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US様投稿小説「三匹のおっさん」 外伝

第1章

桜吹雪の舞い散るある夜の事。いつものように夜回りを続ける、
キヨ、シゲ、ノリの三人。
例によって「人生劇場」を口ずさんでおり、ノリが「わわわわー♪」とコーラスを入れ、シゲが両手でリズムをつける。
「なぁ、シゲ、今日も平和だな~~♪」
キヨが、上機嫌で夜桜を見上げる。
「おうよ、こちとら三匹のおっさんが夜回りしてるんだ。この街の平和を乱そうなんて輩は、もう現れねぇって!!」
と、シゲが応じる。
「でもねぇ、天災は忘れた頃にやってくるっていうからねぇ、気をつけないと…」
バーコードの頭髪を夜風になびかせつつ、眼鏡の奥でノリだけが細い目を皿に光らせ、警戒心を怠らない。
「不吉なこと言うな、ノリィ。あ、そうだ、明日は日曜だろ。ウチの道場で、早苗ちゃんや、シゲの家族みんなと庭の桜でも眺めながら宴会やらないか?」
「お、そいつは良いねぇ。いつでも‘酔いどれ鯨’ばっかじゃ芸がねぇからな」
と、シゲは諸手を挙げて大賛成だ。
「それは良いけど…でもねぇ。キヨちゃん家ってことは祐樹クンもいるんだろ。また、早苗に不埒な真似でもしたら…」
と、大学三年になった愛娘と、キヨの孫祐樹の恋路をいまだに邪魔し続けているノリだけは、いまいち乗り気でない様子だ。
ともあれ、望むと望まざると、この三人の家族が一堂に会する機会は、否応なく訪れることとなる。
ただし、それは少々早まりこの晩の事だが…。

キヨの家。二世帯住宅だが、不仲のようで仲の良い姑と嫁は、仲良くTVの刑事ドラマに熱中している。ちなみに健児は帰宅していない。
「あ、あ、危ないわ。後よ!!」
と芳江が拳を握る。ドラマでは刑事役の女優が、敵のアジトに専有したものの、背後から襲われる場面を映し出していた。
「アア~~ン、捕まっちゃったわ。でもお義母さん、でもこういうヒロインがピンチに陥るシーンってドキドキしません。私も学生時代は、悪者にさらわれて健児さんが助けに来てくれる場面に憧れてたんですよ」
と、貴子はいまだに年甲斐もなく恋する乙女のようにぽわーんとした表情を浮かべる。
「貴子さんは、気だけは若くていいわねえ。男の人に助けてもらえるなんて、若い娘だけの特権でしょ。貴子さんがさらわれても世話が焼けると思うだけで、お姫様を守るみたいに、胸をときめかすわけないでしょ、オホホ」
「ま、愛する女が悪漢に捕まって縛られてる姿って艶っぽいんですから。お義母さんには、もう縁がないでしょーけど」
「あ~~ら、いくら健児が特殊な好みだとしても、そんなようなヘンタイに育てたつもりは無いけど! うちの人だったら、私が危機に陥れば一目散に助けに来てくれるでしょーけどね」
と、奇妙な意地の張り合いをする嫁姑。
まさか、そんなスチュエーションが現実のものとなろうとは知る由もない、
芳江と貴子。二人のいる一階リビングに忍び寄る無数の影・影・影…。

数分後。謎の侵入者によって、作り用のビニール・ロープで見事に緊縛された嫁姑二人。
「んんんッんんんん~~~~んんん~~~??(誰ッ!? あなた達は誰なの!?)」
貴子はか細い貌を猿轡で引き絞られ、驚きに目を向きつつ、後ろ手に、そして両脚を纏めて縛られ横たわったまま声ならぬ声で問い質す。
「はむむむむッ、むむむむぅ~~~~~ッ(目的は何なの!?)」
今度は芳江が、かなり皺の目立つ厚化粧で取り繕ったかつての美顔を恐怖に慄かせつつ、還暦にしては綺麗な歯で、噛みこまされた白い布地を必死に噛みこんで喘ぐ。芋虫状態の二人はリビングの床に横たえられたまま、黒服の五人の男たちを鎌首を上げるようにして見上げるだけだ。
「よっしゃ、女房のババアと、嫁の雌豚をワゴン車にぶち込め!! 飲み屋の方も上手くやってるだろ」
男の一人が命じる。
「ンン――――ッ(雌豚って何よ!?)」
『ムムーーーーッ(ババアですって、失礼な!?)
かくして、数分前言い争っていたネタの囚われの身という危機に陥った二人だが、恐怖にも女のプライドは勝るご様子で・・・。



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