FC2ブログ

プロフィール

ベスト

Author:ベスト
ここは、自分のこだわりを書き綴った場にしたいと思ってます。小説はすべて私の頭の中の妄想・空想を書き綴っています。


最近の記事


最近のコメント


最近のトラックバック


月別アーカイブ


カテゴリー


FC2カウンター


国家を揺るがす猿轡~6

第6章
 僕は声をあげそうになった。
女は紫色のゆかた姿だった。
Mr.Bもこの宿のものと思える浴衣という和風のいでたち。
Mr.Bは女の背後に回り込んでいる。
そして、浴衣を両肩から滑らせるようにはぎとる。
手には細くも丈夫そうな縄を持っている。
それを彼女の華奢な身体に這わせる。
手慣れた手つきだった。
しかも縛り方が凝っている。
僕の記憶では捕り縄術で言うところの笈摺り縄…。
後ろ手に縛めるのは通常だが、首と腕にもまわし、その後に手首を交差させるという高度なテクニックだ。
女は嫌っと声をあげ抗うふりをする。
しかし、縄を打たれることにとてつもない快感を覚えていることは見て取れた。
女の背中はまるで蜘蛛の巣が張ったように、それでいて芸術的と言えるまでに美しく、ちょうど六角形に縄が這う。
ブラのホックは外さない趣味のようで、縄の下に黒い刺激的な、下着がわずかに確認できた。
女はキャメロン妃に負けず劣らず、恍惚の表情を浮かべている。
その顔が僕の視界に入ったとたん僕は声をまたあげそうになる。
その女とは・・・。数年まで宝塚で娘役を張っていた女優。
今はあの山川作品にも多数出演し、盲目の武士の妻役を好演し、中高年に嫁にしたい女優の現代版ともいわれる。
そういえばビールのCMにも出演し旦那さんの帰りをビールとともに待っているあの女だった。
「アッ、アアァ~~……Mr.B……幸せに存じますぅ・・・」
 女優はMr.Bを狂おしげに見上げている。
Mr.Bは女優を縛り終えると今度は少しけだるそうに小さな竹轡らしきものを取り出すと、彼女の前にしゃがみこみ、小顔を少し乱暴に引き上げた。
「お前にも困ったものだよ、れい ビールと待っていてくれるくらいならば気楽だが、私の手を煩わせてばかりでは困るな」
どこか、女優に対する愛情を感じさせる言い回しだったがMr.Bはこの時ばかりは容赦なくというように、彼女の口を人差し指と中指で左右にグイッと広げる。
女優の美しく控えめな口が激しく歪む。
そして光沢のある緑の轡がはめ込まれる。
キャメロン妃に用いたものよりかなり短いサイズだ。
「さあ、どうだね、満足か?」
 Mr.Bは静かに尋ねた。
女優は言葉を発する代わりに涙を流し切なそうにコックリと頷く。
快感と高揚のためか縄の下で白い肩が震えている。
女優は、Mr.Bのドレサージュを受けたいわば「作品」なのだろう。
僕は気が動転しそうだった。
いったいどうなっているのか?Mr.Bとはいったい何者なのか。
国民的女優、女子アナ、令嬢、そしてプリンセス…。
かくも簡単に世界の美女たちは彼によって陥落させられていく。
僕は嫉妬とも、羨望ともいえる気持で部屋を後にした。
そしてこの時思った。
Mr.Bを説得するのは無理だろうと。
彼はドレサージュのプロなのだ。
思い立った行動は成功するまで続けるだろうと。

 結局のところ、僕はMr.Bを説得できず、失意の中帰宅することとなった。
僕からの報告を聞いた由美子は残念そうな表情を一瞬見せたがすぐ、いつもの「嫁さん」の顔に戻り僕をねぎらってくれた。
 「どうするつもりだい、ゆみ? 今回のことは僕たちには荷が重すぎる事件だよ」
 僕は由美子を慰めるように言った。
しかし、由美子は聡明さを象徴するような瞳に強い意志をたたえ僕を見た。
 「いいえぇ~そうはいきません これは人の命や、民族の存続まで絡んだ問題・・・ 組織のリーダーとして責任があります」
 由美子は気真面目にそういったあと、急に柔らかな眼差しになり僕を眺めた。
 「私もわるぅ~~い組織の‘女頭目’ですからいろ~んなことを企みますよ」
 クックと笑う小悪魔的な表情が愛おしかった。

 | BLOG TOP |  NEXT»»