラジャーのずれを修正しているところだ。
「由紀恵ちゃん、ホントありがとう。助かったわ。・・・あとで、ゆっくり話すわ。社内が大変なことになってるの。ここじゃ話せない、でも、一大事なの!。」
深刻な顔で頷きながら由紀恵が、床に散らばった千里の所持品をバックに戻している。

真中由紀恵は、入社2年目の後輩秘書で、一番千里が目をかけている子だ。
背格好や目鼻立ちがとても千里と似ていて、色白で性格も明るく、一人っ子の千里は実の妹のように可愛く思っていた。
実は千里は、母ひとり子ひとりの家庭で、父親の存在すら知らずに育ったのだ。
結局、母は父親のことを一言も話さず、昨年他界した。
由紀恵は言葉使いが綺麗でしかも丁寧で好感が持てた。
人懐っこく甘えてくる後輩が、妹のように感じて凄く可愛く特別親近感を覚えていた。
由紀恵もかなりのレベルの美人だと千里は思うのだが、聞こえてくる社内の評価は、「千里が太陽なら由紀恵は月」というくらい2人の美貌には大きな差がある、ということになっている。

綺麗に身嗜みを整え直した千里は、由紀恵からバックを返してもらうと、
「とにかく社外に出たいわ。出来るだけ人と合わずに社外に出たいの。」と言った。
千里は警察に連絡するべきかどうかを、考えていた。
しかし、まず社長拉致の真偽を確かめるのが先決であると思った。
信じられる人物は、九十九相談役しかいない気がしている。
まず、田園調布の相談役邸に駆け込みたかった。
「先輩、地下の駐車場に車を準備してるんです。そこにいきましょう。エレベータはやめて階段を使いましょう。途中怪しまれないように、化粧や髪のセットも直して下さい。そんな髪や顔じゃ、見た人間が怪しみます。」
床の上で必死に暴れた千里の顔と髪が乱れている。
「ありがとう。」そう言うと、2人はそっと社長室のドアを開け、廊下に人の気配がないのを確かめて、部屋を出た。
階段を下り、途中の階のトイレで素早く身嗜みを整えた。
簡単に化粧をして、髪を綺麗に整えた。
そして、普段の千里のように颯爽と歩きながら、ロビーを窺いながら地下駐車場までやってきた。
途中、数人の社員とすれ違ったが、誰も千里に特別な視線は向けない。
ほっとした気持ちで、由紀恵の後をついていく。
由紀恵が、地下駐車場の黒い8人乗りの大型ワゴン車に導いていき、ドアを開けた。
「先輩は、見られないように後部座席で身を屈めていて下さい。」
言われた通り、千里は後部座席の床に身を伏せた。
由紀恵が、「もう、ここまでくれば一安心ですね。」
と言いながら、怪しまれないように慎重に車を発進させて、地上にでた。

11月なのに日本晴れである。
雲ひとつない明るい空がぱっと広がった。
明るい光が、眼に眩しいほど、屋外はよく晴れている。
しかし、ワゴン車の周りにはブラックフィルムが張られ、外からは中の様子が伺い知れないのだ。
「フゥ~」と千里も安心感から大きな息を吐き出した。

由紀恵の運転する車が、丸の内のビル街をぐるりと一周したあと、何故か突然、ビルとビルの脇道に入った。
ビルとビルの死角の人気のない道で、車を止めた瞬間、ドアが開き男が1人乗り込んできたのだ。
「あ!」と言う間もなく、さっき社長室に居た黒服の男が素早く千里の居る後部座席に雪崩れ込み、千里の腕を掴んだ。
訳がわからず声を出せずに一瞬固まった時には、男の黒い拳銃が千里の左のわき腹に突き刺さっていた。
「おねえちゃん、静かにするんだぜ、これは脅しじゃないんだ。本物の弾が入ってるんだ。」
正面のフロントガラス以外はブラックフィルムを張ったワゴン車である。
外部からは中の様子は中々見えない。
由紀恵の助手席に村上も入ってきた。
由紀恵が運転席から降りるのと入れ替わりに黒服男が運転席に滑り込む。
由紀恵が今度は千里の座っている後部座席の2列目シートの右側に素早く移動してきたのである。
この間、千里は再び自分が捕らえられたと、頭が理解するまでの一瞬、思考が停止していて、言葉が出ない。
あっという間の異変だった。
拳銃を突きつけられたわき腹の冷たい重たさで、身体がフリーズしていたのである。
我に返った瞬間に、右側に座った由紀恵が千里の頬に小さな果物ナイフを当ててきた。
「いいかぁ、静かにするんだよ、おばさん!。声なんか出したら、その小皺の出来た目元にも赤いアイシャドーが出来ちまうわよ。」
普段の明るくて可愛い感じのする、どこかのお嬢様っぽい由紀恵とは、全くの別人である。
声にドスが利いてて凄みがある。彼女の素性が丸わかりになった。
手を動かそうとした瞬間、男から手首を掴まれ、由紀恵が千里に手錠をかけてきた。
両手を後ろに廻されると、後ろ手縛りに手錠を噛まされたのである。

村上が後部座席を振り返って、話かけてきた。
「由紀恵さん、ご苦労だったね。お疲れ様。」と言った後、そして、千里を見ながら、
「簡単に罠に引っかかってくれたね。見張りも置かずに、君を放置するとでも思ったのかい?。まあ、話はあとだ。とにかく騒がれてはまずいんでね。大人しくしてもらうよ。」
由紀恵が千里の頬を鷲づかみにしながら、また脅しつけてきた。
「さあ、おとなしく口を開けるんだよ!。」
しかし、すぐに口を開けようとしない千里に、更に追い討ちをかけてきた。
「さっさと開けねえかよ、このババア、ほらっあ!」
というと、ピンポン玉より2廻りくらい大きなゴムまりのような白いボールを口の中に捻じ込んできた。
必死に身体を揺すって拒絶しようとする千里に、
「静かにしろ!って言ってんのがわかんないのかよ、このクソババア!」
と由紀恵がまた喚く。黒服の男も千里の頤辺りを押さえつけようとしてきた。
千里の口の中に白いゴムボールがすっぽりと嵌めこまれた。
ちょうど、口いっぱいに入る大きさで、詰め込んだあと、由紀恵が顎を下から持ち上げて口を閉じさせようとする。
硬質なボールではなく、少しやわらかいボールが口の中に吸い付いて舌の動きを抑え込んだのである。
「さあ、早く唇を閉じな、」
と命じると、透明のビニール製の粘着テープを取り出し、唇よりちょっと大きめの大きさに切ると、千里の閉じた唇にぴったりと貼り付けてしまったのである。
少し遠くからや、瞬時に見たくらいでは、口にテープが貼られているのがわからない。
ボールを含んだ猿轡を噛まされているとは直ぐには解らないが、千里の声を完全に抹殺する機能的な猿轡が噛まされたのである。
拘束が完了したのを確認してから、ゆっくりとワゴン車が動き出した。
その時、助手席に座った社長室長の村上の携帯が鳴った。
副社長からだった。副社長の津川はもう一人の黒服の男をお供に別行動をとっていた。
一言二言喋ったあと、電話を切ると、車内にいる人間全員に聞こえるように、
「やはり、その女のアパートにもそれらしきものはなかったそうだ。・・・・・・・・・・
まあいい、箱根の別荘に着いたらたっぷり聞き出させてもらおうか?。しかし、白昼、東京のオフィスビルから女を誘拐して連れ出すのも骨が折れるもんだ。ホント由紀恵さんには感謝してるよ。全部君が筋書きを考えてくれたんだからな。」
「でもちょっと村上さん、このあとどうするんだい?。作戦変更したほうがいいんじゃないの?。この高森って女、いくら折檻しても大人しくゲロするような玉じゃないわよ。女同士だからわかるけど、気の強さは相当なもんだよ。それに本当に探し物の在りかを知ってるのかい?。」小娘の由紀恵が室長の村上にタメ口をきいた。
言われた村上が「う~ん」と考えこんでいる。

車は丸の内を一廻りしてから再び九十九商事のビルの前の信号に一旦停止している。
社外には、丁度千里が知っている営業部の若手男性2人が笑いながら歩道を歩いている。
声を出して助けを呼びたくても、呻き声しか出せない、そしてきっと聞こえないのである。
舌を抑え込んだゴムボールが憎らしい。
千里は傍に座る由紀恵を睨みつけた。
由紀恵が笑いながら勝ち誇ったように上品な言葉で、千里に言った。
「ほら、自分の会社をよく見てなさい、これが見納めになるのよ。2度とここには帰ってこないのよ。さよならするのね。はははは。」と由紀恵が傍で大笑いしたのである。






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