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ここは、自分のこだわりを書き綴った場にしたいと思ってます。小説はすべて私の頭の中の妄想・空想を書き綴っています。


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プライドに噛まされた猿轡 その5

第5章

 催涙スプレーを浴びせかけられた目を抑えながら山手広域署に置かれた捜査本部に高野巡査部長が、倒れこんできたのはその数十分後のことだった。
非常事態に驚きを隠せぬ仲間たちに、高野が吐き出すように口にした言葉は衝撃的なものだった。
「しッ、白木警視が・・・白木警視が何者かに拉致されましたあぁ~~!!」
事件が起きたのはつい今しがた。
それもこの山手広域署の地下駐車場だ。
高野巡査部長は目の前で起こった、美貌の上司が正体不明の男たちの魔手に堕ちる光景を鮮明に記憶していた。
 黒塗りの公用車を降りかけた瞬間、鉄筋の柱の陰から忍び寄った2人の男に襲撃された白木貴子警視は、左右から挟まれるように腕を取られた。
しかし、護身術の心得があるらしい彼女は抗い肘鉄を相手の胸元に食い込ませ、次いでもう一人の男の腕をねじり上げた。
だが、所詮は女であることを彼女も実感したであろう。背後から組みついた男は、白木警視の首に太い腕を食い込ませしめ落としにかかったのだ。
ふるいつきたくなる美貌を苦悶に変え、抗う白木警視。
白い上着の2つの豊かな膨らみが激しく揺れ、ムチリとした美脚はまるで生き地獄へ引きずり込まれぬように最後の抵抗を試みる様にハイヒールのかかとでコンクリートをかきむしった。
だが、その抵抗もむなしく厳しい裸締めに意識が一瞬遠のいた貴子は頭髪をつかまれ、横付けして遭った大型ワゴン車まで引きずられていく。
ハイヒールは脱げ、素足のまま歩かされていき、ワゴン車の後方のドアから伸びる手にその身を掠め取られてしまったのだった。
警護を兼ねていた高野巡査部長だが、敢え無く催涙スプレーの餌食となり、走り去るワゴン車の姿を視点の定まらなくなった眼球に焼きつけるのが関の山だった。かくして、警察の施設内で、キャリア警視が拉致されるという衝撃的かつ、組織としてはこの上なく屈辱的な事件は完了したのだった。

 とはいえ、これはあくまでも高野巡査部長が見聞きした災難の一部にすぎない。
時間を巻き戻し、走り去るワゴン車の中を見てみよう。
謎の男たちの魔手に堕ちた美貌の警視、白木貴子の受難は始まったばかりだ。
拉致した相手を制圧する行為は当然行われる。
ストッキングを履いた素足のまま車内に引きずり込まれた貴子は待ち構えていた男から顔面を平手で殴打された。
「な、何をするのッ! 私を誰だと思っているの」
恐怖の中でも、毅然とした、あるいは高慢とも思える口調で相手を睨む貴子。
しかし、男は意にも介さない。そればかりか後ろから乗ってきた彼女を襲撃した男の一人が、貴子の美顔を横から張り倒す。
「キャッ」
少女のような悲鳴をあげ倒れこむ貴子。
さらに頭髪をわしづかみにされ、引き起こされた貴子の鳩尾に敬棒のようなむのが食い込む。
「あうッ!」
蹲った貴子の腕が後ろに回される。
(し、縛られるんだわ!)
身体を拘束されるのだけは免れたい、と思った彼女だが抗ったところで、走り続ける車の狭い空間内で3人の男たち相手に勝機がないことは彼女にもすぐわかった。
また自分を襲った相手がその道に長けている連中であることも察しがついた。
それでも、かつて経験したことのない暴力の魔手から逃れたい気持ちが勝っていたのも事実だ。
貴子はこの時、自分が手がけている事件の被害者の恐怖を理解することになるのだった。
両手の甲が合わされ、手首に固い縄の感触が走る。
やがてギリリとそれが引き絞られる痛みに、彼女の美貌が歪む。
初めて肉体の自由を奪い取られる恐怖にキャリアレディは我を忘れて長く形の良い脚をばたつかせた。
しかし、相手は屈強の男たち。
すぐさま一人が貴子の両踵を捕えると、強引に2つの脚を纏め上げ、縄をかける。
これで肉体の自由はすべて失った貴子だが、毅然と言葉を発そうと綺麗な瞳に怒りを湛え、男たちを睨む。
「あなた方、私を警視庁の警視とわかった上でこのようなことをッ はぐうゥ~~ッ!!」
相手を威嚇しようとせめてもの防衛を試みた貴子。
その口に背後から固くボール状のゴムがはめ込まれた。
まるで貴子の口のサイズを計測して作成したのではないか、と思われるほど的確にフィットしたギャグ・ボールは、その理路整然とした言葉をのみ込ませるに十分だった。
(く・・・口まで! 口まで塞がれては・・・成す術がないわ…)
頬に食い込むギャグ・バンドの痛みに貴子は拉致される恐怖を覚えたが、同様に男たちの手に堕ちる屈辱感に全身が熱った。
25年間の人生で彼女はおよそ、人に心底ひれ伏した経験はない。
名家の令嬢育ちにして、東大文1の超才媛。
そして類まれな美貌だ。
幼少期から今日まで人から尽くされることはむしろ当然で、社会に出てからもキャリアという立場故に即、部下を抱えるポストを得てきた。
公私ともに跪く男たちも数多かった。
そんな彼女がいま、警視という立場でありながら正体不明の男たちに自由を奪われている。
手も脚も、そして口さえも…。
緊縛猿轡姿で無防備に転がっているこの状況。
まさしく白木貴子は人生で初めて他人に屈伏させられたことになる。
キャリア警視としてのプライドよりも、若い女としての恐怖心よりも、その屈辱が彼女の心を占有し始めていた。
そんな貴子の首筋そして胸元に2人の男がスタンガンを押しつける。
くぐもった絶叫を上げながら、浜辺に打ち上げられた人魚のようにビクビクと痙攣する貴子。
その凶行は女警視が意識を失うまで続けられた。



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