FC2ブログ

プロフィール

ベスト

Author:ベスト
ここは、自分のこだわりを書き綴った場にしたいと思ってます。小説はすべて私の頭の中の妄想・空想を書き綴っています。


最近の記事


最近のコメント


最近のトラックバック


月別アーカイブ


カテゴリー


FC2カウンター


由美子奥様~その2

第2章

園児や職員がいない職員室に、一人由美子奥様は残って仕事をしていた。
幼稚園の職員は全員、夏はお揃いの濃紺のTシャツにベージュのパンツ姿である。
とにかくジタバタしても始まらない。
{絶対に私がUS様をお助けするわ。・・・・・・この組織の引き込んでしまったのも、もとはと言えば私なんだし(US様投稿小説・「B‘s DID 囚われの妻」を参照下さい)
でも、これから、どうしようかしら???}
そんなことを漠然と考えていると、日が落ち、周りは昏くなっている。
幼稚園の中には、由美子奥様しかいない。

職員室には、さすまたが掛けてある。
以前小学校に不審者が侵入する事件があった時、白鳩幼稚園に購入したものだ。
それから、1週間前、林亜美が訪ねてきて、「理事長からの指示です。最近は物騒ですからこれを置いていて下さい」と言って手渡されたものが、机の引出に入っている。
何と催眠ガス入りライフル銃と金属製の手錠1個である。
ライフル銃は、引き金を弾くと、強烈な催眠ガスが水鉄砲のように噴霧するものらしい。
「こんなもの、必要なないんじゃないかな~??」なって言っても、理事長命令ですと言われて、渋々受け取ったものである。

引出の中から、ショットガンくらいの大きさの催眠銃を取り出して眺めていた。
ポケモンの漫画入りである。
外見はどう見ても子供のオモチャにしか見えない。
まあ、丸腰で歩くより護身用になりそうである。
「せっかくの叔母様のご厚意ですから、用心の為に持っていますか!」
由美子奥様はそう呟いて、バックに仕舞い、電気を消して帰り支度を始めた時だった。
亜美からの携帯が鳴った
「奥様、草の者からの連絡です。今、安住慎一が、もうすぐ幼稚園の敷地に入ります。彼一人です。・・・・・理事長から催眠銃をお預かりになっておられますよね。その銃を持って、トイレに隠れて下さい。消灯していて下さい。携帯は切らないでこのままにしてください。」

さすがの由美子奥様も緊張した。
男が今から自分を誘拐するために襲ってくると聞かされたのである。
さすがの由美子奥様も心臓がドキドキして口から飛び出しそうになっている。
言われた通り、電気を消し、トイレに身を潜めた。

そして、背の高い若い男が、夜なのにサングラスをかけて、右手に何かを持ち、職員室の前の廊下に入ってきた
{これが、安住という男かしら}
男が持っているのは、拳銃のようである。
「そこに隠れているのは、わかっているんだ。大人しく出てきな!」
男が声を殺して、話しかけてきた。
幼稚園の建物の中は、非常灯の緑色の灯りだけが、ほのかに廊下を照らしている。
忍び足で職員室の中に入っていくようである。
足音で由美子奥様にもわかる。

「由美子奥様、そっとトイレから出て下さい。草の者が、職員室で囮になります。
奥様は、安住の背後から催眠銃を撃ってください。間違っても安住には、拳銃の引き金を弾く度胸はありませんから。ご安心してください。狙いをつけて撃って下さい。」

そして、由美子奥様は、指示された通り、おもちゃのような催眠銃の引き金を弾いたのだ。

催眠ガスが職員室に充満する中、由美子奥様は窓を全開にして、換気扇のSWを入れて、廊下に佇んでいた。
安住慎一という男は、あっけなく職員室の床で眠っている。
「由美子奥様、お見事です。催眠ガスは1時間は十分に効き目がございますから、当分、安住は息を吹き返しません。窓を開け、換気を十分にしてください。それから、理事長からこれもお預かりの手錠がございますよね。その手錠でお使い下さい。」

まるで、幼稚園の窓の外から中の様子を覗いているかのように的確に指示がイヤホンに飛んでくるのだ。
亜美が言う草の者が、幼稚園の近くに居て逐一亜美に連絡しているのだろう。
由美子奥様が引き金を弾く瞬間、確かに一瞬職員室の中で、安住慎一とは、別の影を見た気がした。
それは一瞬のことで、結局草の者の姿を確認出来なかった。
しかし、由美子奥様は、それが女性の姿のような気がしてならなかった。

草の者の存在を、亜美に詮索する気にはなれない。
皆が必死で自分を守ってくれているがわかる。
「亜美さん・・・・・・ありがとう。」
「いえ、奥様、そのようなお気遣いは無用にお願いします。・・・・・では、一旦切りますよ」
亜美からの携帯は一旦切れた。

 | BLOG TOP |  NEXT»»