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Author:怪兵
ここは、自分のこだわりを書き綴った場にしたいと思ってます。小説はすべて私の頭の中の妄想・空想を書き綴っています。


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波止場の乙女 その3

第3章

9時少し前になると会社からやってきた男たちが大きなトランクを二つ持って来ました。縛った娘を一人ずつトランクの中へ押し込んで鍵を閉め、二人がかりで二台の車に積み込むと波止場町の関西交易まで車を走らせます。
関西交易に到着すると、社員の男たち数人が出てきてみんなでトランクを事務所の会議室へ運び込みます。
そこで鍵を開けると娘たち二人を外へ出し、縛ったまま椅子に座らせます。
猿轡も噛ませたままです。
先ほどの一軒家から車に積んできた娘たちの靴をだし、はかせてやります。
このとき両足を縛っていた縄は解かれました。社長が部屋に入ってきました。
「鉄と健、ご苦労だったな。どれ、お嬢さま方を拝見しようか。可愛そうにまずは猿轡をはずしてやれ。ここなら大きな声を出しても外に漏れる心配はないからな。」
二人の娘たちの猿轡がやっとはずされていきます。
最後に口に詰め込まれていた布きれを取ってやると、真由美が叫びます。
「あなたが社長さんですか。どうして私たちをこんなひどい目に合わせるのです。それにあなたの子分たちは、私たちが身動きできないのをいいことに、胸やお尻を触りまわったんですよ。社長さんはぜったいに手をつけるなと命令してたんじゃあないんですか。本当に卑劣な男たちです。お願いですからうちに帰してください。あなたたちのことは誰にも言いませんから。お願いです。助けてください。香港なんかへ行きたくはありません。」
陽子も同じように「お願いです。帰してください。助けてください。」
「うーん、こいつは上等だ。鉄、健、よくやったと言いたいところだが、このお嬢さんが言うように、てめえら二人お嬢さん方に失礼なことをしやがったんだな。おい、ちょっとこっちへ来てそこへ二人並んで立て。」
「社長すいません。あんまりお嬢さん方がかわいいもんで。ついむらむらと、でも、服の上からほんのちょっとさわっただけで、それ以上のことは絶対にやっておりやせん。勘弁してください。」
「罰は受けてもらわんといかんな。これでもくらえ」
社長は二人の頬に二回往復ビンタを食らわせ、最後に一発ボディブローを見舞います。
二人は腹を押さえてうずくまります。
「お前ら今回はお嬢さん方をちゃんと連れてきたことでもあるから、これでかんべんしてやるが、二度と命令に逆らうんじゃあねえぞ。」
「へい、わかりやした。」
社長は再び娘たちのほうを見ると、「お嬢さん方、こんぐらいじゃあ済まないとは思うが、これで勘弁してくれ。それはそれとして、このお嬢さんたちなら陳さんもさぞ満足されることだろうぜ。お嬢さんたちには悪いが、これは俺たちの商売のためなんだ。なにせこれまでにないヤクの大商いなんだ。香港の陳さんは女性には優しい人だから、そんなに心配することはないんだよ。」
社長は真由美の肩に手を置いてできるだけやさしく語りかけます。
「でもこんなひどいことをして私たちを誘拐したんでしょう。あんまりです。今すぐ帰してください。」
「残念だがそれはできない。もうすぐ陳さんも来ることだから、悪いがそれまでそのままで待っといてくれ。」
娘たちはあきらめたようなため息をついてお互い顔を見合わせてうなだれてしまいます。

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