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ここは、自分のこだわりを書き綴った場にしたいと思ってます。小説はすべて私の頭の中の妄想・空想を書き綴っています。


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人四十面相 恐怖の緊縛の館 今宵の招待客は帝都で、いや日本で一番高貴なあのお方…

第1章

19XX年、帝都東京。
第二次世界大戦を回避した我が国日本は極度の格差社会に変貌を遂げておりました。
社会は富める者と、貧しき者とに二分された結果、人心は荒廃しきり、凶悪犯罪も多発しておりました。
その首都に富裕層ばかりを狙った暗殺、略奪、そして誘拐を行う極悪人が誕生。
神出鬼没、正体不明の冷徹な鉄仮面、その名は「奇人四十面相」…。

帝都東京の中心地に立つ、迎賓館赤坂離宮の瀟洒な宮殿。
海外の要人をお迎えするときに使用されるこのアートスティックな建築物の前には、特別に入所を許された要人やマスコミ各社の記者たちが大きな人だかりを作っておりました。
その目的は去る高貴なお方にお目通りする事。
万世一系を誇る我が日本国には麗族と呼ばれる、一番の旧家であり名家がございます。
そのご令嬢が、本日誕生日を迎えられるのです。
その誕生祝賀会場「羽衣の間」は、アジア一と名高い美貌を誇る今宵の主役の登場を今か今かと待ちわびる、好奇心と熱気で真冬の季節というのに暖房も不要なほどにヒートアップする人々でごった返しておりました。

やがて、執事と思わしき品の良い執事らしき老紳士が一礼して、来賓にその主役のご登場を告げます。
「皆さま、本日青年を迎えられました内親王殿下がお出ましになります…」
七宝焼きの花鳥図を埋め込んだ、国宝級の想い扉が壮言な音を立ててゆっくりと開きます。
その扉の向こうから大和撫子の貞淑さを表すようにしずしずと伏目がちに、それでいてしっかりとした脚取りで歩を進める一人の若き姫君。
その名は九段之宮紗佳(くだんのみやさやか)内親王とおっしゃいます。日本の、国民の平和と安寧をこの帝都で祈り続けられる今上皇帝のお孫さまに当たる、帝都でもこれ以上の存在はないと思われるprincessの称号を持つお嬢さまでいらっしゃいます。
その紗佳さまは本日二十の成年姫君として公の場に初めてお見えになられたのです。

「紗佳さまがお見えになられたぞッ!!…」
「紗佳さまッ、青年を迎えられたご感想を一言!!…」
時と場所をわきまえぬ一部のマスコミ記者が畏れ多くもマイクを向けます。
が、記者達は第二声を発することが出来ません。
それもそのはずです。
紗佳さまの美貌は太陽さえもその光を失い、月さえも雲に隠れてしまいかねない眩い輝きを放っているではありませんか。
ご聡明そうな額の下に黒目がちで、涼しげな瞳を潤ませ、常々国民の健やかな暮らしをお喜びになるかのように笑みを湛えるような唇は薄桃色に紅をさし、雅な風貌をお見せくださった紗佳さま。
その紗佳さまは銀座の老舗宝石店「君元」が本日のために特別に作成した時価数千万円相当のティアラと装飾類を身に着けておられ、純白のドレスに豊かな肉体を包んでおられその品位から生まれる美貌と若さが一段と引き立つのであります。
姫君は記者たちが言葉を失うほどに見惚れることを見越したように歩み寄られ、微笑まれるのです。
「いかがいたした? 記者の諸君、御勤めご苦労である 紗佳が成人まで見守ってくれたこと、礼を申すぞ 世界的に見ても日本ほど、国民に、そしてマスコミに愛されている麗族は少ないからの」
紗佳さまは姫君の貫録と、威厳、そして大きな母性を感じさせる口調で「取材」にさりげなくお答えになります。
「この紗佳も皆に姫と呼ばれる存在として、生まれたからには、この国の繁栄と国民生活の安寧を祈って働く所存じゃ… そのつもりその方たちも取材をするがよい それが成人した紗佳の抱負と思ってもらえれば望外の幸せじゃ」
紗佳さまははるかに年長の記者たちの望む回答を察し、いとも簡単に先回りしてお答えになります。
現職の総理大臣がお祝いの言葉を述べようと、さもしくも卑屈なまでに媚び諂う表情でマイクの前に歩み寄ります。
その様子を目にした紗佳さまは、玉座を立ち上るとなんと先回りしてマイクを手にされたのです。
「皆の者… 今宵は紗佳のためかくも盛大なご参集、誠に大儀である だが、紗佳は堅苦しいことは望まぬ、無礼講で頼むぞ!」
紗佳さまは古びた仕来りや宴の進行などにとらわれるご様子はありません。
御自ら、シャンパンの入ったグラスを手にされると、国家予算の一部にも匹敵するシャンデリアにその美貌の輝きを当てつけるように掲げられ、乾杯の音頭を取られるのです。
「我が日本国の未来へ…乾杯!」
姫様の御振舞いにただただ誰もが心奪われ、見惚れるばかりなのでした。



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