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ここは、自分のこだわりを書き綴った場にしたいと思ってます。小説はすべて私の頭の中の妄想・空想を書き綴っています。


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US様投稿小説 少年探偵は囚われの身がお好き

第2章

一週間後、『S田谷区在住名画家展』は最終日を迎えましたが、何事も起きず、淳之輔としては少々肩透かしを食らった感じです。
本日はイベントの目玉として、平山宏彦を招き、この地の文化人としても知られる館長の、保坂が対談を行うことになっており、その司会進行を由美子嬢が担うと聞き、淳之輔は密かにそのイベントルームに忍び込もうとしましたが、あえなく御用となり、外に出される始末です。
「あら、名探偵君、怪盗は捕まえられたかしら?」
イベントを滞りなく進行させた由美子嬢は、飼い犬を待つワンちゃんの様に佇む淳之輔を見つけると、そのリンゴみたいなほっぺを白い指でつっつきます。
「油断しないほうがいいよ、由美子お姉ちゃん、イベントが終わってからの方が狙われやすいかもしれないよ」
「まぁ~~だ言ってるのぉ? 怪盗なんていないってば」
お姉様は朗らかに笑いながら、同僚に展示会の後片づけを穏やかな口調で、しかしてきぱきと指示しています。
「今晩は、絵画をこの図書館内に保管するんでしょ?」
「ええ、そうよ。…あら、淳之輔ちゃん、そのことを誰から聞いたの?」
「あ、えっと、館長さんから…」
この図書館でもなじみの淳之輔は、館長の保坂さんとも仲良しです。
元気で活発な男の子である彼を、元教育者の館長さんは大変可愛がってくれていて、時折、区内の噂話や図書館で催されるイベントの情報を事前に知らせてくれたりするありがたい存在なのです。
「もう、あの方は…淳之輔ちゃんみたいなわんぱくな子にそんなことを教えるなんて」
由美子嬢はあきれ顔です。
「僕『みたいな』っていうのは言い過ぎなんじゃない、お姉ちゃん」
と、憧れのマドンナ司書様に問題児扱いされた淳之輔は少々不安げにほっぺを膨らませます。
「とにかく! ちゃんと絵画は鍵付きのお部屋に仕舞い込む予定ですからご心配なく! わかった、半ズボン探偵君!」
ことさらお子様であることを誇張するようなニックネームで淳之輔を窘めた由美子嬢は、今度はその少々丸い少年の鼻頭を親しみを込めるようにくいッと摘まんで注意するのでした。

しかし、わんぱくな少年探偵がおいそれと引き下がるわけはありません。
事前に収集した噂では、蜃気楼が予告を出した事件で標的になったお宝が盗み出されなかったことはないそうです。
「きっと、蜃気楼は現れるぞ、よーしみてろよ」
地下の書庫のわきにある物置の陰に隠れた淳之輔は、暗証番号ロック付きの部屋に『S田谷区在住名画家展』で展示された絵画がスタッフたちの手で運び込まれる様子を見守ります。
最後に、少々大柄な紫色の布がかけられた額が男性スタッフによって仕舞い込まれました。
(あれがきっと平山宏彦の『怪写轡画』だな)
少年探偵は、持ち前の感でその運ばれてゆく秘密絵に当たりをつけ、その描かれているであろう絵画を想像しますが、ここは我慢我慢です。
「ご苦労様でした」
由美子嬢は、手伝ったスタッフたちを労います。
まだ、この図書館でも若手の由美子嬢ですが、明晰な頭脳と血統、控えめですが貫禄ある所作は、立派な学者のようです。
「あとはわたくしにお任せください」
清楚な美貌に今宵ばかりは妖しさも湛え、最後のキーボード式のロックをその細身の体で隠しつつ、自分の手で素早く打ち込むと、ようやくその美しい横顔に安堵の表情を浮かべました。
何事か、初老の女性スタッフが尋ねましたが、由美子嬢は楚々とした表情で囁くように返します。
「大丈夫です、暗証番号は館長とわたくし以外、誰も知りません。ロックは外側以外からは解除もできませんので…」
秘め事を口にするかのような大人の表情に、どきりとさせられる淳之輔でした。






コメント

男性DIDが嫌いな方でも、この少年と綺麗なお姉さんとの話はきっと心が動き、何かがうずくような共感がある小説です。
読んでいてもっと違うシュチの小説をリクエストしたくなりました・・・やっぱり同好の方の文章はいいです。
皆さまの投稿お待ちしてます。

なかなか楽しそうな設定ですね。期待しています。淳之輔君はおそらく捉われの身になってしまうんだと思いますが、願わくばランニングシャツではなく、いいところのお坊ちゃんのような生意気にブレザーなんか着たオシャレな正装で捉われてほしいですね。

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