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ここは、自分のこだわりを書き綴った場にしたいと思ってます。小説はすべて私の頭の中の妄想・空想を書き綴っています。


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ギャグフェイスコレクション外伝 洋助の回想録 我が愛しの百合子嬢篇

第11章

―――奥多摩の榎本産業産廃投棄場。殺風景な錆びた看板以外は人っ子一人いない山中の、そのまた奥に作られた薄暗いこの場所には、スクラップにもならない鉄屑や、30年前のバスが駐留し、廃墟の雰囲気満点だ。後続の古株連中が到着するのを待って、俺たちは自分の車から降ろされる。
「へへへ、宇佐美。言っただろう、道中気をつけろと」
俺たちに遅れること三十分、大久保工場長はニマニマと残忍な笑みを浮かべ、俺と百合子嬢を交互に眺める。
「さてと、コイツラどうやって始末します?」
中堅どころの社員、古林が言う。
「宇佐美は榎本社長を裏切った重大犯罪人ですぜ。普通の殺り方じゃあ、みんなが納得しねぇ」
大久保の俺に対する恨みは半端じゃない様子だ。こりゃあ、俺の死にざまは相当無様になりそうだな。
「それにつけても許せないのはこの小娘だ。俺たちの恨みの大きさを感じながらあの世へ行けるよう、ちょっと残酷な方法を考えてみました」
平田は徹底的に百合子嬢を目の敵にしている。百合子嬢は覚悟を決めたのか、俺の傍らで毅然と佇んでいる。大久保は平田の計画に残忍な笑みを浮かべ頷くと毛命じた。
「さすがに泣き叫ばれたりしては始末が悪いし、苦しみがゆっくり続くよう、美しすぎる社長殿に猿轡を噛ませてやれぃ!!」
どこで準備したのか、手にはピンポン玉に穴の開いた革製のボールギャグを持っている。
そのボールギャグを百合子嬢の口に嵌めこむと、頬が洋梨のように醜く歪むまでストラップを絞り上げたのだ。


投棄上の片隅には雨水や、産廃から流れ出した誘導な液体がかなり深い沼を形成している。その畔に、小ぶりなクレーン車が横付けされた。ブイーンブーン・・・。大きなモーター音とともに、後ろ手に緊縛され、両足をピシーッと揃えられ縛られた我が可愛い女社長、成宮百合子嬢が逆さに吊り上げられていく。生足が眩しい、なんて言っている場合では無い。
「ンンッ!! ンンッ!! ンンンンン〜〜〜ッ!!」
百合子嬢はさすがに恐怖にボールギャグフェイスを引き攣らせ、喘いでいる。
「ようし、美人社長殿にゆっくり産廃エキスの風呂に浸かって戴け!! 俺たちの汗と涙が生み出した工場の廃棄物の沼地で窒息死するなんて、ハイエナファンドのお姫様にお似合いの死にざまだぜ!!」
大久保は狂喜している。もう普通じゃあない。
「や、やめろッ、その娘を殺すのは!! 俺なら殺してもいいから!! その娘だけはぁ!!」
俺はマジで叫んでいた。無論本心だ。だが、狂人と化した暴徒たちを止めることはできない。重機を操作する古林は徐々にクレーンを嬲る様なスピードでじわじわと下げてゆく。身悶えする可愛い我が女社長が、徐々に沼地へと吸い込まれていく様を俺は見せつけられるわけだ。
 「安心しろッて、宇佐美。もうすぐテメェも同じ方法で後を追うことになるんだ。あの世で身分違いの姫さんに可愛がって飼い犬にでもしてもらいな」
連中の間から爆笑が起きた。だが縛られている俺になすすべはない。

徐々に下げられてゆくクレーン。百合子社長の逆さになった美貌から垂れる黒髪が、ついに油の浮き立つ産廃池に浸った。そして聡明さを象徴するような白い額のを左右に振り、綺麗な瞳で俺を見つめる。目の前で愛する女が処刑されようっていうのに俺には何の手立てもないのだ。大久保はわざと逆さになった彼女のボールギャグフェイスが水没する寸前でクレーンを止めさせる。
「へっへっへっ、言い様だな、ハイエナお嬢さん。何か言い残すことがあるかい? まっ、そんなに無様に顔が歪むほど猿轡を噛まされてりゃあ、言うに言えねえか、さぁ、死出の旅路を愉しんでくれや!!」
ガクンとクレーンがまた動き出す。
「止めろおおおおおぉぉぉぉ――――――ッ!!!!」
俺は叫んだ。その時だ。遥彼方からパトカーのサイレンが聞こえてきたのは・・・。
「け、警察、誰が呼んだ!?」
大久保は狼狽した様に右往左往したが、すぐさま、山道を駆け上ってくる警察車両を目に、百合子嬢の処刑の中止を命じ、その場にへたり込んだのだった。

「危なかったですねぇ」
百合子嬢は猿轡を外してあげると、縛っていた手首の縄の痕を撫でつつ、俺に微笑みかけた。
「警察を呼んだのは誰です!? まさか、大久保の仲間が」
「まさか、あれほどの決意で私たちを殺そうとしたんですよ」
「じゃあ誰が?」
「このわ・た・し・ですよ。そしてその立役者は、宇佐美さん、あ・な・た・です!」
百合子嬢は革コートのポケットから見慣れたものを取り出した。そう、それは俺が車の中に置きっぱなしにした携帯電話だ。
「で、でも社長は電話では話なんてしていなかったでしょ?」
俺はマジックでも見せられた気分だが、彼女の優秀さや状況判断力に驚かされるのはココからだった。
「メールを出したんです、私の部下に、ね」
そうか、縛られた手首をこすりあわせていたのはメールを打っていたからだったのか。それにしても、である。俺が疑問をさらに投げかけた。
「でも、キーを見ないで携帯なんて操作できるんですか?」
「慣れれば案外簡単ですよ。電卓をボタンを見ずに叩ける人と同じ要領です。仲間や友人のメルアドは頭に記憶していますしね」
驚くような頭の良さだ。百合子嬢は今度は悪戯娘が甘えるような表情で俺の胸に顔を当て囁く。
「宇佐美さん、私忘れませんよぉ。貴方は私のヒーローです。社長としても、女としても、貴方は私にとって特別な人になりましたから」
百合子嬢は惚れ惚れするような表情を見せ、妖しく微笑んだ。


―――――と、まぁ、これが二年前に俺が体験した百合子嬢との「馴れ初め」だ。俺のドジをことごとくカバーした上でそれを反撃に利用し、俺がたまたま持っていた僅かな『運』まで自分に引き寄せる我がオンナ社長の鮮やかな逆転劇で、俺はこうして生き延び、その美人上司と恋人関係にあるわけだ。BMWは港街の巨大なブリッジを見渡す
「今でも俺の事、英雄って思ってます、百合子社長?」
俺は改めて聞いてみた。
「ええ、思っていますよ」
男心をくすぐられた俺は、彼女を赤レンガに押し付け、壁ドンした。
「でも、英雄だったのは、あの日だけ…。今は私が貴方のスーパーガールかな?」
百合子嬢はくるりと体位を変えると、俺を赤レンガに押し付け、逆に壁ドンした。
「こっちの方が、ぴったりくるでしょ、洋助クンッ」
と、小首をかしげ、微かに挑戦的に妖しく微笑むのだった。  『end』

ギャグフェイスコレクション外伝 洋助の回想録 我が愛しの百合子嬢篇

第10章

「ふん、間違えても抵抗しない方がいいぜ、お嬢さん。この銃は露助から仕入れた本物だ。こういうこともあるかと工場長が用意していたんだよ」
コイツラはマジだ。俺は体の芯から震えが来た。
「待って、宇佐美さんは私を助けようとしただけで、チェンジの計画に賛同しているわけでは無いわ。お願いですから、彼はここで下してあげて」
百合子嬢は、日頃の経営哲学とは相反してどこまでも部下に優しい。
「ハイエナのくせにうだつの上がらねぇ男庇うなんて、割に合わねぇことをするねぇ、お嬢さん。悪いけど、こいつを降ろすとなれば、ロシアからヤバメの薬を仕入れていたっていうことがばれて、拳銃自殺したってことにさせてもらう、そういう筋書きもできているんだぜ」
大久保工場長はかなり本格的に黒い社会に通じているらしい。
「こんなことして、警察に逮捕されるのがおちだろッ」
俺は声を震わせつつ、抗弁する。
「ヘン、どうせ俺は傷害でネンショにはいったこともあるし、再就職なんて出来ねぇよ。榎本社長や大久保さんが香港に高飛びさせてくれる手筈も整ってるから、後悔はねぇよ」
いや、コイツがネンショに入ったことは知っているが、傷害ではなく、傷害致死だともっぱらの噂だ。
「さぁ、一緒に奥多摩まで行って仲良くゴミに埋もれて死ぬのがいいか、ここでコイツの頭を打ち抜く様を間近で見るのがいいか、選びな、お嬢様!?」
百合子嬢は、観念した様子で俺に詫びると、奥多摩まで車をこのまま運転するように頼んだ。
「おい、早くもう一度この女を後ろ手に縛り上げろ。」
俺は仕方なく百合子社長の手首を後ろ手に縛る。
百合子社長は珍しく後ろ手に縛められた腕を交差させ、じりじりと悶えた。
相当口惜しいのだろう。
俺に彼女を守ってやる術はない。俺の脱出劇はやっぱり最悪の形で終焉を告げようとしていた・・・。

ギャグフェイスコレクション外伝 洋助の回想録 我が愛しの百合子嬢篇

第9章

「大久保工場長、成宮百合子が逃げようとしていたので捕まえました」
「おお!? 宇佐美、お前どうしてこんな時間に社にいるんだ!?」
一階事務室にいた大久保たちは、突如可愛い女捕虜同伴で姿を見せた俺に目を白黒させる。
確かに、残業をほとんどしない俺が朝方近くなった今、ここにいるのは不自然すぎる。
「あ、ああ、ええ、あの…印刷室で残業してたら、寝ちゃいまして…。それで帰ろうと職員通用口に行ったら、この女が縛られたまま逃げようとしていたので捕まえました。
「そうか、そうだったのか・・・」
以外にもあっさり納得した様子の大久保は、俺の弁明を追求することなく、納得した。
おまけに今までにないほど、俺に親近感を覚えた様子で、チェンジから送り込まれたハイエナ姫抹殺のクーデター計画全容まで打ち明けたのだ。
「それにしても平田の奴どこ行っちまったんだ?」
大久保たちは口々に平田の失踪を怪しんでいる。
「なら、工場長、この女を奥多摩の投棄場まで護送するのは俺にさせてください。俺も、皆さんと一緒に自決するつもりで頑張ります。罪は一緒です。ムショに行くときは一緒ですよ!!」
俺は何時になく調子を合わせ、奴らに取入るふりをした。
団塊世代はこの手の言葉に弱い。早く朝になれ。
そうすれば、俺は自分の車に百合子嬢を乗せてこの殺人集団の巣窟からオサラバし、愛の大脱走劇のヒーローになれるのだから! 俺の願いが通じたのか、間もなく室内にも朝の光が差し込んでくるのが分かった。
大久保はあっけなく俺を信用すると、百合子嬢を処刑場に連行するという大役を任せてくれた。
こうも単純に引っかかると多少の良心の呵責は感じるが、こっちは、計画がばれれば、俺は八つ裂きにされるだろうし、何よりこの可愛い女社長の命はないのだ。なんとしても脱出せねば。
「じゃあ、宇佐美。頼んだぞ、現地で落ち合おうや。まぁ、道中気をつけてな。」

大久保の言葉に深く頷いた俺は、百合子嬢を縛った縄尻を握りしめ、職員通用口に向かう。

俺はキーを挿したままの中古のトヨタ車の助手席のドアを開け、愛すべき助手を座らせ、俺は運転席に身を沈める。
そして、すぐさま、百合子社長の猿轡を張須してあげた。
ホントは外したくなかったが。だってそれくらい、我が女社長の美貌は猿轡が似合うんだから。微かに、その轡を吐き出す時の甘い吐息に勃然としつつ、俺は声を殺して笑う。
「や、やりましたね、百合子社長!」
「ふふふ、そうですね。さっすが、宇佐美さん」
後ろ手の縛めを解く。
衣服の乱れを直す間に、黒革のハーフコートを肩から優しくかけてあげると、我が新社長も笑顔を輝かす。

だがそれも束の間、俺は背後から何かを突き付けられた。
冷たーい感触のする異物。それはモデルガン、いやホンモノの銃かもしれない。そしてそれを握りしめるのはなんと平田!!
「お、お前、なんでここにッ!?」
「へへへ、お前が深夜まで残業なんてするわけねーだろーが!! 工場長だってとっくに気が付いてたんだよ、お前がこのお姫さんにぞっこんで、飼い犬になっているって事くらい。たぶんどっかで現れるって踏んでいたんだ」
平田は俺が百合子嬢を連行した時には、既に入れ替わりで助け出されていたのかもしれない。
あるいは俺の車が駐車場に残っていることに不信を抱いて、俺の事をマークしていたのかも・・・。
車のキーを挿しっぱなしにしていたのは不覚だった。
まさか自分の車を運転しながら、処刑場へとデートすることとなるとは・・・。




ギャグフェイスコレクション外伝 洋助の回想録 我が愛しの百合子嬢篇

第8章

扉が壊れた拍子に室内に投げ出された俺は、横たわる百合子嬢を抱き起してあげる。そして硬くきつく噛まされた猿轡を外してあげた。
唾液で濡れた黒いブリーフの詰め物を取り除く。
「社長、大丈夫ですか!?」
「宇佐美さん、ど、どうしてここに!?」
百合子嬢は甘い吐息交じりに、オクターブの高い声を上げて、まだ自分が監禁されていることを思い出したのか肩をすくめた。
そんな仕草も途轍もなく愛らしい。
まずは、勇んだ俺は平田の野郎と対決を、と意気込む。
「平田、てめぇ!」
「ひ、平田さんは・・・宇佐美さんが入っていたロッカーに・・・」
百合子嬢は潤んだ瞳で、俺を促す。
その先には見事ロッカーの角に頭をつぶされた平田の失神した姿があった。
労せず俺は白星を挙げた。

しかし、である。百合子嬢、いや俺たち二人が監禁状態であることは違いがないのだ。
平田が戻らなければ大久保たちが不審に思うだろう。
だが、この社屋には多分間違いなく、奴らの監視の目がある。
裏通用口には大久保の息のかかった連中がいるだろう。
警察を呼びたいところだが、俺は車の中にケータイを置いたままだ。
おまけにキーを挿しっぱなしだったことまで思い出す。
このまま朝を迎えれば、非力な俺が彼女を守り抜いて脱出することは不可能だろう。ここは一か八か、だ。
「社長、逃げましょう。今、縄をほどきますので」
俺は、百合子嬢の背後に回り、妙にマニアックに縛められている手首に指を掛けた。
「いいえ、脱出はできません。もし見つかれば、宇佐美さんがどんな目に遭うか」
ハイエナファンドの幹部でありながら、意外にも百合子嬢は情に厚い性格の様子だ。
「でもこのままじゃ」
突如急く俺をぐっと抱き寄せた百合子嬢。鼻
先に惚れ惚れするような女優、女子アナ、顔負けの美貌が妖しく輝く。
「貴方様は私を助けてくれました。それだけで十分。あとは私に任せて」
「で、でも」
「社長命令に逆らうつもり、宇佐美クン?」
勝気娘の表情に戻った百合子嬢もまたまたチャーミングだ。
「ここは私の命令に従いなさい、うふふ・・・・もう一度私に猿轡を噛ませなさい。」

俺はこの夜のことを一生忘れないだろう。
そう、俺は百合子嬢の美貌が変形するほどの猿轡を噛ませたのだ。
百合子嬢の真っ白なうなじに猿轡を絞り上げた時の一瞬は鮮明に記憶に残っている。
「そう、遠慮なくね、宇佐美さん・・・ンン、そ、そうです・・・、ンンンッ」
もう一度詰め物を噛ませ、瘤を噛みこんだ時の百合子社長の艶めかしい喘ぎ声。瘤が唇の間に侵入する際の百合子嬢の甘い吐息に俺はくらくらしたものだ。
「い、痛くないですか・・・」
百合子嬢は、コックリと頷き、俺を促す。
そう、これは古株連中を攪乱し、脱出するための作戦だ。
俺は脱出しかけた百合子嬢を偶然みつけて捕え、大久保の前に連れ戻し、奴らと同盟関係を結んだふりをするという計画だ。
騒ぎを大きくするべく、平田は行方をくらましたように見せかけるため、俺が潜んでいたロッカーに縛り上げ、猿轡を噛まして閉じ込めて置いた。
まぁ、まるで興奮しなかったが・・・。


ギャグフェイスコレクション外伝 洋助の回想録 我が愛しの百合子嬢篇

第7章

「おうおうおう、可愛いブラしているじゃーん」
これまでも、そしてこれからも二度と味わうことのできない美女を好きにいたぶれる特権にあやかった平田は、セーターを引き裂くようなマネはしない。
白い薄手のセーターをお腹からバストの上まで捲りあげると、ピンクに薔薇の模様のカップのブラジャーが顔を覗かせた。
キャミなしで、素肌にブラとセーターだけである。
ブラの谷間から真っ白な乳房がたわわに顔を覗かせている。
お腹廻りにはまったく贅肉のない引き締まったウエストまで拝ませてもらった。

それから今度は、ミニスカから伸びる縛られたブーツの脚に惚れ惚れしている。
「あんた、どんだけスタイル良いんだよ。モデルのお誘いが引きも切らないって噂になるのが分かるぜ、美人過ぎる社長さん、よ」
平田はまるで子供の様にスカートを微かに捲り、その中を嬲るようにのぞき込む。百合子嬢の猿轡を噛み締める唇に力が籠るのが分かる。
こんな屈辱はなかなか味わったことが無かろう。
結び瘤は、百合子嬢の口にかっぽりと嵌り、口が閉じれぬように半開き状態だ。
頬に食い込む猿轡が美人の誉れを台無しにしている。
「たまんねぇ、この脚・・・」
平田は薄暗い蛍光灯の下でも、均整がとれ劣情をそそる形の良い太腿を嘗め回さんばかりに頬擦りし始める。
「あぁんッ」
百合子嬢が悔し気に喘ぐ。

その光景を眺めていた俺はなんだか急に悔しさを覚えた。
本来ならば、この惚れ惚れするような高嶺の花は仮にも俺とデートするはずだったのだ。
もしかしたら、今宵、俺とググッと関係を近づけていたかもしれない、可愛く優しいこの女社長があろうことか、昔っから大嫌いな平田にいたぶられるサマが堪らない腹立たしさを呼んだのだ。
いや、正直に言うと、百合子嬢が可哀想というよりも、俺ができないことをなんでコイツが赦されるのだというお門違いな嫉妬によるものだったが・・・。
「ねぇ、パンティ記念にもらっていいですか、社長?」
調子づいた平田は俺の愛する女上司の足元に座り込み、スカートを引き裂かんとした。
「あうう・う・ぅぅッ」
頭を振って猿轡を噛み締める百合子嬢、危うし!! 嫉妬とささやかな正義感に後押しされた俺は、さっそうとロッカーを蹴破って悪の前に立ちはだかる、はずだった。が、格好良くいかないのが俺のいいところだ。
錆びついた扉が上手くあかず無理やりこじ開けようとした結果、結局出られず、ロッカーごと倒れる始末だ。横倒しになったロッカーが地面にたたきつけられる瞬間、妙な悲鳴がした。




ギャグフェイスコレクション外伝 洋助の回想録 我が愛しの百合子嬢篇

第6章

冴えない中年社員の俺とデートするはずだった可愛い囚われの女社長は私服の黒革製のハーフコートは足元に脱ぎ捨てられ、白い薄手の胸元の開いたセーターと、これまた黒のミニスカ。
それに生足にブーツだ。
上品さと微かなギャルっぽさのあいまったそのスタイルは、ほとんどの漢を参らせる美女らしいいでたち。
そんな恰好の彼女が後ろ手に縛めを受け、そのスラ―ッとモデル張りに長く艶めかしいブーツを履いた美脚を足首のところで、これまた厳しく縛られている。
後ろ手に縛られていなければ、贅肉がそぎ落とされた引き締まった背中にセーター越しにブラジャーの形がくっきり浮かび上がっているはずだ。
彼女は聡明で活発な性格だ。
何とか手首を返して、縄をほどこうとしている様子だが、男たちの緊縛は半端な力ではないらしく、結び目は解けないし緩まないようだ。
「んん・・・んん・・・、んッ・・・」
身悶えるたびに穢い手拭の猿轡の下でくぐもった喘ぎを文字得つつ、衣服やブーツに食い込み擦れる縄の音が微かに俺の鼓膜を打つ。
お姫様が囚われの身になって縛られて猿轡で口を割られ監禁され、助けを待つ。

文字通りドラマのような展開。
だがチキンな俺は、恐怖で足がすくんで狭いロッカーの中で震えるばかり・・・。
(今何時ころだろう? このまま朝まで手をこまねいていたら、百合子嬢はマジでアブナイ!)
勇気を振り絞り、錆臭いドアを内側から蹴破り颯爽とヒーロー登場、と行きたいところだが、部屋の鍵が開けられる音がした。

「よぉ、囚われのお姫さん、ご気分はいかがかなぁ〜〜?」
平田は先輩のいないこの場で、妙に尊大な様子で百合子嬢を見下ろす。
そして、微かに悔しさを滲ます瞳を見返す次期社長の傍らにしゃがみこんだ。
「へっへっへ、最高だねぇ、そういう貌。もっと俺を憎めよ、蔑めよ、口惜しかったら抵抗してみろよ、ええ?俺のパンツの味はどうだい!」
平田は百合子嬢の顎に手をかけ、心底愉しげに言う。
「本当なら、その名門大学を首席で卒業したっていう頭の良さで俺を言い負かすんだろうけど、それもできねえもんなぁ」
高校中退で前社長のコネで入社したらしい問題児の平田は、普段なら時間を共にするだけで劣等感に苛まれるであろう女性を力で屈服させた満足感で一杯の様子だ。
「俺さぁ、女は好きだけど、あんたみたいに育ちが良い奴って苦手なんだよねぇ。ご先祖様は明治維新のお偉いさんなんだって? 時代は変わっても世の中を牛耳る奴は、代わんないんだねぇ」
日頃、抱いている鬱屈した感情をこの可愛い女社長にぶつけて喜んでいる様子が見て取れた。
「うちの大久保さん、あれマジキチだぜ、マジであんたを殺っちまうつもりだ。あの人会社に命賭けてたし、おまけに会津の出身でさ、あんたみたいな幕末の英雄の末裔嫌いだから・・・きっと本気で殺るぜ」
百合子嬢は『やれるものならばやってごらんなさい』という険しい表情で、グッと平田を見返している。彼女も命がけで我が社を買収しに来たのだ、と俺は確信した。

平田はそんな百合子社長の真摯な瞳の輝きに耐え切れぬように、目を背ける。
だがすぐに可愛い生け捕りにした姫様が持つ、なかなかお目に掛かれぬ高貴な女の匂いを嗅ぎつけた様子で、縛めを受け、逃げることも抵抗することも、無論声を出すことも阻まれる彼女を愉しむように追い詰める。
「ラフな格好しているようで、やっぱあんたイイ女だよなぁ。上品ぶってる態度も様になるぜ。一度くらいデートしてもらいてぇと思ってたよ」
平田は百合子社長の猿轡顔をとっくりと愉しむように眺め、その顎を攫んだ手をじりじりと首筋にずらす。
「大学はテレ東の大橋未歩や、歌舞伎役者のとこ行った女子アナと同じなんだろ。道理でセレブ臭がプンプンするぜ。どこだかのヒルズに住まいですか? 俺たち庶民を見下ろして飲む酒はさぞかしうめぇんだろうなぁ」
劣等感を思いつくままに口にしつつ、緊縛されそのスレンダーな肉体に密着するハーフコートをはだけさせ、セーターの襟元に手をかける。
百合子嬢の咎める視線を愉しむように・・・。
「ンンッ、ンンン・・・いひゃァ・・・・むうぇてぇ・・・」
いや、止めて、という言葉が、噛みこまされた猿轡の瘤の下で歪んだ肉声に代わる。逢えて身悶える百合子嬢の抵抗を強引に止めず、その様子をせせら笑う平田。
暴徒と化した男は、どんな悪魔より恐ろしいのかもしれない。


ギャグフェイスコレクション外伝 洋助の回想録 我が愛しの百合子嬢篇

第5章

「いいだろう、おい、この女を監禁していることを朝まで誰にも悟られるなよッ!!」
「まぁ、ゴミを廃棄しに行くのは朝一ですし、そんなに早く出勤する社員は限られているかと」
大久保は腹心の古参社員と相槌を打ち合う。
そんな時、曲者の平田が、妙なことを言い出した。
「この女、頭はキレますよ。どんな策を弄して逃げ出そうとするかわかったもんじゃありません。まずは声を出せない様にしてやりましょうよ。きッッつく猿轡でも噛ましておきましょう!!」
「そうだな・・・・確かに騒がれちゃまずいな・・・・猿轡噛ませておくに越したことはないな・・・・・・・そうだ、おい、お前、自分のパンツを脱げ!ふふふ」
大久保が何を思いついたのは奇妙なことを言い出した。
「猿轡噛ませるなら詰め物がいるだろ・・・・お前のパンツを食べさせてやれ!」
「俺のパンツをご馳走していいんですかい!・・・・こいつはいいや・・・・へへへ」
百合子嬢の顔に動揺が走る。
平田は、ズボン脱ぐと黒い小ぶりのブリーフも脱ぎ、男根を見せながら、百合子嬢に詰め物を見せ付けた。
「お前のパンツ、見るからに汚そうだな!!」
男たちから一斉に笑いが洩れる。
蹴倒された百合子嬢は後ろ手のまま半身を起こし、男たちを睨む。視線の先には、噛まされるブリーフがある。
どんな気高い美女だろうと、その綺麗な貌だけでは男たちに適うはずもない。
「あなた達後悔するわ、今のうちにこんな卑怯で野蛮な方法は・・・あ、あッ、あぁッ・・・はぁむぅ・・・ッ」
「お前みたいに小生意気で弁舌巧みな女の口を塞いでやるっていうのは快感だねぇ・・・・・・ほらご馳走を食べな!」

平田は妙に慣れた手つきで労組用の手拭で大きめな結び瘤を作ったうえクルクルとねじり、さらに百合子嬢の鼻を摘むと黒いブリーフを口の中に捻じ込んだ。
そして背後から百合子嬢の綺麗な顎に手をかけ、結び瘤をグイグイと噛ませ始める。
「女を黙らす術は心得ているんですよぉ」
薄汚い詰め物いっぱいの結び瘤猿轡を噛まされ、その息苦しさに喘ぎ天を仰ぐ、百合子嬢の様子がまたまたコケティッシュだ。

平田は、童貞ともっぱらの噂のくせに、どうもSMには興味があるらしい。
その上、自宅でオナニー専門らしく脱いだパンツには液体が付いたままだとほざきやがった。まぁ、俺だって人の事をいうほどモテもせず、ていうかもっとモテないかもしれないが・・・。
「ほぉ―ら、なかなか無様な顔に仕上がったでしょ? 美人の方が惨めな貌になるんですよ、猿轡ってぇのはね」
頬の肉をぎゅっと引き締められ、蠱惑的な唇の間に瘤を噛みこまされた百合子嬢は観念したように瞳をつぶる。
百合子嬢は榎本元社長にも捕まり、鉄製のギャグをハメられ、責められるなどハードな拷問を受けた経験があるが、今宵のギャグフェイスはずっと女の色香を引き立たせるほどに被虐美に満ち満ちた、劣情をそそる美貌だ。
労組用の手拭の文字の文様が微妙に入り組んだ猿轡が、百合子嬢の口の大きさに絶妙に食い込み、その筋のマニアが見たら卒倒しかねないほどの色気を醸し出している。
捕まった女の憐憫さ、その状況に屈しない気高さが入り混じったそのギャグフェイスに、俺はまたまた惚れてしまい、股間が猛ってくる。やべぇ…。

ギャグフェイスコレクション外伝 洋助の回想録 我が愛しの百合子嬢篇

第4章

残酷な拷問魔の命令通り、平田は百合子嬢をまだまだいたぶるつもりの様子だ。
「あぁッ・・・・・・」
さすがの時期美人社長も、カラダを責められ、堪えたらしく、カクンと項垂れてしまう。
(ど、どーしよう、助けなきゃあ)
俺はどぎまぎするばかりで、ドアの影で右往左往だ。

しかし、俺は自分の身を案じねばならぬ状況になった。
「このハイエナの姫様・・・マジで始末するしかないな!」
大久保は、椅子に縛められたままの百合子嬢を見下ろしながら言う。
「し、始末って・・・」
小声でたじろぐ俺。その予想通り、大久保の言葉を古参の社員が代弁する。
「そうですね、明日の朝は粗大ごみを投棄場に捨てに行く日ですし・・・あそこならば・・・なかなか死体も見つかりますまい・・・」
どうやら、奴らは百合子嬢を榎本産業が奥多摩の山中に所有している投棄所で『処刑』する気らしい。
「ようし、朝まで隣の資料室に閉じ込めて置けッ、絶対に逃がすな!!」
大久保が言い放つと、意識朦朧の百合子嬢を引き起こして立たせ連行しようとしている。
ヤバい、俺はドアの影から廊下に走り出た。
ここで見つかるのは絶対にまずい。
常軌を逸した大久保たちは、一連の状況を見た俺を服従か死かの選択を迫るだろうことは予測できた。
立場的には俺もこの会社に多少は恩義を感じており、会社を乗っ取りたいチェンジの女幹部を守る義理合はない。
古株の奴らに歩調を合わせるべきなのだろうが、それでは百合子嬢に一度協力すると決めた以上、彼女を裏切ることになる。
ここで出て行って大久保に服従すれば、いわば裏切りの裏切りをすることになり・・・なんてややこしいことを言っている場合ではなかった。身を隠さねば!!

俺が身を隠したのは、普段は誰も使わない廃ロッカーや廃棄処分用の備品が集められる埃っぽい部屋だ。
当然、大久保はさっきまで暴挙を繰り返した隣にある資料室に百合子嬢を幽閉するものと思っていた。ところが…。
「資料室には明日区役所に提出する印刷物が大量に置いてありまして・・・」
「なら、ここならばいいだろう。どんな社員も明日の朝までは寄り付かんさ」
なんと、俺が身を潜めるこの廃棄物倉庫に緊縛した百合子嬢を連行してきたのだ。一難去ってまた一難。俺は、壁に立てかけてあった、若手社員が上司への鬱憤をぶちまけボコボコにへこんだロッカーに滑り込んで、なかなか閉まらない蓋を強引に閉じた。空気の流通穴から外の様子を伺う・・・。

大久保の恨みは相当なもののようで、百合子嬢を徹底的にいたぶる。後ろ手に縛った実の娘以上に若い百合子嬢の鳩尾に膝を入れ、蹲ったその端正な美貌を殴打する。
「ひ、ひでぇ・・・女の子に対して」
俺は僅かばかりの正義感に火が付いたものの、可愛い女社長への凶行を制止できない。でも飛び出して行って守ってやることもできない、文字通りのチキンだ。
「さぁ、これが最後通告だお嬢ちゃんッ、朝になれば否応なくお前を処刑するッ! それでもいいか!?」
綺麗な黒髪を鷲づかみされた百合子嬢は、何も言わず侮蔑と悲しみの色を湛えた瞳を大久保からそらしただけだった。
囚われの身になって命の危険さえもあるというのに、その信念を曲げない姿に俺は感服すると同時に、その気高さと気品にまたまた痺れてしまった。
ヤバい、俺はマジでこの女社長に恋し始めている。



ギャグフェイスコレクション外伝 洋助の回想録 我が愛しの百合子嬢篇

第3章

社内に侵入した奴らは、地下一階にある倉庫へ向かう。
社内はどこか、妙な熱気を帯びている。
ますます妖しさを覚えた俺は、連中概算でなかへ突入し、開け放たれ光も漏れる部屋をのぞき込む。
そこには・・・。ぎゅうぎゅう〜〜…ロープの軋む音とともに、相手の行為を侮蔑しつつ、威嚇するような厳しい口調で言い放つ女の声が。
「こんなことをして・・・どうするつもりですか?」
その声の主は、そう、俺の今宵の逢瀬の相手となるはずの、成宮百合子だ。
彼女は縛られていた。
パイプ椅子に後ろ手に縛られ、視線は自分の自由を奪った相手を見据えたまま身悶えし、そのたび厳しく縛られているであろう荷造り用特殊ビニールロープが擦れる音が漏れるのだ。
彼女は私服姿だった。きっと俺との待ち合わせに退社途中、内部に待ち構えていた連中に捕まったのだろう。
革製のハーフコートは脱がされ、足元に投げ捨てられている。
バストアップ状態の白い高級そうな薄手のセーターが、その均整の取れている女体を浮かび上がらせる。
左斜めにモデルのようにピシーッと揃えた両脚は黒いブーツを履いているが、その足首も荷造りの要領で白いロープで緊縛され、とてもじゃないが、女の子の力では解けまい。

「こ、これって監禁ってやつ!?」
俺は背筋を凍らせた。
確かに榎本社長は裏の人と繋がってはいたし、そのせいで危険な目にも遭わされたわけだが、今また「クーデター」が実行されているのだ。
しかも、気になる未来の美人上司が目の前で縛られているのだ。
思わず心臓バクバクの俺だ。
「うちの会社は大人のオモチャを製造販売することになりますけど・・・私自身はこういう趣味は持ち合わせないので、ご期待には沿えませんけれど?」
微かに高飛車な態度で言い放った百合子嬢。
その頬を白髪交じりのがっしりした体躯の大久保が打ち据えた。
左右二回、百合子嬢の綺麗な顔が揺れ、頬が鳴る。
「綺麗な顔して、そういう下世話なことを言い放つネェちゃんは好きに慣れねぇなぁ」
若手の下っ端社員平田が言う。

「お生憎と、貴方のように女の子と見ると目じりを下げる男の子を悦ばせるため、社長になったわけじゃあないのよ、平田君!」
またも高飛車に言い放つ百合子嬢。
だが、その余裕綽々の態度が、昔気質の工場長の怒りに火をつけてしまったようだ。またも百合子嬢の端正な貌を、今度は手の甲まで使って数回打ち据えた。
そして、左に向いたままの美貌をぐっと攫んで正面を向き直らせ引き起こし、年季の入った浅黒い顔を近づける。
「いい加減にしないか、小娘!! 金持ちの娘だか、貴族の末裔だか、ハイエナの姫君だか知らんが、この会社の経営から手を引け!!」
「そうだ、この会社は、社長が先代依頼引き継ぎ、皆で盛り立ててきた伝統ある会社だ。お前のようなケツの青い娘には任せられん」
会社を命と考える男たちが犯罪紛いの事を実行し、自分を取り囲んでいるのだ。
下手をすれば、命の危険もある事態だ。
にもかかわらず百合子嬢は一歩も引きさがらない。
綺麗な貌に真摯なまなざしと、野望実現の光を湛え、抗弁する。

「伝統ですか。時代と共に変わってこその伝統よ。‘時間に淘汰されず’、‘時代には淘汰される’だけで、変えるべきところを何一つ転換できないこれまでの榎本産業では、未来がありませんわ。現に、わたくしたちが参入しなければ株主総会は大紛糾、経営陣は総辞職、役員以下報酬は数十パーセントのカット・・・いえ、それだけで済んだかどうか」
百合子嬢は聡明なお嬢さんだ。
理論的かつ哲学的な抗弁に、敢え無く口をつぐむ我が同僚たち。
まぁ、血筋も言い、学歴も立派、政財界人ともパイプを持った「選良」である百合子嬢に論破されるのは目に見えている。
「雇用は保証することはお約束します。まぁ、今宵わたくしを拉致・監禁したことは大目に見ましょう」
お嬢様はタカビーだが、温情主義だ。
しかし、我が同胞にとっては、それは小生意気な権力者のお嬢さんとしか映らない。しかも、彼女は大事なことを忘れている。百合子嬢は今現在、囚われの身なのである。重量級の荷の梱包に手慣れた男たちの「縛り」を受けた以上、自力で緊縛を解くのは不可能だ。
「お嬢ちゃん、少し痛い目に遭わないと、自分の立場が理解できんかね?」
大久保が、またも凄んだ。

「ううぅぅッ・・・ああぁぁッ・・・きゃッ・・・」
百合子嬢の綺麗な顔が激しく歪み、左右に揺れる。
古参の連中は相当にマジの様子だ。
縛られた百合子嬢の胸元に、改造したらしいスタンガンを押し当てる。
その都度、可愛い女乗っ取り屋はその美貌を苦しげに歪めるが、どこか上品で、そこがまた艶めかしい。
「さぁ、そろそろ観念したらどうだ小娘!? 六本木だか丸の内のオフィスだかで、社長ごっこでもやってりゃあいいんだよ、お嬢ちゃまッ!!」
「暴力で民主的な経営手法を否定なさるおつもり? 一番わたくしが軽蔑する方法ですね!」
「どこまでも口の減らない小生意気な女だッ、平田、続けろ!! この娘が音を上げるまで折檻してやれッ!!」


ギャグフェイスコレクション外伝 洋助の回想録 我が愛しの百合子嬢篇

第2章

二年前の秋、俺の会社は榎本金属加工株式会社という冴えない中小企業だった。まぁ、この天才的経営者である我が女上司の才覚でSM系の大人のオモチャの製造を請け負う事で、経営の危機を脱し、今は立派な、知る人ぞ知るマニアックな技術系会社に変身したわけだ。
しかし、その経緯には様々な紆余曲折があった。
ちょっぴりこわーい裏の人とも通じている旧経営陣にくわえ、職人気質で変に義理堅い定年間際の団塊社員の面々とその子分、チェンジの買収に対する抵抗は凄まじいものがあった。
まぁ、薄給に加え、派閥でガチガチの村社会そのものの会社に何の義理も未練も感じていなかった俺は、敢え無くこの美人社長に「仕える」ことに決め、ある事件にも巻き込まれたことは読者の諸兄も記憶してくれていると思う。
榎本社長をSMまがいの調教で屈服させた百合子嬢だったが、平社員レベルでは、東京の新興会社チェンジの傘下に収まるなどもってのほか、ましてや自分の娘、いや下手をすれば孫娘ほどに若く、小生意気な娘に会社を乗っ取られるなど言語道断という声が渦巻いていたのも事実だ。
百合子嬢の新社長就任を前に、「クーデター」を目論む声がマジで出ていたのだ…。

「宇佐美さん、お疲れ様!」
新会社立ち上げに向け、珍しく残業で更け切った夜の社屋を歩く俺は、新しく上司となる「姫様社長」とすれ違った。
少々卑屈になる俺にも、気安く、いや良く言えば親しみを込めたつもりなのだろう綺麗な瞳を向けて言葉をかける。
「お、お疲れ様です、社長」
一緒に監禁事件を乗り切ったとはいえ、妹以上に若く、そしてチャーミングな新しい上司に、どこか引け目を感じていた俺だが、当の彼女は俺だけは少々自分への接し方が異なる「使えるかもしれない奴」だと思っていたようだ(笑)。
会社内の立場や雇用形態で分け隔てしないところも、彼女の特徴だ。
彼女に見込まれていた分、周りの奴らからはかなり白い目で見られていた。
駐車場にたどり着いたころ、俺の携帯が振動した。その相手は、そう百合子新社長殿だ。
『ね、ね、宇佐美さん。今晩ご予定は? よろしければ、ご一緒にしこたま酔ってみません? あ、宇佐美さん飲めないんですっけ? うっふふふふ〜〜』
どこかユーモラスなお誘い文句だ。
可愛い。好きだ。
そう思いつつも、どこか、身分違いの二ブレーキを踏んでしまうが、そこはコミュニケーション能力バツグンにして、モテ女の押しの強さと気品ある態度で押し切ってくる。
『わたくし、本日は車で出勤しませんでしたから・・・貴方様に送ってもらうつもりで・・・なんてね。宇佐美さんのお車まですぐに伺いますわ』
あれほどの良い女に誘われて、袖にするほど俺は野暮ではない。
月夜に光り輝く駐車場で俺は待ち尽くした。ところが、待てど暮らせど、待ち人来たらず――――。

俺は妙な光景を目にした。
深夜だというのに、見覚えのある同僚のワゴン車が目の前を走り去り、少し離れた駐車スペースに停車したのだ。忘れ物でも取りに来たかと思いきや、これまた見慣れた6人の同僚が降り立った。
「計画通りうまくいったらしい」
そんなことを仲間に触れて回るのは、工場長の大久保だ。
いずれも旧榎本社長、子飼いの社員ばかり。連中はどこか策謀を巡らす表情と、微かな後ろめたさを含んだ表情で足早に社内に向かう。
「なんか妙だな」
不審に思った俺は身を隠していた愛車の影から、職員通用口を通り社屋に消えていく連中の後を追った。





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