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ここは、自分のこだわりを書き綴った場にしたいと思ってます。小説はすべて私の頭の中の妄想・空想を書き綴っています。


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D‘S college‼ Lesson① :Hymen&GAG その4

第4章

数日後、天女のような白いブラウスを着た篠山小夜子が僕の傍らで歌うように問いかけてくる。
その声は友人に好機が舞い込んだことを祝福するように弾んだものだった。
「佐々木君、今度、禁断舎の2次面接に進んだんだって?」
「うん、そうなんだ」
僕が頷くと小夜子はわあっとこぼれるような笑みを作ると、白く小さな両手を胸元で握りしめた。
「よかったぁ!! やるじゃん、佐々木君ッ 本当によかったぁ~~!!」
たとえ、将来を約束した男の成功でも、ここまで喜んでくれる女は少ないだろう。こういう優しさというか、美質こそ伊集院のいう利他的な女性ということなのだろう。
僕はこの傍らで友人の成功を祈ってくれる娘を心底愛おしく思ったし、できることならば付き合いたいとも思った。
僕のキャラクター上、あまり思いつめた物言いは敬遠されかねない。
「ねえ、小夜ちゃん 今日は就職祝いに食事に付き合ってくれない?」
できるだけ砕けた口調で切り出した。
「あ、ごめん・・・今夜は予定があるんだ いかなければダメなところがあるの・・・」
やはりか・・・。だが、小夜子の表情はウザい男の誘いを断りたい、というよりはその申し出に応じることができず、申し訳ないという表情に見て取れた。
その証拠に小夜子はこう付け加えた。
「それに・・・まだ2次面接が残っているんだぞ、祐太! 気を抜かず頑張りなさいッ! お食事の約束は最終面接に受かったら考えよう!」
時にユーモラスな受け答えをするのも彼女の特徴で、飾らない性格もみんなから愛された理由だと思う。
しかし、この時の小夜子の表情はいつになく曇っていた。
常識的に考えれば、体よく振られたように見えるが、僕には小夜子の何かを憂いているような美顔に妙な胸騒ぎを覚えた。
そして、その理由にも僕は心当たりがあった。

その日の夕暮、僕は伊集院教授のBMWに同乗していた。
講義が終わると、なんと彼が直々に僕を迎えに来たのだ。
いつも饒舌な彼にしては珍しく、無口でステアリングを握ってる。
素人目にもわかるオープンカータイプの超高級外車は環七を走り抜けていく。
「禁断舎の一次、通ったんだって?」
彼は切り出した。
「ええ、おかげさまで 先生のおかげですよ」
「いや、僕のおかげではない 今日これからウチにお招きするマドンナのおかげだ そして、君の就職が目出度くまとまるか否かも今夜、決まる…そういうわけだ」
伊集院は含み笑いをした。
「約束通り、君には僕の手伝いをしてもらいたい つまらないバイトよりはよほど充実したものになる いやとは言わせないよ、いいね」
伊集院は穏やかだが、有無を言わさぬ口調で囁くように言った。

伊集院の自宅は世田谷区内の高級住宅街にあった。
コンクリート造りのこじんまりとしたそれでいて瀟洒な佇まいだった。
地下室の一角にはワインセラーが設けられていて彼の富裕な生活ぶりがうかがえる。
そのすぐ向かい側の一室で僕は、隣接する小部屋の様子をスコープを通じて固唾を飲んで見守っていた。
ここで君は待ちなさい、と言い残し部屋を後にした伊集院は一人の若い娘を連れて隣室に現れた。
そう、その美女は篠山小夜子だ。
小夜子は女の扱いに長けた伊集院に優しげに肩を抱かれながらも、険しい表情を崩さなかった。
僕が、おやっと思うほどに厳しい顔つきだったが、それも彼女の潔癖な性格を表すかのようで僕は胸をときめかせた。
小夜子がここへ連れてこられることは予想していたことだ。
伊集院の言葉を信じるならば、小夜子は僕の口利きをする伊集院にその代償として身を奉げることになる。
そう、つまりは小夜子は僕のために我が身を犠牲にするわけだ。
告白しよう。
僕にも罪悪感はあった。
就職したい気持ちも強い。
しかし、何よりも、小夜子が伊集院の手で理不尽な苛めにさらされるのか、そんな非人間的な興味を覚えていた。
親友でも応じないような要求を受け入れ、僕のために身を捨てようとしている美しい女友達の姿を愉しむ僕は、ある意味伊集院以上の変態かもしれない。
いや、正確にはそうさせているのは小夜子なのだと思う。
類稀な美質を持った女が苛め抜かれ、悲劇にさらされる姿を拝む機会など、僕の今後の人生では訪れまい。
「正直、先生がこんな穢い手段をお使いになるなんて思いもしませんでした」
小夜子は物静かだが、非難する口ぶりで大きな瞳で伊集院を睨んでいる。
「僕が穢い? そんなことはどうでもいいことだ 問題は君自身の方だろう? 佐々木君を喜ばせたい、君が望んだからこそ私も尽力した その代償が必要なことくらい、聡明な君には察しが付くだろう それとも友人の落胆する表情を眺めるかね?」
粘着質な伊集院の問いに、小夜子は俯いた。
批判の論点をずらし、相手の弱みを弄ぶようにちらつかせる、伊集院のでひすかっしょんのテクニックだった。
やがて、僕という人質を取られた小夜子は端正な顔を上げ、卑怯な脅迫者に真摯な瞳を向けた。
「それで・・・先生わたくしに何をしろと・・・」
「安心したまえ、別に僕はね、君のバージンを奪おうっていうんじゃない」
邪な心を持った教授は柔らかな口調で、獲物の心を解きほぐすように囁いた。が、その後、僕までも身が凍るような残忍な表情を作ると言った。
「君に想像を絶する苦痛を与えてあげる・・・」
小夜子の表情も強張っている。
「まず・・・君を縛るよ」
短いが重みのある処刑宣告のようなセリフを伊集院はつぶやいた。



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