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ここは、自分のこだわりを書き綴った場にしたいと思ってます。小説はすべて私の頭の中の妄想・空想を書き綴っています。


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奇人四十面相 恐怖の緊縛の館 今宵の招待客は帝都警察刑事局長のご令嬢 三嶋紀子

第5章

キャメロン妃の正体レセプション会場は、巨大豪華客船エリザベス・クイーン号です。要塞と城を彷彿させるその船艇で三嶋敬一郎刑事局長は歯ぎしりをしていました。
「局長! 四十面相にしてやられました! キャメロン妃が、キャメロン妃が拉致されました!!」
部下の報告に険しい表情の三嶋敬一郎氏。
「くそ、四十面相目 我々の裏をかくとは!! あらかじめ、偽の警備配置図を渡したというのにこちらの意図を呼んでいたのか?」
そう、奇人四十面相は帝都警察に、キャメロン妃警備の配置を緩めることを条件に紀子嬢を解放することを提案したのです。
当然、英国要人の警護が第一の三嶋敬一郎刑事局長は偽の配置図を差し出すことで、四十面相の裏をかき逮捕を画策したのですが、稀代の奇人は一枚上手でした。
そんな警備の嘘を見抜き、逆に厳重な配置の盲点を突き、ものの見事、英国の青い目の美女の略奪に成功したのでした。
「の、紀子は、あの娘は無事か!?」
「は、局長あそこです!!」
切れ者の部下の一人、捜査一家安藤刑事が指さす先。
それはエリザベス号の舳先に全裸で後ろ手に縛められ項垂れている三嶋紀子嬢の姿でした。
船の航海の無事を祈るフィギュア・ヘッド代わりにされた紀子嬢は、女神と見まがうほどの妖艶な緊縛絵図を晒しているではありませんか。
刑事局長以下、安藤刑事が慌てて駆け寄ります。
猿轡を外されるとぬちゃっという卑猥な音を立て、唾液を垂れ流し、甘い吐息を漏らす紀子嬢。
厳しく打たれた縄を解かれても、白い柔肌に赤紫の痣が艶めかしく残ります。
「お、お父様、わたくし・・・」
瞳を潤ませ、全裸で父を見つめる紀子嬢はどこか妖艶です。
「紀子、すまなかった 何も言わなくていい 辛かったろう?」
囚われていた愛娘を抱きしめる敬一郎氏。
しかし、紀子嬢は泣くこともしなければ、喜びの声も発しません。
「安藤! 紀子を安全なところに頼む! 私はまだ、四十面相の行方を追う!」
凛とした声で命令した刑事局長殿。

しかし、四十面相は遥かなたどころか間近に潜んでおりました。
そして、二兎追うものは一兎も得られなかった三嶋局長とは対照的に、タナボタ的にもう一人の美女を略奪する事にも成功したのです。
「ハハハハ、三嶋局長、君はまだまだ甘いよ!!」
豪華客船の上でまばゆい光を放つヘリコプター。
その扉につかまった安藤刑事…の仮面を剥ぎ取った奇人四十面相は全裸で意識を失った三嶋紀子嬢を抱きかかえています。
「キャメロン妃だけではなく、君のお嬢さんも私が戴いた!! 今宵は日英の美女を調教できるまたとない素晴らしい日となりそうだ!! 帝都警察の無能ぶりに感謝申し上げるよ!!」
高嗤いを残して飛び去る奇人を前に、ただただ呆然と立ち尽くす哀れな三嶋経緯浪士と、帝都警察の面々でした。 THE END

奇人四十面相 恐怖の緊縛の館 今宵の招待客は帝都警察刑事局長のご令嬢 三嶋紀子

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4章の挿絵です。

奇人四十面相 恐怖の緊縛の館 今宵の招待客は帝都警察刑事局長のご令嬢 三嶋紀子

第4章

四十面相は大きな鳥の羽を手にすると、興奮しきった紀夫嬢を「愛撫責め」に処します。
羽でその白い首筋をなぞり、二の腕を滑らせ、縄で歪んだ乳房を快擦。
「はぐッ、あぐッ、むぐぅ――ッ!!」
卑猥な猿轡顔を苦悶に歪め、くぐもった喘ぎを漏らす紀子嬢。
しかし、変態チックな責め苦は続きます。
大きく揺れる乳房の上でそそり立つ、サクランボの蕾のような乳首にも魔の手が迫ります。
容赦ない羽責めは無上の悦びを生み出し、もうビンビンに勃起してしまった乳首を隠し立てする術もないご令嬢。
生き恥と快楽の同時責めです。
「あぅぐぅッ、はぅぐぅッ、ひぅぐぅぅぅ~~~ッ…」
(の、の、の、紀子は狂ってしまいそうですうぅぅぅぅ~~~!!!)
裸足の爪先で床を掻き毟り、轡の布を噛み切らんばかりに唇で挟み込み、白目を剥く紀子嬢。
強力な阿片で狂わされたのは肉体だけではなく、理性も同様のようで…。責め苦に気絶しかかりながらも、異常な性的興奮を覚えた紀子嬢はパンティの奥で花核がヒクつき、ふしだらなジュースを噴き出していることにも気が付きました。
しかし、奇人はそんなお嬢様のマゾヒスティックな性感を開花させるなど、織り込み済みです。
「フフフ、お嬢さんとはいえ、所詮は女だね! この程度の調教でマン汁を垂れ流しているではないか しかも股縄に滴が滴るほどに… フフフ、助平な娘だ」
「はぁん」
蝶よ花よと育てられる代わりに、と注ぐその日まで清楚で貞淑を求められる名家の娘としての弱点を父の敵に握られた紀子嬢は口惜しさに猿轡をかみ殺します。
(わたくしは刑事局長のお父様の娘…そのわたくしが極悪人に捕まり、淫らな目に遭ったからとってこんなふしだらな姿を晒すなんて あぁッ、お父様、紀子はもうお嫁にいけません 助けにも来ないでください)
「さぁ、淫らで悪い娘だ お父上、三嶋敬一郎氏にに変わってこの四十面相がお仕置きしてくれる」
邪険なる奇人四十面相は鞭を手にすると、紀子嬢の背後に回り込み、その白桃の様な臀部を嬲るようにピシピシと打ち据えます。
ビッ!!
「はむんッ」
ビッ!!ビッ!!
「あうんッ!!、うむんッ!!」
猿轡の下で熱っぽく、艶っぽい喘ぎを漏らし、観念したように瞳を瞑る紀子嬢。
その秘めたる被虐的性感を呼び覚ますかのような、適度な痛みと甘い痺れをあわせもつスパンキングにお嬢様の貞操観念は風前の灯火です。
縛られた白い肉体を紅潮させ、乳首を激しくエレクトさせ、詩織パンティに陰毛が張り付くほどに漏れ出た愛液を足首にまで滴らせ、艶めかしく心悸亢進を抑えきれない紀子嬢。
その清楚な美貌は猿轡に口を塞がれたまま、恍惚の表情で天を仰いでいます。
「フフフ、上の口からはくぐもった喘ぎ、下の口からは淫らな液体 三嶋家のご令嬢陥落といったところだな」
その時、側近の一人が四十面相に何事かを耳打ちします。
「…なに? 三嶋が裏取引を? そうか、いいだろう… だが、紀子お嬢さまをただでお返しするのは惜しい…つくづく惜しいよ」



奇人四十面相 恐怖の緊縛の館 今宵の招待客は帝都警察刑事局長のご令嬢 三嶋紀子

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第3章の挿絵です。
鼻猿好男様ありがとうございます。

奇人四十面相 恐怖の緊縛の館 今宵の招待客は帝都警察刑事局長のご令嬢 三嶋紀子

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鼻猿好男様から頂きました。
2章の挿絵です。

奇人四十面相 恐怖の緊縛の館 今宵の招待客は帝都警察刑事局長のご令嬢 三嶋紀子

第3章

奇人四十面相の館に捕えられた者はほぼ皆、辱めを受けます。
帝都の身分制度などここでは通用しません。
いえ、身分の高いものであればあるほど、こと美しい婦女子は恥辱の限りを尽くされることで知られていました。
刑事局長たる父上の眼前でみすみす奇人の手中に堕ちた紀子嬢とて、例外であろうはずはなく猟奇的な責め苦に苛まれていました…。

レンガを張り巡らした地下牢―――。
怪しげな蝋燭の火がともるカビの臭いの充満したこの部屋はさらわれた者たちの牢獄です。
主である奇人四十面相には性癖があり、別名「緊縛の館」とも言われており、帝都で密かに囁かれ恐れられると同時に、淫靡な噂がまことしやかに伝聞され続けてきました。
奇人四十面相はシルクの小花をあしらったブラジャーを手にし、鉄仮面の下でほくそ笑みます。
そしてそれを細い鎖に数珠つなぎに壁に掛けられた無数のブラジャーの一列に加えるように吊り下げます。
「西洋人でもないくせに、金持ちの令嬢は随分外国かぶれのモノを好むのだね」
皮肉をかますと鉄仮面は、ブラジャーの持ち主に歩み寄り、その痴態をしげしげと見つめます。
哀れ、紀子嬢はパンティ一貫の素っ裸同然に向かれ、黒い縄で後ろ手に緊縛されています。
しかも成長著しい両乳房の上下を縄で挟み込まれ、あろうことか、ブラジャーと対の花柄パンティの割れ目に食い込むほどに股縄まで打たれているではありませんか。
あられのない緊縛絵図を披露している紀子嬢、身悶えますが、軋む縄に挟み込まれた乳房が大きく歪むだけです。
また愛らしい貌は口元の頬肉が激しく変形するほど強く猿轡を噛まされているので声も出せません。
ここは秘密のアジトです。
泣けど叫べど救けなど来ません。
にもかかわらず、乙女の口を塞いだのはこの奇人四十面相の「趣味」以外の何もでもありません。
(の、紀子ッ怖いッ!! 助けて、お父様―――ッ!!)
心の中で何度叫んだかわかりません。
しかし、声は舌を押し込むほどにまぐわされた轡に押し殺され、呻きにしかなりません。
「どうかね、お嬢さん 怖いかね?」
鉄仮面は緊縛されたまま立ち縛りにされているの紀子嬢の顎に手を掛けます。
しかし、そこは刑事局長の令嬢、気丈にも顔をそむけせめてもの抵抗を試みます。
しかし、恐怖と屈辱は最高潮に達し、黒目がちの瞳から涙がとめどもなくこぼれます。
その滴が縄を打たれたおっぱいにしたたる様に四十面相は低い嗤い声を立てます。
「別嬪は裸に剥いてよし、縛ってよし、口を塞いでよし、そして泣き喚くまで責め苛んでもよさそうだ」
再び、紀子嬢の端正な貌を鷲づかみにして己を向けさせる鉄仮面。
「私の手中に堕ちた以上、この程度の災難では済まないことは覚悟できていよう? さぁ、お嬢さん、調教を始めようか」


天井から吊り下げられた蝋燭立ては紀子嬢の鼻先で奇妙な煙を上げています。
19歳のうら若き乙女の肉体が赤みを帯び、その清楚な香りが失せ、雌の性的な色香が地下牢に充満しています。
厳しく縛められた豊満な身体を捩り、必死に抗う紀子嬢。
しかし奇人四十面相は紀子嬢の後髪を乱暴につかみ、黄色い謎の気体を近づけ令嬢の鼻腔に注ぎ込みます。
猿轡を噛まされているので、必然的にその控えめな鼻の穴を広げ、ふんだんに妖しい香りを吸い込むこととなる哀れなる紀子嬢。
(あ、あぁ…なんですのこれは? 全身が熱るわ、熱くて熱くて… 紀子、おかしくなりそうだわ…)
鼻先の香ばしい香りを吸い込むだけで、気分がハイになりズンという奇妙な胸の昂ぶりが始まり、心悸亢進を抑えられません。
二の腕や手首に走る縄の感触が、それに拍車を掛けます。
それどころか、まだ男性を受け入れたことのない秘所に掛けられた股縄の、マンスジに食い込む衝撃まで興奮を呼び覚ます始末です。
(わたくしったら、こんなふしだらな気持ちになるなんて)
「アジアで流行の阿片の味はいかがかな? 名家の令嬢には少し毒が強すぎるかね、フフフ」
瞳が次第に虚ろになってくる紀子嬢ですが、憐れお嬢様の受難は始まったばかりです。
「この程度で昇天しかかっていては困るよ、君を責め苛むのはここからが本番だ」


奇人四十面相 恐怖の緊縛の館 今宵の招待客は帝都警察刑事局長のご令嬢 三嶋紀子

第2章

自室の前で待ち受けていた執事の楠が紀子嬢を呼び止めました。
「紀子さま、帝都修学院女子大から知らせが届きまして、英国皇太子妃歓迎レセプションにぜひご出席くださいますようにとのことです」
「まぁ、爺、ほんとう!? 紀子、嬉しいわぁッ!!」
弾ける笑顔で、両手を胸の前でぎゅうっと握りしめ感激するご令嬢。
「しかし、紀子さま 最近、少々お転婆が過ぎますぞ」
「まぁ、爺までそんなことを言うの? わたくし、女ですけれど、正義感は人一倍のつもりよ 学校を卒業したら、帝都…いいえ、日本国の発展のために働きたいの 歓迎レセプションで奇人四十面相が現れたら、お父様よりも先に四十面相を捕まえてみせるわ」
紀子はチャーミングな笑みの中にも、勝気な正義感を湛えた瞳を光らせます。
「お嬢さま、歓迎レセプションに間に合うよう、いつも通り白木屋がお召し物を持参しております」
「まぁ、そうなの? お母様は、何もおっしゃっていなかったけれど…」
楠に導かれ、洋装の自室に何のためらいもなく入る紀子です。

庶民の住宅一棟分はあろうかという広く美しい部屋の中には誰もいません。
「爺、誰もいないけれど…?」
怪訝な表情で振り返った紀子嬢の前に立っていたのは、金色の鉄仮面の男、そう奇人四十面相にほかなりません。
「ああッ!! あなたは…」
驚きに口をパクパクさせる紀子嬢、言葉が続きません。
「ククク…お嬢さん あなたを歓迎レセプションにエスコートするのはこの私、奇人四十面相だ」
鉄仮面は手にしていた黒い鞭で厚地の絨毯を一打ちしてから、紀子嬢に迫ります。
「だ、誰かッ! 助けてぇッ あうぅッ!」
助けを求めようとした令嬢の首に、後ろから鞭が絡みつきます。
「逃げたり助けを求めたりするなんて、三嶋刑事局長のご令嬢らしからぬ行為だ 私を捕まえると豪語していたではないか?」
嬲るような言葉遣いで手にした鞭を起用に操り、紀子嬢の首をマメに締め上げます。
「く、苦しい…苦しいわッ」
愛らしい顔を激しく歪める紀子嬢。
しかし、奇人は情け容赦なく令嬢をいたぶり始めます。
クイックイっと徐々にきつく鞭を締め付け、紀子嬢の呼吸を止めにかかったかと思うと、彼女が白目を剥き始め意識を失いかけた途端蘇生させ、再度首を締め上げる、それを繰り返すのです。
名家の娘のたしなみも喪失しかかり、口から泡を吹き発狂した様にもだえ苦しむ様に、サディストの奇人もさすがにやりすぎを感じたのか、残酷な鞭責めから紀子を解放します。
「あううッ!!」
どっと床に崩れ落ちる紀子嬢。
しかし、残酷な鉄仮面が憎き帝都警察幹部のご令嬢を許すはずはありません。
「さぁ、歓迎レセプションまではまだ日がある それまでは私の館でたっぷりと準備をするとしましょうか、紀子嬢?」
「わ、わたくしを…どうなさるおつもり?」
息も絶え絶えの紀子嬢が絞り出すような声で問い質すと、鉄仮面はそのマスクの下で薄ら笑いを浮かべながら答えます。
「私の屋敷の秘密の部屋で、徹底的に調教して差し上げる いいじゃないか、我が宿敵、帝都警察晋刑事局長の愛娘が父親のいる自宅からみすみす連れ去られ、重罪人の手中に堕ちる… 最高のシチュエーションだとは思わないかね?」
奇人四十面相は自己陶酔したような口調で囁きます。
「い、いやッ! お願い助けてッ!」
床を這って逃れようとする紀子嬢。
しかし、その白いブラウスに包まれた背中を残酷な鞭が一閃しました。引きちぎられてゆくご令嬢のお召し物…。

凄まじい轟音とともに豪邸の窓ガラスが大破します。
警察官僚の威厳も忘れ、慌てて私邸の外に飛び出し、漆黒の闇に包まれる上空を見上げた三嶋刑事局長が見た物は…。
巨大なヘリコプターにチェーンで吊り下げられた星形の磔台。
そこには一人の美しい娘が逆さに掛けられているではありませんか。
それは誰あろう、最愛の娘、紀子嬢です。
愛娘はほとんど裸、シルク地の小花をあしらった純白のブラジャーとパンティ姿です。
呆然とする父上に奇人四十面相は拡声器を使って、凶行を宣言します。
「いかがかね、三嶋刑事局長!! 最愛のご令嬢を目の前で連れ去られる気分は!? 英国皇太子妃を我が手中に収めるまで、紀子嬢はこの四十面相がお預かりする 言っておくが私は仇敵の娘を来賓として手厚く扱う様な紳士ではない 貴公を屈服させるため、ありとあらゆる辱めを加え、責め苛む予定であることを申し添えておく 精々キャメロン妃の警備に注力したまえ まぁ、可愛い娘をみすみす目前でかどわかされる男に何ができるか、疑問だがね ハハハハハハ~~!!」
逆さに大の字に磔に処された令嬢は徐々に上空高く引き上げられてゆきます。
「のりこぉッ! のりこおおおおぉぉぉ~~ッ!!」
咆哮する三嶋刑事局長、しかし帝都警察の権力を掌握するおかたにも、紀子嬢を救うことはできないのでした。

奇人四十面相 恐怖の緊縛の館 今宵の招待客は帝都警察刑事局長のご令嬢 三嶋紀子

US様の小説に、鼻猿好男様から挿絵をいただきました。
1章毎に掲載予定です。
お楽しみ下さい。
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奇人四十面相 恐怖の緊縛の館 今宵の招待客は帝都警察刑事局長のご令嬢 三嶋紀子

第1章

19XX年、帝都東京。
第二次世界大戦を回避した我が国日本は極度の格差社会に変貌を遂げておりました。
社会は富める者と、貧しき者とに二分された結果、人心は荒廃しきり、凶悪犯罪も多発しておりました。
その首都に富裕層ばかりを狙った暗殺、略奪、そして誘拐を行う極悪人が誕生しました。
神出鬼没、正体不明の冷徹な鉄仮面、その名は「奇人四十面相」…。

田園調布にある面積一千坪はあろうかという、三嶋邸。
帝都警察、三嶋敬一郎のお屋敷です。
瀟洒な洋館の前に停車した高級外車から降り立ったのは、長身にして怜悧な顔つきの中年男性です。
彼こそ、明日より奇人四十面相逮捕という特命を受け、刑事局長に就任する三嶋敬一郎その人です。
表情を引き締めたそのお方はしっかりとした足取りでお屋敷の中へと向かわれました。
そんな帝都警察官僚をこぼれるような笑顔でお迎えするご令嬢。
「まァ、お父様ッ! お帰りなさい、お待ちしていたのよ」
純和風の清楚な顔立ちに、黒髪を白いリボンで束ねた育ちの良さそうなお嬢様、彼女こそ三嶋刑事局長殿の末娘、紀子嬢です。
帝都修学院女子大の2年生で、数日後には二十歳の誕生日を迎えるのですが、蝶よ花よと可愛がられて育った紀子嬢は、少女のように甘えた表情を作ると父上の鞄を抱きしめるように受け取ります。
「新聞で読みましたわ! お父様、奇人四十面相の捜査をなさるんですってね」
好奇心旺盛な紀子嬢は、お父上のお仕事が気にかかって仕方がない様子です。
「オイオイ、紀子… 父さんの仕事は公に仕えるものだ 安易に口にしてはいけないよ」
父親の威厳と、警察官僚の厳正なる態度の中にも、4人兄弟の末娘への情愛がにじみ出た口調でたしなめる敬一郎氏です。
しかし、三人の兄に囲まれ、ひときわ寵愛を受けて育った清楚なご令嬢はそのチャーミングな外見に似ず、ややお転婆なようで・・・。

「でも、お父様ッ! わたくし、奇人四十面相を許せなくてよ 英国のキャメロン皇太子妃の誘拐を企てているんでしょ?」
紀子嬢はすでに、三嶋家と親しい新聞記者氏を通じていろいろな情報を入手しているご様子です。
これまでも、政府要人の誘拐を通して、様々な要求を突き付けてきた奇人のターゲットは高貴な白人の国からお見えになる、麗しの皇太子妃のようです。
「日本が先進諸国の仲間入りを果たそうとしている大切な時期に大切な国賓を狙うなんて言語道断だわッ」
名家のご令嬢らしく、国際情勢にも一格言お持ちの紀子嬢、心底卑劣な犯罪者を憎んでいるようです。
「フフフ、お前が正義感の強い娘に育ってくれたことは私の誇りだが、子供のお前が口を挟むことではないよ」
微笑みながらも、父の威厳を示す敬一郎氏に、紀子嬢はまだあどけなさの残るほっぺをぷくーっと膨らませます。
「まァ、お父様ッたらッ わたくしのことをいつまでも子ども扱いなさるんですもの 嫌いッ!」
貴族の血を引く母親譲りの愛くるしい顔を不服そうに歪め、父上から背ける紀子嬢。
「ハハハ、紀子に嫌われてしまったな」
そんな愛娘が愛おしくてならない表情の敬一郎氏。
「それではお父様、紀子は明後日から期末試験がございますので、お部屋で自習を続けますわ」
やや機嫌を直した紀子嬢は、父君に首を垂れると洋館の中央に設けられた豪華な階段をカモシカのような細い脚でトントンと駆け上がります。
しかし、紀子嬢、ご自分の身に最大の危機が迫っていることはさすがにお察しにならないようで…

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