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怪兵

Author:怪兵
ここは、自分のこだわりを書き綴った場にしたいと思ってます。小説はすべて私の頭の中の妄想・空想を書き綴っています。


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江戸を斬る 遠山桜狂い咲き4

4章

どれくらい眠ったのかわからない。
眠り薬の効き目が終わり、眠りから覚めた。
眠りから覚めて、顔を上げたとき、ご丁寧に縛られ柱に繋がれた瞳の前方に大きな鏡台が据えられているのが、瞳の目に飛び込んできた。
縛られた自分の姿が真正面に見える。
着物を脱がされ、淡い緋鹿の子の長襦袢姿で縛られていた。
長襦袢だけでも身に着けているのが救いだった。
亀の甲羅を思わせる亀甲縛りが施され、乳房の形が浮き上がるように両乳が絞り上げられている。
手首は背中高く捩じり上げられて交差して縛られているのがすぐにわかった。
関節をきっちり押さえた見事な縛りで、肩も動かせないし、腕はすでに痺れるような感覚になっている。
緊縛の術の心得のあるものから縛られているとすぐにわかる。
その上、下半身の湯文字は剥ぎ取られていて胡坐を掻かされ、足首を交差させて足首を荒縄で縛られているのだ。
足首の縄尻が首にはさすがに廻されてはいないが、膝を揃えようにも、足首の縛りは厳しく、鏡の中で長襦袢の奥に黒い茂みが見えそうになっている。
余りの屈辱に声を出そうにも、木で出来た猿轡を新たに口に噛まされていたのだ。
桜の木を球状に丸くくり抜き、キレイにヤスリで丸く磨き上げられている球体が口に噛まされているのだ。
球の真ん中に棒を通し、その両端になめし皮で作った紐が付いていて、球体を口に噛ませた後、なめし皮をうなじに廻して厳しく締め上げられていた。
大きく口をいっぱいに開かないと、口に嵌らないような球体であり、使い込まれたのだろう、球体には人間の歯型を思わせる傷がいくつも付いているのが鏡に映った猿轡でわかる。
なめし革が頬に食い込み、美形の瞳の顔を醜く歪めている。
{きっと何人もの人間がこの猿轡を噛まされてきたのだわ}
そう思った時、激しい憤りがこみ上げてきた。
仮にも北町奉行を務める千石取りの旗本の妻女なのだ。
{この縛めはいったい何なの?罪人への縛めと同じじゃないの!・・・武家の妻女に対する縛めとして、あまりにも無礼。湯文字を剥ぎ取り、長襦袢姿で罪人縛りの辱めをなぜ受けなければならないの・・・・・。この猿轡はいったい何?見たこともない形状だし、他人に噛ませた猿轡を口に嵌められる恥辱・・・・。おのれえ・・あの女狐!}
口いっぱいに噛まされた猿轡は顎を痺れさせ、腕や手の痛みとともに、屈辱感を増幅させるのである。
蔵の中には、絵里が残していったたった1本の蝋燭が細々と灯りを燈し、ただ静寂に包まれていた。
その時、どこからともなく鞭で何かを叩く音と人間の呻き声のようなものが微かに聞こえてきた。
それは、本当に耳を済ませなければ聞こえない微かな微かな音である。
{ここの地下にも部屋があるのかしら?・・・・・きっと隣か地下にも監禁蔵があるのだわ・・・私以外にも誰か監禁されているのかしら?・・・・でも、あれは鞭の音・・・・私にもあのような折檻をする気なのね?}

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