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ここは、自分のこだわりを書き綴った場にしたいと思ってます。小説はすべて私の頭の中の妄想・空想を書き綴っています。


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プライドに噛まされた猿轡 追記


皆さん、US様投稿の『プライドに噛まされた猿轡』いかがだったでしょうか?
お読みになられればお解りのように、かなり完成度の高い作品です。
もう素人の域を抜け出されたかのような構成力、文章力だと思います。

なんか私のブログに掲載するのが申し訳ないような気分です。

ところで、この白木貴子のモデルってどなただと思いますか?
ここからは、作者であるUS様のこだわりなんですが、このプライドが異常に高く高慢な
美人女警視は元国営放送アナで、今はTBSの顔になっている「膳場貴子アナ」なんだそうです。
確かにDIDしてみてビンビンに猿轡を噛ませてみたいタイプです。
そういう視点でもう一度読み返していただけれ幸いです。

ちなみに苗字の白木は、15年ほど前まで「ニュース・ステーション」のアナウンサーだった「白木清か」さんからの借用だそうです。
彼女もお嬢様でしたからねえ(笑)

補足説明でした。

では、次作もご期待下さい。



プライドに噛まされた猿轡 その9

第9章

とある埠頭近くにある廃品回収場。
広大な土地が荒れ果てた荒野となって広がる一角に張り巡らされた鉄製のフェンス。
張り巡らされた鉄の蜘蛛の巣にM字に開脚され磔にされた美女。
白木貴子のスーツの上着は剥ぎ取られ、グレーのインナーシャツは胸元が裂け、花柄のブラジャーがお目見えしている。
しかも、相次ぐ暴力にさらされたため、右肩の釣り紐が破れ、豊かな乳房も片方だけは露出するという屈辱的な状況だ。
縛りあげられたむっちりした脚は先ほどまで受けた仕置きによる鞭の蚯蚓腫れが這い、露出した白い肩にも赤い晴れが無数に残っている。
そんな彼女を眺めまわすのは里見所長率いる捜査員たちだ。
貴子は彼らの口から発せられる恐るべき陰謀に胸を凍らせた。
「我々警察は公安から手を引いてほしいデッカイ山を抱えていてね そのためにはあんたのオヤジさんに協力してもらわないといかん・・・ そこで白木警視!この際、あんたを犯罪被害者に仕立て上げ散々な目にあって戴こう、という寸法よ」
「どういうこと・・・? 私をいたぶったところで父を思う様に動かすことができると思って?」
貴子は高飛車な口調で言い放った。
たとえ、虜囚の辱めを受けても父の仕事の足枷にはなりたくなかった。
それが、厳格な令嬢育ちの貴子のプライドでもあった。
「意外におバカだね、白木警視! キャリア指揮官のあんたが性犯罪者にいとも簡単に拉致されて徹底的に辱められたとあっちゃあ、親父殿は目も当てられなくなる あんたは今日ここで俺たち山手署の部下たちに運よく助け出される、あんたが無能と面罵した俺達に、な だが、あんたは公衆の面前では言えないほどの‘可愛がり’を受けている その姿を‘人質’にされちゃあ、親父殿も言うがまま・・・ いわば愛娘の屈辱的な痴態が、俺たちの保険になってくれるっていうわけだ」
彼らは美しい女囚となった「上司」をいたぶることが心底愉しそうだ。
貴子にはようやくカラクリが読めてきた。
「里見所長・・・あなたは高野巡査部長の犯罪にも気が付いていた そして、彼を利用して私を拉致させ、徹底的にいたぶらせた・・・」
貴子は自分の傍らに手錠をかけられ、貴子が噛まされていたギャグボールを代わりに噛まされている高野巡査部長に眼をやった。
「フフフ、縛られて感が良くなったようだね その通り! 一連の連続緊縛猿轡事件の犯人はこの高野だ 事件の捜査をもみ消す代わりにあんたを誘拐し、徹底的に調教し痛めつけるミッションを与えたというわけさ まあ、高野がヘマをしなければ、もう少し別の可愛がり方をして差し上げられたんだがね」
貴子は絶望に打ちひしがれた。
自分が奉公してきた組織が組織ぐるみで自分をいたぶり抜き、利用しつくそうとしているのだから。
そして、それを実行をしたのは直属の部下たちであり、彼らを指揮していた署内の一室に監禁されていたのだから、その屈辱たるや計り知れない。
「俺だけじゃないぜ、あんたが高野に‘携帯’で弄ばれ、アへ顔を作っていた時、電話した奴らはほとんどグルでな 高慢ちきな令嬢警視を可愛がって差し上げようと考えている忠実な、部方たちも大勢いたということさ そしてあのキャリア警視も、な」
と、いうことは・・・。ほのかな感情を抱きつつあった窪田警視も自分を嵌め落とした一人ということか。
「あ、ああ」
貴子は絶望に打ちひしがれた。
出世のためならば性別も年齢も関係なく、たたき落とそうとする警察組織の恐ろしさ実感させられたのだ。
しかし、貴子の味わう絶望はそれにとどまらない。
「あんたはガイシャをコテンパンに揶揄していたが、自分が被害に遭ってみた感想はどうだい?」
別の捜査員が、M字に縛られた貴子の顎に手をかける。
貴子は改めて、己の甘さ未熟さ、そして、今現在曝している姿の惨めさを痛感させられるのだった。
頭上で縛められた手首、膝関節と、脚首を固く拘束され、短く刈り込まれたスカートの裾からはムッチリとした太股は無論、愛液に塗れたパンティがいやがうえにも曝され、隠しようもないのだ。
「さあ、仕事の総仕上げだ あんたはここで生きているのも嫌になる様な生き地獄を味わってから、俺達に発見される そして高野はそのホシとして挙げる あんたが凌辱された事実を盾に、親父殿をゆする・・・まあそういう筋書きだ」
里見は部下に合図する。
ワゴン車の中から引っ張り出されたのは警察犬だ。
ドーベルマンは堂々とした足取りでM字開脚の辱めを受ける貴子の正面に座り込んだ。
「フフフ・・・どういう目に遭うか、わかっているだろうね?」
里見の顔がどす黒く歪む。

「い、いやッ、そ、そんなッ! お願いッ!やめてぇッ!」
部下たちの欲望に満ちた手が、大股開きに肉体を縛められた女警視の胸をわしづかみ、ブラジャーを外し、また別の手が荒々しくパンティを引き裂く。
「あッ、ああッ!!」
屈辱と快感に天を仰いだ貴子の視界には、彼女を辱めた相手がだれかを確認することもできない。
やがて女陰に広がる甘い痺れに続き、何かを塗り込められるような感覚に女警視は喘いだ。
開脚した内股をヒクつかせる貴子に里見所長がドーベルマンを眺めながら引導を渡す。
「さあ、準備は整ったね、白木警視殿! この犬は警察犬としては落ちこぼれだが、別の意味では実に忠実だ 君のアソコに塗り込められたものの匂いを嗅ぐとなおさら、ね さあ、ビデオの準備をしろ」
「い、厭ァ!!」
貴子は身を捩ったが無駄なことだった。
快楽の源を徹底的に嬲られ、濡れそぼった貴子の秘部を愛液とともに濡らす液体は特製のバターだ。このドーベルマンの好物だ。
里見の手を放たれた犬は待ち構えたように貴子の秘部に鼻ずらを忍ばせると、隠しようもない女芯をざらりとした舌でチロチロと刺激する。
「あッ!あぁッ・・・」
まるで女の性感帯を知り尽くした男のクンニのようにドーベルマンは貴子を確実に濡らしてゆく。彼女を縛りつけた鉄柵が痙攣したように震える。
(い、いやだわ…動物に・・・犯されるなんて! しかもその姿を撮影されてる・・・)
意思に反して貴子の甘い痺れは女陰を中心に全身に広がってゆく。
「あ、あぁ~~・・・」
思わず口を衝いて出る喘ぎに貴子は思わず懇願した。
「お、お願い! 猿轡を、口を塞いで!!」
哀願しながら、被害者たちの心情を身をもって思い知らされ、また捜査段階で自分が口にした見解の甘さも痛感させられた。
(ああ・・・猿轡は・・・女の側から噛ませて欲しいこともあるんだわ・・・)
「いいだろう、動物に犯られて、よがったとあっちゃあ、さすがにオヤジ殿も卒倒するだろうからな!高野が実行した犯罪を模倣するためにも大切なアイテムだよな、猿轡は」
里見所長は、貴子を凌辱した犯人に仕立て上げられる予定の、緊縛されたままの高野巡査の頭を靴の先で小突く。
高野自身は自分の獲物になるはずだった白木貴子の妖艶なまでの責め場を目の当たりにし、恍惚の表情で変態冥利に尽きるという様子だった。
女として、キャリアとして、人としてのプライドも踏みにじられた白木貴子。
その口に、コブを丸めた手ぬぐいがねじ込まれた。
美貌の女警視が自身で指揮を執る「連続女性監禁・緊縛・猿轡放置事件」の最後の被害者となった瞬間だった。   



プライドに噛まされた猿轡 その8

第8章

白木貴子とて、女であると同時に警視庁のキャリアという己の職責を痛感する有能な警察人である。
ただただ犯人の手中の虜のままではいない。
彼女の反撃のチャンスは明け方近くにやってきた。
男は貴子に「挿入」したローターを回収しようと試みた。
男は自分で彼女の女陰をまさぐる蛮行には出なかった。
あくまでも貴子が意に反した快感で濡らした秘部から、その部分を責め立てた秘具を取り出す様子を眺めたいという変態的な欲望に駆られたらしい。
「貴子・・・縄を外してあげるから自分でバイブを取り出しなさい もっと気持ちのいい遊びを思いついたから・・・」
手首と脚首の縄を解かれた貴子は、ギャグボールを噛まされたままの美貌を俯かせ、ためらう様に引き裂かれたスカートをめくると白いパンティに手をかける。
やがて意を決したように膣内から小型のローターを抜き出す。
糸を引く愛液混じりのローターに男の視線が釘付けになった瞬間、貴子の刑事としての瞬発力が目覚めた。
(今だわ!)
貴子は素早く立ち上がると、美脚を振りあげ渾身の力で現前の男を蹴りあげた。
顎に一撃をくらい、仰向けにのた打ち回る相手を尻目に貴子は後頭部で固定されたギャグボールのバンドを外した。
嬲られつくした際に口筋が緩んであふれ出た唾液が、美しい弧を描いた。
「高野武雄巡査部長! 逮捕監禁容疑で逮捕しますッ!」
貴子は美貌を険しく引き締め、恐ろしいまでの迫力ある眼力をこめて高野を睨むと、彼を引きずり起こしギリギリと中年刑事の腕をねじり上げた。
そう、貴子を拉致監禁し、辱めを加えたのは誰あろう、彼女に面罵され罵倒されつくした部下、高野巡査部長だったのだ。
高野は意外にも大人しく、貴子警視の「縛に」ついた。
己の肉体を縛めていた縄で彼を手早く縛る。
その瞬間、高野が妙な嬌声をあげた。
(おかしいわ・・・私が捕まってから半日以上が経過しているわ 携帯にはGPS機能が付いているのだから私の居場所を特定できるはず・・・なのに誰も助けに来ないなんて)
貴子は腑に落ちなかった。
(そもそもここはどこなの? 廃屋ではないことは確かだわ とにかくも、ここを脱出しなくては)
貴子は高野を放置したまま、身体をぶつけるようにしてドアを開けた。
しかし、そこには彼女を捕えるべく別の魔手が・・・。
通路に出た彼女を待ち構えていたのは二マ二マと残忍な笑みを浮かべる「山手広域署」の面々の姿…。

プライドに噛まされた猿轡 その7

第7章

「君を眠らせないよ、貴子」
興奮が高まったらしい男はきやすく、貴子を呼び捨てにした。
その言動は変態チックなセリフもさることながら、貴子のプライドを弄んだ。
これまで自分のことを呼び捨てにした人間はどれくらいいるだろう?肉親や一部の友人、いわば選ばれたものしか彼女を呼び捨てにはできない。
だがこの男は今、間違いなく彼女を見下ろしている。
そればかりか、有言実行で彼女を眠らせない。
彼はどこまでも変態チックだった。
今度は小さなリモコン・ローターをパンティを履かされたままの秘部に挿入され、それを振動させては絶妙のタイミングで止め、振動させては止め・・・。
それをマメに繰り返し、貴子を心行くまでいたぶり抜く腹積もりらしい。
バイブを起動させられるたび、卑猥な音が股間から洩れ、スケベな液体が下着を濡らす感覚に貴子は意識を失いそうな快感を覚える。
男は貴子の、いや、女であれば誰しもが萌芽的に持ち合わせるであろうマゾヒズムを突くように、言葉でも彼女を責める。
「いやぁ・・・警視庁の女警視だからこんな目に遭ってもさぞかし冷たい表情で耐え抜くかと思いきや、意外だったなぁ・・・こんなに濡れて、パンティもビショビショだ 陰毛が透けてみえるよ」
このセリフに貴子は恥ずかしそうに顔をゆがめ、噛み込まされたギャグボールをキツク口内で締め付けた。
「それにしても無様だねぇ 犯人の特定すらできないままボスが敢え無く捕まり、被害者と同じように監禁・緊縛・猿轡の刑とは ククク・・・これじゃあ、世間の女たちのの危機感の無さを避難できませんなぁ」
男は貴子を詰りながら、バイブを振動させる。
「ひうぐぅッ!」
貴子は卑猥な声を轡の下で上げながら、目の前の犯人の「調教」に女芯を熱くされる自分に不思議な感覚を抱き始めていた。
拉致され、監禁される中で、恐怖と同時に無様な自分を認識させられることに奇妙な快楽を覚え始めているのも事実だった。
再びバイブが振動させられる。
女芯を嬲られる甘い痺れに、貴子は縛られた両手首をねじり、足の指をぐっと縮め、ギャグボールを噛んで、確信する。
この男こそ自分の追う「監禁・緊縛・猿轡放置事件」の真犯人であると。

プライドに噛まされた猿轡 その6

第6章

どれほどの時間が過ぎたであろうか。白木貴子はその麗しの美貌に滴る冷水の感触に意識を取り戻しかけた。
次第に視線が焦点の合致により定まってくる。その瞳が捉えた相手とは―――。
男は羨望と崇拝と僅かな憎悪を覚える表情で弱々しく笑う。貴子もその顔には見覚えがあった。
男はガラス製の花瓶を手にしている。
ご丁寧に眠れる森の美女を覚醒させたつもりらしい。
「貴子ちゃん」
男の第一声は意外なものだった。
声は震え、陶酔しているかのようだった。
その声音を聞くだけで貴子の怜悧なハートは凍りつき、すべてを消し去りたいと思うほどの嫌悪感を覚えた。
縛めは当然解かれていない。
貴子に許されているのは横たわることだけだ。
そんな彼女の傍らに覆いかぶさるようにして座り込み、さらに醜顔を寄せてくる。何とか己の肉体に触れさせまい、と全身に力を入れ悶えたが、手首に縄が食い込みストッキングに覆われた脚が擦れ合うだけだった。

深夜だった。
と言っても監禁され続けている貴子自身、今が何時か知る由もない。
意識を取り戻して以降、それが数万時間にも感じたが、それよりも何も今は己が受けている屈辱的仕打ちに耐えることに精一杯だった。
厳しい轡の辱めを受けた美貌の傍らの携帯電話が振動する。
貴子は絶望にも似た気持ちで、美しい瞳を閉じる。
「貴子ちゃん、また電話が来たよ、本当に人気者だねぇ・・・」
厳しく両手を縛められた貴子に変わり、電話を取るのは「あの男」だ。
男は携帯を手にしたまま、二マ二マと薄ら笑いを浮かべたが、むろんのこと通話をしない。
代わりに振動し続ける携帯を「ある場所」に押し当てる。
そうそれは、厳しい縛めを受けた女警視の引き裂かれたスカートから覗く、白い下着に隠された聖なる部分・・・。
その秘部はあろうことか、彼女の意思に反し、人科の雌の感覚を弄ばれが故に滲み出たラブジュースがしっとりと奥ゆかしいシミを作っている。
「はあんッ!」
屈辱から逃れようと縛られた肉体を横向きにねじったが、男は粘着質な手つきで貴子の下半身を抱きこむように抑えると、持ち主を呼び続ける携帯を聖穴に差し込むようにあてがう。
「はむうぅッ~~・・・」
目の前の卑劣な犯罪者は女警視に着信がある度、この屈辱的な性拷問にかけるのだ。通常、監禁された女性はほぼ間違いなく性的な凌辱を受ける。
しかし、男はあからさまな辱めを実行しなかった。
代わりに、卑猥な性的な悪戯を彼女に繰り返す。
そんな仕打ちに間違っても「感じて」なるものか、と思っていた貴子。
しかし、突如何者かに連れ去られたうら若い警視庁のホープを探す同僚や部下たちからの携帯が鳴り止むことがなく、囚われの身の貴子の性感をいやがうえにも弄ぶ結果となっていた。
「ブィーン、ブィーン、ブィーン・・・」
貴子のスカートはまるでミニスカのように裾を切り上げられ、さらに股間部分を一直線に裁断されている。
そこから見え隠れする秘部に密着させられた携帯はまるで、彼女の性感帯を知り尽くした生き物のように振動し続ける。
股間から広がる快感に、浜辺に打ち上げられた人魚のようにビクリと身体を震わせた。
「はぐぅッ!」
貴子の口にはさらわれた時のギャグボールが噛まされたままになっていた。
己が屈辱的仕打ちにその身を濡れそぼらせ、嬌声をあげる様を眺められることはこの上ない屈辱だが、その声を轡で遮断されることは彼女にとって逆に救いだった。
しかし、本当は目の前の男を面罵し、二度と立ち上がることのできぬほど精神的に打ちのめすセリフを叩きつけてやりたかった。
たとえ痴漢や覗き魔でも「変態」と罵られることが最大の屈辱だという事は定説だ。
肉体的に痛めつけるよりも、精神的に屈辱を与えた方が相手へのダメージが大きいことは貴子自身よく心得てきた。
しかし、多くの同僚や部下を叱咤し、時にはライバルを論破した豊かな弁舌も口を塞がれていては豚に真珠だ。
「おお?また振動し始めたよ 今度は・・・窪田隼人・・・どなたかなぁ? 彼氏かね 美人警視殿の彼氏・・・まぁ、誰でもよい 精々、股間を熱くさせてやってくれ」
貴子の秘部に再び振動とともに快感が走る。
(窪田・・・警視・・・)
貴子より3年年上で、東大の先輩にもあたるキャリアだ。
上品で家柄も申し分ないが、現代男性には少ないワイルドな面を持つ彼にどこか惹かれていた。
そんな彼にも自分が拉致されたことが、知れ渡っているのだろうか?いずれは上司ともなりえるし、尊敬の念を抱く彼にこんな姿は見られたくない。そ
の男性からの着信が、ここまで彼女を猥らに濡らしてゆくとは何とも皮肉なことか。
これほどまでに執拗に携帯を鳴らす人々を、貴子は心底呪った。



プライドに噛まされた猿轡 その5

第5章

 催涙スプレーを浴びせかけられた目を抑えながら山手広域署に置かれた捜査本部に高野巡査部長が、倒れこんできたのはその数十分後のことだった。
非常事態に驚きを隠せぬ仲間たちに、高野が吐き出すように口にした言葉は衝撃的なものだった。
「しッ、白木警視が・・・白木警視が何者かに拉致されましたあぁ~~!!」
事件が起きたのはつい今しがた。
それもこの山手広域署の地下駐車場だ。
高野巡査部長は目の前で起こった、美貌の上司が正体不明の男たちの魔手に堕ちる光景を鮮明に記憶していた。
 黒塗りの公用車を降りかけた瞬間、鉄筋の柱の陰から忍び寄った2人の男に襲撃された白木貴子警視は、左右から挟まれるように腕を取られた。
しかし、護身術の心得があるらしい彼女は抗い肘鉄を相手の胸元に食い込ませ、次いでもう一人の男の腕をねじり上げた。
だが、所詮は女であることを彼女も実感したであろう。背後から組みついた男は、白木警視の首に太い腕を食い込ませしめ落としにかかったのだ。
ふるいつきたくなる美貌を苦悶に変え、抗う白木警視。
白い上着の2つの豊かな膨らみが激しく揺れ、ムチリとした美脚はまるで生き地獄へ引きずり込まれぬように最後の抵抗を試みる様にハイヒールのかかとでコンクリートをかきむしった。
だが、その抵抗もむなしく厳しい裸締めに意識が一瞬遠のいた貴子は頭髪をつかまれ、横付けして遭った大型ワゴン車まで引きずられていく。
ハイヒールは脱げ、素足のまま歩かされていき、ワゴン車の後方のドアから伸びる手にその身を掠め取られてしまったのだった。
警護を兼ねていた高野巡査部長だが、敢え無く催涙スプレーの餌食となり、走り去るワゴン車の姿を視点の定まらなくなった眼球に焼きつけるのが関の山だった。かくして、警察の施設内で、キャリア警視が拉致されるという衝撃的かつ、組織としてはこの上なく屈辱的な事件は完了したのだった。

 とはいえ、これはあくまでも高野巡査部長が見聞きした災難の一部にすぎない。
時間を巻き戻し、走り去るワゴン車の中を見てみよう。
謎の男たちの魔手に堕ちた美貌の警視、白木貴子の受難は始まったばかりだ。
拉致した相手を制圧する行為は当然行われる。
ストッキングを履いた素足のまま車内に引きずり込まれた貴子は待ち構えていた男から顔面を平手で殴打された。
「な、何をするのッ! 私を誰だと思っているの」
恐怖の中でも、毅然とした、あるいは高慢とも思える口調で相手を睨む貴子。
しかし、男は意にも介さない。そればかりか後ろから乗ってきた彼女を襲撃した男の一人が、貴子の美顔を横から張り倒す。
「キャッ」
少女のような悲鳴をあげ倒れこむ貴子。
さらに頭髪をわしづかみにされ、引き起こされた貴子の鳩尾に敬棒のようなむのが食い込む。
「あうッ!」
蹲った貴子の腕が後ろに回される。
(し、縛られるんだわ!)
身体を拘束されるのだけは免れたい、と思った彼女だが抗ったところで、走り続ける車の狭い空間内で3人の男たち相手に勝機がないことは彼女にもすぐわかった。
また自分を襲った相手がその道に長けている連中であることも察しがついた。
それでも、かつて経験したことのない暴力の魔手から逃れたい気持ちが勝っていたのも事実だ。
貴子はこの時、自分が手がけている事件の被害者の恐怖を理解することになるのだった。
両手の甲が合わされ、手首に固い縄の感触が走る。
やがてギリリとそれが引き絞られる痛みに、彼女の美貌が歪む。
初めて肉体の自由を奪い取られる恐怖にキャリアレディは我を忘れて長く形の良い脚をばたつかせた。
しかし、相手は屈強の男たち。
すぐさま一人が貴子の両踵を捕えると、強引に2つの脚を纏め上げ、縄をかける。
これで肉体の自由はすべて失った貴子だが、毅然と言葉を発そうと綺麗な瞳に怒りを湛え、男たちを睨む。
「あなた方、私を警視庁の警視とわかった上でこのようなことをッ はぐうゥ~~ッ!!」
相手を威嚇しようとせめてもの防衛を試みた貴子。
その口に背後から固くボール状のゴムがはめ込まれた。
まるで貴子の口のサイズを計測して作成したのではないか、と思われるほど的確にフィットしたギャグ・ボールは、その理路整然とした言葉をのみ込ませるに十分だった。
(く・・・口まで! 口まで塞がれては・・・成す術がないわ…)
頬に食い込むギャグ・バンドの痛みに貴子は拉致される恐怖を覚えたが、同様に男たちの手に堕ちる屈辱感に全身が熱った。
25年間の人生で彼女はおよそ、人に心底ひれ伏した経験はない。
名家の令嬢育ちにして、東大文1の超才媛。
そして類まれな美貌だ。
幼少期から今日まで人から尽くされることはむしろ当然で、社会に出てからもキャリアという立場故に即、部下を抱えるポストを得てきた。
公私ともに跪く男たちも数多かった。
そんな彼女がいま、警視という立場でありながら正体不明の男たちに自由を奪われている。
手も脚も、そして口さえも…。
緊縛猿轡姿で無防備に転がっているこの状況。
まさしく白木貴子は人生で初めて他人に屈伏させられたことになる。
キャリア警視としてのプライドよりも、若い女としての恐怖心よりも、その屈辱が彼女の心を占有し始めていた。
そんな貴子の首筋そして胸元に2人の男がスタンガンを押しつける。
くぐもった絶叫を上げながら、浜辺に打ち上げられた人魚のようにビクビクと痙攣する貴子。
その凶行は女警視が意識を失うまで続けられた。



プライドに噛まされた猿轡 その4

第4章

2日後の早朝。朝靄のかかる世田谷区成城の一角にそびえるコンクリート製の瀟洒な豪邸。
朝食を終えた白木貴子は白いスーツの上着を手にし、肩には小型のプラダをかけ、世間では居間ほどの広さはあろうかという玄関に立った。グレーのスカートから伸びるストッキングに包まれた白い爪先をハイヒールに滑らせた時、背後に気配を感じた。
「まァ、お父様 今朝はごゆっくりですのね」
衆議院議員白木洋一郎の姿を前に、貴子は娘らしく微笑んだ。
「ウム、公安の長とはいえ、平時の日曜くらいは休ませてもらわぬと、体がもたぬ それにしても貴子、今日も出勤なのかね?」
「厭ですわ、お父様ったら・・・警察に日曜も祭日もなくってよ それに今、事件を追っている最中よ いつまでも子供扱いなさらないで」
貴子が言葉とは裏腹に小々、甘えた口調で父を見る。
「捜査は苦労しておるようだね」
洋一郎は娘が愛おしくてならないという表情だ。
「心配ご無用よ、お父様 必ず、犯人は挙げて見せますわ それよりも、お父様こそ、お身体気を付けて 私が警視総監に出世するまでは、ね」
冗談めかしてはいるが、貴子の目下の目標は警視総監だということは父も知っているのだった。
「お父様の組織とはいわば宿敵ですものね、娘と父がライバル関係なんて素敵じゃなくて? うふふふ」
貴子は妖艶な笑みを浮かべると、軽く父に会釈した。
「今度の事件は性犯罪なのだろう お前に危害が及ぶ危険は・・・」
公安委員長とは思えぬ弱弱しい表情で愛娘を呼びとめる洋一郎。
やはり娘の扱う事件は気になるらしく、情報は収集しているようだ。
「ご心配なく!今日から専属の警護と運転手もつきますの それでは行ってまいります」
職務では怜悧な表情しか見せない貴子だが、敬愛する父君には天真爛漫な育ちの良い令嬢らしく、警官の敬礼のポーズをとって親心を和ませるのだった。

「貴方は・・・高野・・・巡査部長・・・だったかしら?」
白木貴子はハンドルを握る冴えない中年の男を怪訝そうに車内のミラーを覗きこんだ。車は黒塗りの公用車だが、敬語と運転手をこんな頼りない男が担当するとは・・・。
貴子は過日のこの巡査部長のうだつの上がらぬ姿を思い起こし、美貌を怜悧な色に染めた。
(日本の官僚への待遇はなんでこんなに低いのかしら・・・ 先進国ならば、性別年齢にかかわらず、組織のブレーンには一定の敬意が払われてしかるべきなのに)
エリート警察官僚のエゴをむき出しにした感情こそ表には出さぬものの、貴子の態度は明らかにこの父親と同年齢の部下の人権を認めていなかった。
「はいッ、おはようございます、白木警視 今日は私が護衛とドライバーをあいつとめさせていただきます」
ハンドルを握りながら、高野巡査部長は振り返って土下座せんばかりに卑屈に頭を下げる。
「挨拶は良いからッ! しっかり前を向いて運転なさい! 事故でも起こしたらどうする気!?」
 遠慮のない叱責を叩きつける貴子。
2日間の捜査の進展状況はあまり芳しくなく、前歴者にも、被害者の関係筋にもあやしい人物は該当がない。
 (それでも、進歩はあったわ・・・ 犯人特定は確率論よ オーソドックスな手法でも、虱潰しに確立の低いものをつぶしていけば、おのずと道は開けてくるはず・・・)
 貴子が自らの手法を心の中で確かめている最中、運転席から頼りない声が漏れる。
 「あのぉ・・・警視」
 「なあに?」
 少し不機嫌な声で返す貴子。
 「本日はどのような班体制で・・・何か新たに分かったことは・・・」
 この2日間、己の卓越した記憶力にまるでインプットされることなく、まるで幽霊のような存在だったこの男に捜査の進展状況まで尋ねられたことで、彼女は表情をこわばらせる。しかし、そこはキャリアレディであり、彼の上司だ。落ち着いた様子を崩さず、しかし、それでいて、部下の不徳を確実に指摘した。
 「まだ、実態はつかめなくてよ・・・ ただ私が捜査本部に着任してからの2日間で確実に言える事が一つだけあるわ それは警察に身を置くべきでない公務員が山のようにいるという事実・・・ 私の前にも一人いるけれど」
 冷めた口調で言い放った貴子は、急に声音を厳しくする。
 「いい? 高野巡査部長、上司にモノを訊ねるときは時と場と、自分の分をわきまえなさい! それと・・・末端の捜査は貴方のような‘下の仕事’よ! ちゃんと成果のある捜査をして私に報告なさい!」
 貴子は険しい瞳でミラー越しに、部下を睨む。
 「私の仕事はね、貴方みたいな人の存在価値を見極めることでもあるのよ」
 娘のようにうら若い女性警視の面罵に返す言葉もない高野だった。
 

プライドに噛まされた猿轡 その3

第3章

捜査員一同は、貴子のこの場を仕切る長としての才覚と、エリート官僚の明晰な頭脳に舌を巻いた。
会場内のあちこちから、やる気のある捜査官から質問が上がる。
「白木警視!一連の犯行では被害者が猿轡をされた状態で発見されてますが、考えられる理由は?」
「別に猿轡を噛ませて放置していることに特別な意味はないと考えます。なぜならば、犯人は被害者を監禁している間、ずっと猿轡を噛ませています 凌辱行為に及んでいる間も撮影を続けているのだから、その時に自分たちを特定されることを喋らせないためじゃないかしら?」
理路整然とした口調で、貴子は続ける。
「さっきも言ったように、被害者に致命傷を与えずに解放しているということは異常性欲者、そして自己顕示欲が異常に強い者の犯行が疑われるわ・・・それか、よほどの小心者」
犯人の姿を想像しているかのように、鼻を木で括ったように嘲笑の表情を浮かべる貴子。
「しかし、警視 いずれも、ガイシャの記憶が失われているという共通点がありますね?」
捜査員の一人が述べたように、被害者が犯人に捕えられ、自らが受けた一連の屈辱的な仕打ちについての記憶をすべて喪失しているというのが今回の事件の不可思議な点なのだ。
「それは判り切ったことよ 被害者が本当に記憶を失っているとは限らないでしょう その、ふりをせざるを得ないだけかもしれない 自分が受けた仕打ちを思い返せば、ね」
貴子は女の心理を知り尽くした様子で、その一方、被害者が受けたであろう心の傷を意にも解さない口調で見解を述べる。
「それにしても日本人の危機管理能力の低さには驚かされるわ」
貴子は涼しげな瞳で天を仰ぎ、呆れたように囁く。
「東京の治安の悪さは先進国でもトップレベルになったというのに・・・深夜の住宅街を一人で出歩くなんて、海外では考えられぬことよ 急に襲われるにしても隙があることが最大の原因ね、最低限の護身術を身につけておくべきだわ 被害者側にも非があるわね・・・」
エリート警察官僚は冷笑を浮かべながら、部下を向き直った。
「いずれにしても、犯人逮捕は時間の問題ね それでは、捜査第一班は被害者の関係筋を洗い出して頂戴! 必ず共通する何かがあるはずよ 第二班は過去10年間の性犯罪者リストをもとに、刑期を終えた者の行方を当たって!」
貴子はキャリアらしく、僕たちに的確に指示を与え、能動的に働かせるすべを心得ている。すでに誰もその場にいるものは彼女をだだの令嬢とは見ていなかった。
熱い熱気に包まれる捜査員たち。そこからポツンと取り残される一人の男。
貴子をまるで卑弥呼を崇める村人のような表情で見つめる男は高野武雄がいた。



プライドに噛まされた猿轡 その2

第2章

「し、白木君は・・・いや白木警視は諸君も知っての通り、この度の国会に提出されたインターネット規制法案の草案を練られた将来のある・・・」
警察官僚としての実績を切々と唱え、自分の孫娘にも近い年齢の若い娘を持ち上げる署長を呆れ顔で眺める捜査員の間からひそひそと内輪の話が漏れ始める。
「あれかよ、今度警視庁から来るっていわれてた女警視は 25歳のお嬢さんに顎で使われるのかよ、俺らは」
「ああ、東大・文科一類卒のキャリアだ やっぱ生意気そうだよなぁ」
一定の年齢以上の男たちは、突如現れた娘同然の警察官僚に反発心を抱いているようだが、若い刑事は眼を輝かせている。
「それにしても、美人ですね 彼氏はいるんですかね?」
「馬ぁ~鹿! ご身分が違うぜ あのお嬢さん、東京都の創始者の一人でもある大地主、白木の末裔だ つまり、世が世ならお姫様ってわけさ おまけにオヤジ殿は国家公安委員長で衆議院議員、白木洋一郎だ おまえ知らないのか?」
「へぇ~~・・・ 白木って旧白木財閥の・・・こりゃ、逆玉嗜好のイケメンでも落とせそうにないッスね…」
若い刑事が肩を落とす。
「それにしても、警視閣下が何でこんな猟奇事件の陣頭指揮を? 政治家センセイに媚を売る官僚は畑違いもいいところでしょ」
「それも、政治的意図があるらしい・・・警視庁としては公安にある事案から手をひかせる交渉を進めるために、あのお嬢さんに・・・」
そんな男たちの会話などをすべて受け流しているかのような顔をしていた白木貴子だが、下らぬ会話を遮る様に、おもむろにスッと席を立つ。
163センチ程度だろうか。
ハイヒールを履いているためさらに長身に見える。スーツに包まれた肉体は細身で華奢にも見えるが、かなり形よく膨らんだ胸元や、むっちりとした脹脛からは成熟した女の香りがいやがうえにも男たちの心理的鼻孔を突く。
しかし、そんな女の甘さとは対照的に、貴子の言葉は辛辣で、はるかにに現場の先達である、男たちにも遠慮がない。
「皆さん会議中に私語とは、随分余裕がありますこと 現場のプロである皆様には釈迦に説法かもしれませけど、指揮官としての見解を述べさせていただくわ」
貴子はハイヒールの音を響かせながら、研修留学で学んだという米国の犯罪心理学者のプログラミングに基づいた犯人像分析を語り出した。
「概要はお配りしたシラバスにまとめておきましたが、少々解説が必要ね 私が学んだ性犯罪心理学者、ベスト・リー博士によると、こういった猟奇的な犯行の動機は大きく2つに分けられるわ…まず、一つ目は衆目を浴びたいという我が国でも見なれたオーソドックスな犯罪者 そしてもう一つは、インターネットの普及によってスポットを当てられ始めたDID・・・いわゆる女性を捕えたい征服したいという、新たな種類の変質者の可能性・・・これには・・・」
貴子が本題を聴衆に説き始めた時、室内の後方で一人の中年刑事が弱々しく手をあげた。
「すまんですが・・・プリントが、こっちに行き届いてないもので・・・」
高野武雄54歳。
高卒でいまだに巡査部長だ。
学歴社会でもある警察組織では最末端の存在といえよう。
叩きあげ、というほどの実績もなく、交番勤務の長い「窓際捜査員」とでも言えばわかりよい。そんな彼の生き様を表すような彼の穏やかな物腰だけが取り柄のような態度に、貴子は少々苛立った様子だ。
机に残る資料の余りを手にすると、靴音を響かせながら高野のもとまで大股に歩み寄り、申し訳なさそうに手を出す彼を無視するかのように資料を机の上に滑らせた。
講釈を続けようと、中年刑事に背を向けた貴子だが、何かを思い直したように彼に向きなおった。
「貴方は・・・」
「は、山手広域署の…普段は交通安全課に勤務しております・・・高野・・・」
「名前など聞いてはおりません」
貴子はおずおずと姓名を名乗ろうとするはるかに年上の高野を一喝した。
「あなたはどういうつもりでこの場に身を置いているかを尋ねているの」
「…と、申しますと?」
「刑事の使命は事件を解決すること、それに尽きるの 警察の威信は以前に比べてはるかに揺らいでいるわ 本庁にいれば貴方のような現場の人よりもそれを肌で感じるわ」
高野だけでなく、その場にいる捜査員全員を面罵するような表情を一瞬浮かべた貴子だが、その美貌を引きしめると「当事者」の叱責に戻る。
「あなたはどういうつもりでこんな最後尾の席に陣取っているわけ? 卑劣な事件を起こす犯人に立ち向かう気概はあるの? 私は貴方がたを指揮するために話をしているの 最初に資料を一部ずつ手元に置くように言ったはずよ 上司の言葉も耳に届かないような場所で、本題を論じている最中に、士気の下がる様な事を言う貴方のやる気を信じられますか!? 形だけの会議に出席するのならば、すぐにここを出て行きなさい!」
叱責というより、罵倒に近い物言いだった。
しかし、白木貴子の美貌をから発せられると、逆に彼女の警察官僚としてのモラルや厳しい倫理観を浮き彫りにさせる格言となるから不思議だ。
しかし、娘よりも若い聡明なキャリア警視に同僚上司の前で面罵された勤続36年の巡査部長には耐えがたい屈辱だった。全身が熱り、それでいて心の底に鉛をのみ込んだような恐ろしいまでの冷たい感覚が彼を襲う。
「続けます・・・良いですか? 犯人は・・・」
そんな先達のことなど、存在すらしなかったかのように貴子は講義を続けるのだった。


プライドに噛まされた猿轡 その1

第1章
ここは山手広域署。
主に都内の高級住宅街で起こった事件を扱う警視庁の分署の扱いだ。
数百人は収容できる会議室のドアに垂れ幕が掲げられる。
【区内連続女性監禁・緊縛・猿轡放置事件合同対策本部】
ここ2ヶ月間の間に、区内の女子大生、若いOLが連続して何者かにさらわれ、監禁される事件が頻発していた。
拉致された女たちは全員、解放されている。
ただこの事件が猟奇性を帯びているのは、犯人が女性を監禁している間の生活の一部始終をネットの動画サイトに投稿していることだ。
そして、犯人たちの手に堕ちた女たちは緊縛を受け、衣服を剥ぎ取られ、言葉で罵られ、そして性生活を告白させられた上、性行為を強いられ・・・辱めの限りを撮影されるのだ。
最終的に女性たちは、屋外のいたるところで緊縛を受け、放置されたところを発見されている。
そして、共通しているのは全員口に猿轡を噛まされているのだ。
女たちを救出した者が、その口にねじ込まれた白い布を解くと決まってそこにはNO.と宗教を意味する様なイニシャルが書き込まれているのだった。

当然のことながら海外のサーバーを使用した、昨今のネット犯罪の一面を見せる今回の事案に警察は手を焼いている。
今回、この山手広域署に本部が設けられたのは、管轄する区内で被害者が多いこと、そしてもう一つ政治的な側面があった。
通常、対策本部が置かれた際には見られぬ、熱気、いや捜査員たちの動揺が見て取れるのもそれが理由だった。
警察というと世間では特別な組織のように思われる。
しかしながら、その実態は旧態然とした閉鎖的な村社会そのものである。
縁故や、血縁が重視されるのもその証拠。
今回の‘政治的な側面’もそれを如実に言い表すものに他ならない。

予定の開始時間を数分過ぎ、圧倒的に男が多数を占める息苦しさを覚える会議室。
そこに明らかに別世界の涼風が吹きこんだ。
捜査員たちの目がすべて釘付けになる。
普段、ホシをあげるための血眼とは異なる、明らかに人科の雌を本能的にかぎわけるギラついた目だ。
その視線は、既に初老の域に達した広域署長を「爺や」の如く引きつれて颯爽と現れた一人の美女に注がれる。
グレーのスーツに身を包んだ細身の美女。
やや栗色に染め上げたセミロングの頭髪。
瞳は、ほど良く大きく、そして涼しげだ。
鼻筋は通っているが、西洋人ほど大きくはない。
コワク的な唇は下側がやや厚いが、それが清楚な彼女の顔立ちに情感的な魅力を附加している。
絶世の美女、と言っても過言ではあるまい。
彼女は捜査員たちの真正面に置かれた指揮官指定席の長机の前に立ち、彼らを一瞥した。
しかし、彼女は部下となる彼らに一礼をするわけでもなく、中央の席に臆することなく隙のない動作で腰をおろした。
スカートから伸びるストッキングに包まれた美脚をすっと揃える様子が、テーブルの下から披露されると男たちの間からため息ともどよめきともとれる声が漏れる。
「あ、あ~~・・諸君 寒い中御苦労だ 君たちも知っての通り・・・昨日も例の緊縛猿轡事件の被害者が出た・・・」
いつものことながら回りくどい署長の挨拶が始まる、誰もがそう思った時だ。
「里見所長、無駄な薫陶に割く時間など、私どもにはありません!」
氷を背中にあてがわれたような感触を誰もが覚えた。
そんな表現がマッチする怜悧な言葉を発したのは傍らの美女だ。
「あ、う~・・・そ、そうだな それでは皆に紹介する 今回の陣頭指揮を執る・・・し・・・」
「白木貴子(しらききこ)です」
ドモリのひどい署長の言葉を制するように、美女は再び怜悧な声で名乗った。
「警視庁より参りました 以後よろしく・・・」
貴子は立ち上がるでもなく、それだけで十分でしょ?とでも言いたげな表情で、再度、部下たちを一瞥した後、それ以外には何の興味もないという様に書類に目を落とした。
伏目がちになり、瞼の影すら美しかった。




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