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Author:ベスト
ここは、自分のこだわりを書き綴った場にしたいと思ってます。小説はすべて私の頭の中の妄想・空想を書き綴っています。


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Time travel IN 大江戸 美女と媚薬と猿轡 その6

第6章
「実はな、『百花繚乱』を私に封印する様に託したのは、お由美さんのご主人なのだよ その裏事情をこれから探らねばならないが・・・」
僕は衝撃を受けた。
なぜ、そんな疑問を抱きつつ簡単な旅支度を終え、
再び2人の鞍馬天狗になった僕たちの背後に気配がした。そ
れは、まさしくお由美さん。
僕は、その姿にグッと見とれてしまう。
紫の頭巾に忍者のようないでたち
以前、松坂慶子が紫頭巾、なんていうヒロインを演じたがまさしくそのスタイルだ。
腰元には短刀を指している。
切れ長の瞳に象牙色の肌。
それに、あやしく光る紫の着物。胸元の膨らみも普段よりかなり目立つ。
すらりと長い脚も見栄えがする。
僕は涎をたらさんばかりに、美しいお由美さんに釘付けだ。
「やはり、主人は『百花繚乱』にかかわったがために汚名を着せられたのですね 
部洲人先生、US様・・・足手纏いにはなりません どうか、お供をさせてください 
主人のことに関わることならば、どうか・・・」
お由美さんは哀願する。
「ふむ、行くなと言ってもお由美殿は芯の強いお方、無駄じゃろう 
これで役者はそろいましたな」
部洲人さんはまるで水戸黄門の黄門様のような口調で言った。
「だがな、ご両人 さっきも申したが、背後には大きな力が蠢いておる
 真っ向勝負は無謀じゃ わしに策がある・・・」
部洲人さんは策士の顔になっていた。
いったいこの人は?それにしてもこの人誰かに似ているな。僕は思案した。

「しっかりおつかまりになってッ はッ!」
凛とした気合とともに、馬を走らせるお由美さん。
馬上で、僕は照れながらもそっと、お由美さんの腰に腕を回す。
あまぁ~~い髪の香りが僕の鼻孔を突く。
そういえば、由美子の乗馬に付き合った時も、一緒に馬にまたがった記憶がある。
それにしても江戸時代に来ても、女性の背中にしがみつくとは、
男の弱さを象徴するシーンである。
目指すは、あの祠だ。
人気のない祠の周囲は、明かりもない。
僕は厳かな気持ちで伝説の媚薬「百花繚乱」の入った小箱を、石扉の中に安置した。
その時だ。
周囲に無数の人影が散らばる気配がした。
そう、刺客だ。
十数人はいるだろうか?
全て時代劇の悪役の配下さながらに、頭巾をして刀を向けている。
こ、怖い。
「US様、私の傍から離れてはなりません」
お由美さんは僕を背後に庇いながら、短刀を抜く。
そして右から切りかかる男の刃を受け止め、いなす。
そして逆手に持った剣でそれを払う。
「はッ!」
気合とともに、かかってくる3人の男に短刀を一閃!!
「うおおっ!!」
「くううっ!!」
肩や腕を切られ、蹲る刺客たち。
それにしても強い!!お由美さんは一体何者?
「これ以上刃を向けるなら、容赦は致しませぬ!!」
しかも、美しくカッコええ~~!!
たじろぐ男らを前に、部洲人さんが黄門様のように現れる。
「うおっほっほ、かかりましたな 敦賀屋惚兵衛!! 
ここにあなたが探す『百花繚乱』はありませんぞ」
「くそう、図ったな、部洲人!!」
そうなのだ、部洲人さんは「百花繚乱」を狙う者たちはこの祠に
僕たちを誘い出す罠を張っている、と予期していたのだ。
刺客たちの背後で敦賀屋惚兵衛と呼ばれた小男が歯ぎしりしている。
「さあ、敦賀屋さん 観念してあなた方の背後にいる者の野望を話したらいかがかの?」
「覚えておけよ、部洲人 私どもの後ろにはお前たちなど握りつぶせるお力を
持った方がおられる これで終わりと思うなよ お前の弱みはすでに握ってある!!」
敦賀屋惚兵衛は部下たちに見向きもせず、数人の腹心らしき男らに
守られながら姿を消す。
お由美さんに切られた刺客たちも、傷口を抑えながら逃げ伸びて行った。
「部洲人先生、ここで逃がしてしまっては?」
お由美さんが駆け寄る。
「いやいや、ここは泳がせるべきです」
策士はあくまで余裕の表情だ。
「しかし、部洲人さん 僕に『縛女蔵』の鍵をわたしたのは奴らの一味なんでしょうか?」
「いや、敦賀屋ではなく、彼らを操る誰かの一人、でしょうな」
て、いうことは、僕は嵌められたのか?
僕が部洲人さんの仲間と知り、「縛女蔵」を用いて「百花繚乱」を封印することを
予期したため、あえて黄金の鍵を渡したのだ。
あの男はいったい。
この件は意外と深い。
だが、僕に謎ときはできない。
それより、敦賀屋惚兵衛の言った一言が僕には気になった。
部洲人さんの弱みを握っている、と言っていたあの一言だ。
普通時代劇などで正義の味方の弱みを握ると言えば、
大切な女を人質に取ること・・・。DIDファンならではのカンが僕には働いた。
「部洲人さんッ 帰りましょう おさとちゃんが危ない!!」
僕は叫んだ。

おさとちゃんの長屋にたどりついた僕と部洲人さんは息をのむ。
粗末な長屋の中は、現代のように蛍光灯などあろうはずもなく、
しんと静まり返っている。
しかし、人間が争った跡だけは見て取れた。
僕は携帯のライト機能を用いて室内を照らす。そこには・・・。
「おさとは預かった 返してほしくば、『百花繚乱』をもって一人で敦賀屋へ来い」
古びた障子戸に紙が貼り付けられていた。
やはりおさとちゃんはすでに捕まってしまったのだ。
「部洲人さん、おさとちゃんが・・・」
「かどわかされた、ということでしょうな」
彼は淡々と話したが、おさとちゃんを娘のように可愛がっていることは
これまでの生活で僕は察していた。
「これは罠ですよ!」
「でしょうな、しかし・・・いかねば・・・」
「でも、部洲人さんが行ったところで・・・」
僕は口をつぐんだ。
確かに、彼がひとりで立ち向かったところで結末は目に見えている
媚薬「百花繚乱」は奪われ、悪玉はそれを用い、
江戸中の女をかっさらい酒池肉林の世。
おさとはうら若い肉体を愉しまれたあと、女郎に身を落とす・・・。
そんな悲劇的な結末が、頭に浮かぶ。
「US殿、私ももう一度罠を張り直すと致しましょう 
そうすれば、背後の悪党も引っ張りだせるかもしれん
もしかするとお由美さんのご亭主の仇打ちにもなるやもしれん・・・
お二人とも協力いただけますかな?」
僕とお由美さんは顔を見合せて、頷き合った。

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